日本企業のグローバル化の動きを見ると、2007年頃までは生産拠点を人件費の安価な海外に設けるといった活動が中心でした。その動きが大きく変化したのはリーマンショック(2008年秋)以降。国内マーケットの需要に限界を感じた各企業が、販路や拠点の海外進出 に動き始めたのです。最近では、製品・サービスの研究開発や管理部門の海外移転など、世界中で一番ふさわしい地域に機能を分散させ、経営資源を最適化する動きも活発になっています。
採用シーンでも、英語力の高い人材を求める動きは加速(グラフ1)。英語力必須の求人は右肩上がりに増え、直近では全求人の約60%がTOEIC®テスト500点レベルを必要としています。今後、ますます語学力を求める動きは加速すると予想される一方で、日本のビジネスパーソンの語学力は、企業が求めるレベルに達していないというのが実情(グラフ2・グラフ3)。英語ができれば転職には有利になりますが、英語力を武器に転職している人は非常に少ない、というのが現状のようです。
英語力の需要と供給にミスマッチがある中、実際の採用現場ではどのようなことが起きているのでしょうか。
DODAキャリアコンサルタントによると、語学力を必須条件にあげる企業に、語学力の高くない転職者が合格するケースも少なくない、とのこと。
いくつかの事例を見てみましょう。
社内に外国人が多く、上司や部下とのコミュニケーションに英語力が必須。人気企業であることから応募者は多数。当然、語学力の高い応募者も多かったが、採用された男性の英語力は条件を下回っていた。しかし、前職で培った化学分析における専門スキルの高さ、また、20代でマネジメント経験もあったことが評価のポイントに。語学力については、「これからがんばります」と意欲をアピール。向学心の高さで足りないスキルをカバーし、合格。
海外進出を見込んでいる、太陽光発電システムを扱う企業の法人営業職。よって、語学力と法人営業経験は必須。しかし、合格したのはどちらの条件も満たさない人材だった、という珍しい事例。企業が着目したのは、記者という仕事柄、さまざまな業界のキーマンへの取材を通して、幅広い人脈を築いている点だった。自治体や大手企業という開拓難易度の高い営業先の門戸を開くには、そうした人脈やアプローチ経験が活きるのでは、と評価された。
世界各国に展開している大手メーカー。英語力は必須であるという求人において、英語の辞書持参で面接に挑み「英語はすぐ身につけられる。辞書を見ながらでも意思は伝えられる」と訴え、応募者多数の中、合格を勝ち取る。企業側も中途採用には「新しい風」を求めており、「世界最大手のメーカーが、人材募集に語学力を必須としていることこそナンセンスである」と言い切った彼女に、語学力よりも大切なポテンシャルを再確認したという事例。
これらの事例から言えるのは、語学力を採用条件にしている企業でも、合否を左右するのは語学力ではないということです。大切なのは、目の前にある業務に邁進し、スキルを磨くこと。そして、新しいものにチャレンジするスタンスを持ち続け、応用力、適応力を鍛えておくこと。 これは時代がグローバルに走ろうが走るまいが関係なく大切なことでもありますが、そんなビジネスパーソンとして当然の努力こそが語学力不足を補う最良の武器になるのです。
今回は、企業のグローバル化に伴う採用トレンドと、語学力の関係性をご紹介しました。20代ビジネスパーソンの語学力はまだまだ高いとは言えません。一方で、語学力を求める企業側にも求める理由が明確でないケースが見られます。だからこそ、語学力を身につけるのは“今”がチャンス。日本企業のグローバル化は確実に進展していきます。業務スキルがあり、語学力があれば鬼に金棒。転職成功や年収アップにもつながるでしょう。
20代については「転職×語学力」の関係性はさまざま。
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