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Progress -女性活用の先駆社- Progress -女性活用の先駆社-

男女雇用機会均等法が施行されて約30年。さまざまな制度の整備などによって、女性活用が推進されてはきたが、本当の意味での活用はまだまだ進んでいない。そして今あらためてその必要性が叫ばれている。そのような中、先駆者的に女性活用を進めてきた企業がある。それらの企業はこれまで、どのような課題にぶつかり、それをどのように乗り越えてきたのか。また今後、どう前進していくのか。先駆“社”をレポートする。

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掲載日:2013年12月16日

Progress story #04
ヤフー株式会社

(写真左)

斎藤 由希子 氏 社長室 ピープル・デベロップメント本部 グループ人事室 室長

1999年に中途入社。総務部を経て、2001年以降は一貫して人事畑を歩む。同社が100名から4,000人規模の企業に急成長を遂げる中で、人事制度企画、採用、研修、育児支援などに幅広く携わる。パパママサポーターの1人としても活動。現在、2児(6歳と4歳)の母。

(写真中)

海藤 由理 氏 社長室 ピープル・デベロップメント本部 人材採用室

1999年に中途入社。総務部を経て、2001年以降は一貫して人事畑を歩む。同社が100名から4,000人規模の企業に急成長を遂げる中で、人事制度企画、採用、研修、育児支援などに幅広く携わる。パパママサポーターの1人としても活動。現在、2児(6歳と4歳)の母。

(写真右)

中村 有沙 氏 社長室 ピープル・デベロップメント本部 組織開発室

2007年に新卒入社し、地域サービス事業部でビジネス開発を経験。その後、Yahoo!不動産の企画に4年携わり、2012年10月より現職。組織活性を担当し、活性化に向けた方策の一つとしてダイバーシティ推進に取り組む。

ITで世の中の課題を解決できる会社であるために
まずは、働く人が幸せな会社でなければならない

“社員ひとりひとりの才能と情熱を解き放つ”、「多様な働き方」を推進

女性活用DATA

産休・育休後の復職率:

95.8%(2012年度)

育児休業:

1歳に達するまで。保育所等への入所が決まらない場合は2歳に達するまでの間で延長可能

育児短時間勤務:

小学6年生まで(1日5時間までに短縮)

看護休暇:

小学校就学前の子ども1人の場合は5労働日
(2人以上の場合は10労働日)以内

マタニティー休暇:

5労働日以内(産前休暇取得まで)

2012年4月に経営陣が刷新され、新体制による“第二の創業”を遂げたヤフー株式会社。それに伴って新たな人事評価制度や施策が多数導入され、自己申告型の異動制度「ジョブチェン」や、全社員が基本的に3年任期で持ち場を変わる「3年任期制」などのユニークかつ斬新な取り組みを進めている。「多様な働き方をヤフーの象徴にしたい、という考えが根底にあります」と斎藤氏。「ITで社会を幸せにする『課題解決エンジン』であり続けることがヤフーの存在意義。そのためにはまず、働く人が幸せな職場環境を実現しなければならないという信念の下、新体制発足以来60を超える人事施策を新たに導入しました」。

そもそも経営刷新の背景には、4,000人規模の企業へと急速成長を遂げる中で、いつしか同社が先駆的な挑戦から遠ざかっていたことへの反省があった。
「大企業病」とも呼べる状況からの脱却を図ってのさまざまな変革だったのだ。すべての社員が、どんなライフステージでも最大限に力を発揮できる風土、多様な価値観を尊重する風土になることが、ヤフーから「!(びっくり)」なサービスを生み出す価値観を創造する原動力になる。

“働き方の多様性”がヤフーの象徴のひとつになればよいと着手したのが「短時間勤務」や「時差出勤」をはじめとする仕事と育児の両立支援だ。というのも、全社員の3人に1人が子育て中で、特に小学生以下の子を持つ世代が中核。2013年4月には短時間勤務の対象年齢を小学校3年生から6年生に引き上げるなど、社員の意見や要望を反映しながら、より使いやすい制度を目指しての改良を続ける。

