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現状維持より現状打破 進化を続けるエグゼクティブの転職成功事例

現状よりもさらに上のゴールを目指して、キャリアの付加価値や自己の成長を追求するエグゼクティブの転職成功事例を、キャリアアドバイザーが分析を交えつつ紹介します。

日本製品の魅力を世界に伝える。その思いを実現できる最高の舞台を手にした 転職前/国内中堅消費財メーカー(年収1,000万円) → 転職後/国内大手消費財メーカー(年収1,300万円)

Vol.2

2016年02月01日公開

  • 担当したキャリアアドバイザー

    担当したキャリアアドバイザー
    吉村優美子

    得意分野:マーケティング・クリエイティブ・人事
    大手生命保険会社の総合職を経て、2005年にインテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。金融系専門職のキャリアアドバイザーとして経験を積んだ後、現在はマーケティング・経営企画・人事・総務・法務などを中心とした管理部門専門職の転職支援に従事している。

  • 今回の転職成功したエグゼクティブ

    今回の転職成功したエグゼクティブ
    広瀬 ゆかこさん(仮名)

    新卒で外資系大手消費財メーカーに入社。20年近くにわたり、消費者調査やマーケット分析を通じブランドマネージャーと開発の現場をつなげる“リサーチャー”と呼ばれる業務に従事した。その後、日系の中堅消費財メーカーに転職。リサーチ業務に加え、海外事業戦略や経営企画にも携わった。2015年に国内大手消費財メーカーA社に転職した。

01広瀬さんは、この転職で何を“進化”させたのか

大手消費財メーカーのグローバル化を推進する大役を得た

長年、リサーチャーとしてマーケティングや商品開発に携わってきた広瀬さんは、ご自身の仕事で成し遂げるべきことを、「日本製品の魅力を世界に発信すること」だと考えていました。前職でも日本製品を海外に展開することがミッションでしたが、さまざまな業務を兼務しており海外市場と向き合うことに専念できる環境ではありませんでした。今回の転職で広瀬さんは、海外市場で成功するために自身の経験が活かせる環境を得ると同時に、海外市場を分析するための組織の構築まで担うことになり、経験の幅を広げていらっしゃいます。私はこの点が、広瀬さんにとって進化だと思います。国内の大手消費財メーカーで海外の市場調査に携わり、日本の製品を世界に広める。これまでに培ったスキルや経験をすべて活かした上で、より広瀬さんらしく、自由にリーダーシップを発揮して活躍できる場所を獲得されました。

02広瀬さんはどんなビジネスパーソンなのか

例えるなら「芯のあるスポンジ」。譲れないラインは明確だが、総じて柔軟

新卒で入社した外資系の大手消費財メーカーで長く勤務していた広瀬さんは、「日本製品の魅力を世界に発信したい」という強い思いから、あえて国内の中堅消費財メーカーに転職し、海外事業の推進役を担ってきました。仕事内容は希望通りでしたが、周囲に英語でコミュニケーションを取れる社員が少なく、海外関係の業務は、生産工場とのやり取りから社長の出張手配まで、何でも広瀬さんに声が掛かる状況だったそうです。

広瀬さんがdodaのエージェントサービスに登録したのは、日本製品の魅力を海外に発信するという自らのミッションを遂行でき、より活躍できる場所を探したいとの思いからでした。私は、多忙なエグゼクティブに電話でカウンセリングを行うことが多く、その内容をもとに、ご要望に沿った求人をご紹介しています。広瀬さんとの初回カウンセリングも電話で行いました。その時の印象は、人当たりが良く、フラットでフェア。ただ「譲れないところ」ではきっちりと主張される方で、例えるなら「芯のあるスポンジ」のような方だと思いました。

03A社が抱えていた事業課題

市場拡大の変革期でありながら、海外事業を牽引できる人材が不足

国内消費財メーカーの共通課題でもあるグローバル化が、A社にとっても課題でした。国内市場を中心に事業を拡大してきた日系企業が、海外の市場調査や、商品のローカライズなどを担う組織をすぐに整備することは容易ではありません。A社はまさにこのグローバル体制を構築し、海外進出を成功させることを注力すべき課題としていました。A社はこれまでも自社ブランドの海外展開に挑戦してきましたが、思うような結果を出せていません。その過程や状況は私も耳にすることがあり、海外事業に携わったことのある人材が不足しているのだろうと感じていました。

