友人の結婚式、身内の看病、ペットの病気……。さまざまな理由で「今日は会社休みたいな」と思っても、それが会社を休む理由として通じるのか不安になったことがある方も多いのではないでしょうか。

    

そこで今回は「相手の立場に立ったマナー」という観点から、会社を休む理由としてセーフなものとアウトなものについて、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに伺いました。

    

今回ご紹介するのは、マナーコンサルタント西出さんが考える、"マナー観点からのセーフとアウト"です。有給休暇の取得を申請する場合、会社に取得理由を伝える義務はなく、会社はその理由によって取得を断ることはできません。今回の記事をひとつの参考としたうえで、ご自身の判断でご活用ください。

 

10通りの会社を休む理由、これってセーフ? アウト?

友人の結婚式=セーフ

「結婚式への参加可否は、数カ月前から決まっていると思います。したがって、数カ月前から、休みの申請をし、周囲の人たちにもその日のことをお願いしていればセーフです。

ただし、直前になって、職場がとても忙しい状況になり、当日休むことが問題になりそうなときは、『○日にお休みをいただいておりますが、この状況下でお休みしても問題ないでしょうか?』と上司に相談をしましょう。

申請通り休むことになった場合には、同僚の皆にもひと言、『忙しいときに申し訳ありません』と伝えてから休みましょう。このひと言の相談や気遣いの言葉があるのとないのとでは、その後の上司や同僚たちの態度が随分と違うと思います」(西出さん:以下同じ)

※欠勤、早退したいことを伝える際のマナーについては、「会社を休むときもマナー違反に注意! 欠勤・早退時の正しいマナー」の記事が参考になります。

 

身内の結婚式=セーフ

「身内の結婚式の場合も、数カ月前から休みの申請をし、周囲の人たちにもその日のことをお願いしていればセーフです。

しかし『友人の結婚式』と同じように、休みの申請をして許可を得ているからといって、周囲にひと言もなく当たり前のように休んでしまうと、陰口などのもとになりかねません。そのため、身内の結婚式の場合も周囲に気遣いのひと言を添える必要があります。

また、自分では分かっていても、周囲はあなたがいつ休みをとっているのかなど、都度覚えてはいませんし、前もって伝えていてもなかには『聞いてない』という人がいるかもしれません。

だからこそ、念押し、確認の意味も含めて、最低でも休みの一週間前には一度『○日に休むことになっている』という旨を職場の人たちに伝えることが大切です」

 

子どもの病気=セーフ

「個人的な見解となりますが、私は子どもの病気で会社を休むことはアリと考えます。もちろん、配偶者や親などの家族に看てもらうことが可能な環境であれば、その人に頼み、仕事を優先とすることもできますが、それをしたくてもできない人もいると思います。

また子どもにとって、病気のときに親がそばにいてくれることは、何より安心につながります。職場がそのような状況に理解があり、日頃から周囲が快く協力をする体制であってほしいですね。

マナーとは『相手の立場に立つこと』です。明日はわが身と考えれば、会社を休まざるを得なくなった方に思いやりをもって、優しい気持ちになれるのではないでしょうか」

 

身内の病気の看病・通院付き添い=セーフ

「子どもの病気と同じ考えで、看病や付き添いを代わりにしてくれる人がいれば、会社を休まなくてよいこともあるでしょう。

仕事をしていれば、皆さん、仕事に対する責任感を持っていると思います。自分が休むことで、お客さまや同僚に迷惑をかけたくはないと誰しもが思っているはずです。

しかし子どもの病気の場合と同じく、『明日はわが身』と思えば、職場の方も理解をしてくれるのではないでしょうか」

 

飼っているペットの病気=セーフ

「私が考える『相手の立場に立つマナー』は、人のみならず、動物も相手としています。

日本では、まだまだペットは法的にも物のように扱われる傾向にあります。 しかし、ペットも命や感情を持った人間同様の生き物で、家族の一員です。特に、ペットは『痛い』などの症状を言葉で発することができないため、人がしっかりと看てあげる必要があります。

また、食事も人が適量を与えてあげないといけません。命あるものを大切にする人を職場の人たちがサポートできる環境をつくることも、ビジネスマナーのひとつといえるでしょう。そういう人が集まっている会社だからこそ、お客さまにも思いやりと優しさをもって接することができる会社だと評価できます」

 

田舎の親や親戚の来訪=アウト

「これはアウトでしょう。大切な用事かもしれませんが、ここは会社を休むことなく、空いている時間に会うように調整すればよいことです。

また、田舎の親や親戚の方々に、しっかりと仕事をがんばっている姿勢を示すためにも、このためにわざわざ会社を休むようなことはしないほうがよいですね。仕事が忙しくて会う時間もない、というくらいのほうが、親や親戚はあなたのことを誇りに思うかもしれません」

