2025年までに、定年となる人たちの希望者全員が65歳まで働けるようにする「改正高年齢者雇用安定法」を知っていますか? この法案を見る限り、定年が60歳から65歳に引き上げられたと感じるのですが、どうやらそれは誤解のようです。

 

「継続雇用制度は個人と会社とで結んでいた60歳までの雇用契約が定年で満了したあとに、新たに結ぶ契約なので定年が引き上げられる訳ではありません。極端なことを言えば、これまで実績が評価され、社内で大きな権限を持っていた部長であっても、60歳になり定年を迎えたことで、次の年度からの5年間は新卒のお給料と同等かそれ以下の賃金で簡単な雑務を任せても法律的には問題はないのです。とはいえ、希望者全員を受け入れることになった企業にとって、金銭的な負担が膨らむのは間違いありません」(経済学者・安藤至大さん)

 

この制度が今の20代にどのような影響を与えると考えられますか?

 

「普通の正社員や高いスキルを持っている人には、ほとんど影響はないでしょう。しかし、正社員ではない人たちやアルバイト労働者にとっては、継続雇用される高齢者と仕事がバッティングしてしまう可能性があります。ですから、特別のスキルを持たない非正規社員の働き口が狭まる可能性があります。とはいえ、皆さんの世代が中堅社員になったとき日本の生産年齢(15〜64歳)人口は数段に落ちるので、若い人材は今まで以上に求められるし、高齢者も人手不足を補う役割を果たしていくでしょう。ただし、技術革新によって起こる仕事の機械化が生産年齢人口減少よりも早く進めば、仕事にあぶれてしまう若者は増える可能性もあります」

 

こうした変化の時代にどんな心構えでいることが大切なのでしょう?

 

「まずは今の会社で必要とされ続けるためにも、目の前の仕事に取り組んで欲しいです。そして、年に1度は今のままで大丈夫か、少し方向転換が必要かをきちんと考えられる柔軟な姿勢でいること、その両方が大切だと思います」

 

僕らの世代に影響が無いとはいえ、年をとった頃、職場でお荷物扱いされないように、今のうちに積極的にスキルを身につけていくことが大切なようですね。

 

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(識者プロフィール)

安藤至大 (あんどう・むねとも) /経済学者。日本大学准教授。専門は契約と組織の経済学、労働経済学、法と経済学。 NHK(Eテレ)「オイコノミア」に講師役で出演中。