こうした取り組みの成果は数値にも表れ、産休・育休からの復職率は95.8%(2012年度)と、きわめて高水準だ。自身が担当する新卒採用ページでこの数値をアピールする海藤氏は「『IT業界=短いスパンで転職を繰り返す』という学生の先入観を払拭し、多くの社員が仕事と育児を両立しながら働き続けている事実を広く発信したい」と話す。

「キャリア=人生を考える」という企業文化も追い風に

ダイバーシティというキーワードが社内でクローズアップされ始めたのは2013年度に入ってからだが、多様性を尊重するという概念自体は企業文化として根付いていたという。そこにはIT業界の特性も関係していると斎藤氏は説明する。「企業としての成長のためには、社員一人ひとりが能力や個性、発想力を十二分に発揮することが不可欠な業界。また、変化のスピードが速い分、個々の企画やプロジェクトが新規に稼働するタイミングが豊富にあり、たとえ産休や育休で1年職場を離れても大きなブランクにはなりにくい。私自身2回の育休を取得しましたが、スムーズに職場復帰できました。

加えて、キャリアの定義を仕事のみに絞らず「キャリアとは人生を考えること」という意識が同社の風土として定着していたことも大きい。このような従来からの「多様性を認め合う土壌」に、経営体制の刷新が加わったことで「人を活かす」動きはさらに加速。社員にもさまざまな意識の変化をもたらした。「課題解決エンジンという会社のミッションや才能と情熱を解き放つといった人材育成の方針が打ち出されたことで、それに沿った内容でさえあれば、有志メンバーによる企画も面倒な手続きや申請なしに迅速に実施できるようになりました。より良い職場環境を自分たちで考えつくっていこう、という姿勢が浸透してきています」と中村氏。育児経験を持つ社員が両立への具体的なアドバイスをする「パパママサポーター制度」や、女性のキャリアプランをテーマにしたワークショップなど、多彩なプロジェクトが有志社員によって企画・運営されている。

人事の公平・公正さをチェックする体制の整備が課題

仕事と育児の両立支援の取り組みを進める中で、新たな課題も浮かび上がってきた。それは、子育て中の社員のみならず、その上司へ向けたサポートの必要性だ。年齢や性別を問わない「適材適所」の人材登用が徹底されている同社では、結婚も育児も未経験の若手社員が、子育て中の社員を部下に抱えるケースも少なくない。そこで、先述のパパママサポーター制度に「上司向け」のサポーターを新たに設置。「評価はどのようにすればいいのか」「休日の研修に声をかけていいのか」などの質問に対し、経験に則した具体的なアドバイスを送り好評を得ているという。11月に初めて開催した、育休中の社員を対象に子ども連れでも参加可能な「育児休業者座談会」では自発的に顔を出す上司もいて、部下の子どもを抱っこする姿も。参加社員からは「上司に理解されている安心感が復職への弾みになる」との声も多い。

一方で、これまでは社風や文化としてとらえていた「多様性」を、あらためて経営戦略として推進していく上での課題も挙げられる。「性別や年齢といった表層的なダイバーシティだけではなく仕事経験、働き方など深層的なレベルのダイバーシティを実現していく必要がある。そのためにも、あらゆる人事施策において、ダイバーシティの観点から必要な考慮がなされているかを確認する、メディカルチェックシートのような仕組みも必要だと考えています」と斎藤氏。中村氏は「新しい制度や施策が立て続けに導入され、それらを十分に活用しきれていない社員がいるのも事実。根づくのを待つのではなく、浸透を積極的に促す仕掛けづくりにも着手したい」と話す。“第二の創業”から1年半が過ぎ、ヤフーは今まさに進化のただ中にある。

COMPANY DATA

企業名
ヤフー株式会社
設立
1996年1月
事業内容
インターネット上の広告事業、イーコマース事業、会員サービス事業など
従業員
4,514名(2013年6月30日 現在)
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