 

町内会の集まり=アウト

「これは仕事優先です。集まりにあなたが出席しなかったとしても、複数人で組織される町内会の運営は回っていくでしょう。

何かの決議をする大事な会であれば、事前に自分の考えを役員に伝えておくなどしておけば、大きな問題は起きないでしょう」

 

自転車や自動車のパンク=アウト

「タイヤがパンクしたからといって休むのはアウトでしょう。パンクが理由で突然休まれては、お客さまや同僚が困る可能性がありますよね。パンクしている自転車や自動車の修理は休日に回しましょう。

ただし、出勤途中におきたパンクであれば、遅刻はやむを得ないかもしれません。速やかに会社に連絡をして事情を伝え、遅刻する旨を伝えます。その間に来客予定がある場合は、先方へ連絡を入れることもお忘れなく。またほかの人の対応でもよい場合は、代理を依頼しましょう」

 

マンションの立ち会い工事=ケース・バイ・ケース

「立ち会いを頼める人がいなければ、致し方ない現実はあると思います。しかし、もし管理人さんに頼める可能性があったり、頼めたりするような間柄であれば、立ち会いの代理をお願いし、会社は休まないほうがよいでしょう。

もし休むとしても半休にして、立ち会いが終わったあとには出社するか、午後から半休をとって立ち会うかのいずれかをおすすめします。もちろん、休んでもお客さまや同僚に迷惑をかけない状況であれば、有休を利用して休んでもよいでしょう」

 

人間ドック=ケース・バイ・ケース

「人間ドックの実施時間やかかる時間にもよりますが、半日コースの場合は、半休をとればよいでしょう。こちらも、もしお客さまや同僚に迷惑をかけない状況であるならば、事前に休暇申請を出しておけば問題ないでしょう」

 

ちなみに……「気分が乗らないから」はやはりNG!

「体調の悪さはそれほどでもないけれど、気分が乗らない……」そんなときに、体調の悪さを大げさに伝えて休みをとることは、やはりNGなのでしょうか。

「気持ちは分かりますが、気分が乗らないというだけの理由で休むのはおすすめできません。それは、社会人として自覚に欠けるという理由からです。

誰しもが、自分の気分で物事を運んでしまっては、何でもアリの職場になってしまいます。誰でも気分が乗らないときはあります。しかし、そこをあえて『我慢』『忍耐』をすることで、人としての磨きがかかり、活躍できる人材になれるでしょう」

 

休んだ翌日に職場でやっておくべきこと

それでは、休みをとった翌日に、職場でやっておくべきこととは何でしょうか。

 

お礼の言葉を伝える

「『昨日は皆さん忙しいなか、お休みをいただき、ありがとうございました。助かりました』などのお礼の言葉は必須です。

言葉遣いとして『お休みをいただく』が間違っていると言われるかもしれませんが、ここは気持ちの問題であるため、相手に伝わりやすい言葉で伝えることを優先させても問題にはならないと思います」

 

可能であれば職場にお菓子を差し入れる

「また、職場の規則や休んだ理由にもよりますが、可能であれば、一人に1個行き渡るお菓子を差し入れる配慮があるとなおいいでしょう」

職場を見渡すと気が引けてしまう休暇申請も、「ほんのちょっとした気配り、配慮で相手の気持ちがプラスになります」と西出さん。こうした互いへの細かな気遣いを徹底できれば、休暇を取りやすくなるだけでなく、互いが働きやすい職場にしていくことができそうです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。会社を休む理由を伝える義務はありませんが、マナーの観点から伝えたほうがいいかな、と思った時は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてくださいね!

 

(2015.8.19)文言を一部修正しました

識者プロフィール

西出ひろ子(にしで・ひろこ)/マナーコンサルタント・美道家。相手を思いやる心を重視するマナー論と独自の指導法を展開させ、企業や病院、学校にて結果を出すマナーコンサルタントとして定評を得る。また、NHK大河ドラマ『龍馬伝』や映画『るろうに剣心 伝説の最期編』などドラマや映画のマナー指導も務めるなど、幅広く活躍中。その活躍は「ソロモン流」(テレビ東京)などのメディアでも多数紹介される。著書は売り上げ27万部の『お仕事のマナーとコツ』(学研)、『完全ビジネスマナー』『ビジネスマナー虎の巻』(共に河出書房新社)、『できる大人の気くばりのルール』(KADOKAWA)など多数。