将来TPPで農業製品の競争が自由化されることもあって、最近さまざまな企業が農業分野に参入しています。農林水産省の調べでは、2009年の農地法改正以降、1000を超える企業が農業に参入しているようです。つまり、企業の農業ビジネス参入にとって追い風の時代ということなのでしょうか?

 

「確かに10〜20年前に比べて、企業が農業ビジネスに参入しやすくなったのは事実です。ただ、異業種で参入した企業の多くは、事業として黒字化できていないのが現状です」

 

と、教えてくれたのは農業参入を目指す企業に対してコンサルティングを行っている野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社 調査部主席研究員の佐藤光泰さん。勝算は少ないのに、農業分野に企業がこぞって参加する理由とはなんなのでしょうか?

 

「企業が農業参入する理由は、1.企業のCSR、2.雇用の場の確保、3.ビジネス化にむけた先行投資、の3つに大きく分けられます。
まず、地域に根付いた事業を展開している企業においては、地域関係者との共存が不可欠です。現在、地域で課題となっている項目の一つに、耕作放棄地の増加と農業者の高齢化(地域農業の担い手の減少)があります。この分野に企業が取り組むことで、『地域問題にも目を向けている企業』というイメージの向上が期待できます。
雇用の場の確保としての農業参入は、企業の工場のアジア進出が進む中、既存従業員の雇用の場の確保が急務となっています。農業参入を通じて、これまでの従業員の雇用を確保しようという動きです。
ビジネス化に向けた先行投資も、最近増加傾向にある参入理由です。規制緩和や技術革新、また、世界的な食料需給の逼迫懸念などから、日本においても農業ビジネスが収益事業になるのではないかという考えも存在し、先行的にR&Dを行っている動きもあります。どのような参入理由にせよ、農業参入を成功させるポイントの一つは『地域との調和』です」(同)

 

つまりこれからは、企業は農家とパートナーシップを組んで参入することが必要になるということでしょうか?

 

「その通りだと思います。規制が緩和されてきているとはいえ、地域との調和という視点がなければそもそも農業参入はできません。また、生産ノウハウという観点からも、その地で長く地域生産者が培った力を借りなければ良い農産物を作ることは容易ではないと思います。企業の農業参入が進んだとはいえ、これからも地域農業の担い手の中核は地域農業者です。
一方、農業従事者の高齢化に伴う担い手の減少で、企業を新たな担い手と位置付ける地域も増えてきました。双方が不足しているノウハウを補完し合い、お互いに手を取り合って地域農業を活性化させる考え方が何より重要だと思います」(同)

 

それぞれのセクションを跨いだ協力が進み、日本の農業ビジネスが発展することを望みたいですね!

 

(関連リンク)
野村アグリプランニング&アドバイザリー株式会社

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