04キャリアアドバイザーが見立てた広瀬さんの“進化”のシナリオ

日系企業が海外で勝ち残る、その担い手の一人になれる

きっかけはA社に関心のあった広瀬さんから、A社の採用動向についてお問い合わせをいただいたことでした。A社の事業動向について理解があった私は、外資系企業と日系企業の両方でリサーチャーとして活躍してきた広瀬さんなら、A社で活躍できる可能性が高いと思いました。また、広瀬さんが重視していた「日本製品の魅力を世界に発信する」ことも、A社なら引き続きかなえることができます。

ただ、そのタイミングではA社が募集している具体的な求人があったわけではなく、どのように広瀬さんとA社を結びつけるか、私なりに検討しました。その結果、広瀬さんのための求人を創出できないかA社に働きかけることが私のすべきことと判断。広瀬さんのことを知っていただければ、A社は「必要な人材だ」と判断するはずと考えた私は、まずは広瀬さんの承諾を得て職務経歴書をA社に提出。次いでA社を担当している営業担当を通して、A社に広瀬さんが活躍できるフィールドはないか確認しました。その結果、A社には海外市場で勝負するためのリサーチを行う組織がなく、その立ち上げで活躍できる人材を求めていることを知りました。広瀬さんはA社で活躍できると考えた私は、A社の担当営業とともに、海外市場のリサーチを行う部門の管理職の求人を創出しました。広瀬さんにとっては希望がかない、組織体制の構築という新たな経験を積めるため、さらなるキャリアアップにつながると私は確信しました。

05広瀬さんがキャリアチェンジを決意するまで

「組織は好きに作っていい」。企業からの大きな期待が背中を押した

私は広瀬さんに、新たな求人を創出できたことを伝えました。そして広瀬さんをA社に紹介。広瀬さんに関心を持ったA社からは、「広瀬さんと面接ではなく、面談という形で一度会いたい」と連絡がありました。私は転職活動を行う方に、自身の市場価値が企業から一番高く見えるポイントは何かを自覚していただくことが、転職活動では非常に重要だと思っています。そのため広瀬さんには、職務経歴書の作成段階から外資系企業と日系企業のそれぞれで、開発とプロダクトマネージャーの橋渡しを担うリサーチャーの経験がある点を強みと意識するように伝えました。また 「日本製品の魅力を世界に発信すること」を重視されている点も、A社の事業の方向性に合致するため、面談でアピールすべきだと伝えました。

面談の場で、広瀬さんはご自身のスキルと入社後のビジョンを明確に伝えることができました。その結果、A社は広瀬さんが即戦力として海外市場向けのリサーチ部門を立ち上げリードしてくださる方であると判断。大きな期待を込めて、A社は新組織を率いるリーダーのポジションで広瀬さんを迎え、さらに広瀬さんの希望通りの年収を提示すること決定しました。広瀬さんには「組織は好きに作っていい」と伝えたそうです。広瀬さんも、やりがいのある仕事を得ると同時に、希望の年収額を提示され、入社を決意しました。

06そして“進化”した広瀬さん、迎えたA社の今

大手企業の変革を、当事者として楽しみたい

現在変革の真っただ中にあるA社では、社内外問わず異動が多いようです。昨日まで直属の上司だった人が、翌週には海外支店に赴任することも珍しくない。そんな環境で、広瀬さんは海外事業を牽引する新組織のリーダーとして、社内の体制を整えています。

広瀬さんがA社に入社した後、お祝いを兼ねた会食の場を持つ機会がありました。その際に広瀬さんは「この転職が正解であったかは、今はまだわからない。けれど、変化の中にいることを楽しみたい」と、現状をとても前向きにとらえていらっしゃいました。広瀬さんに会食でお会いしたのは転職して間もないころでしたが、すでに組織をどのように構築していくか、そのイメージが具体的にある様子でした。広瀬さんは今後、社内外から人材を厳選して数十名規模の組織を作り、リードしていく予定です。

私は広瀬さんのような人材が活躍する場を作れたことは、広瀬さんにとっての進化を支援できただけではなく、日本企業の海外進出を後押しすることにもつながったのではないかと思っています。

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