新入社員はもとより、中途入社社員の人で「前の会社では経費として落ちたのに、新しい会社では自己負担」というふうに経費のボーダーラインの違いに困ったことはありませんか? 一般的に何が経費扱いで、何が経費として認められないのか。分かっているようで分かっていない“経費”のルール・原則について、税理士の山本邦人氏にお伺いしました。

そもそも経費とは? 「経費」の定義

経費とは会社の事業に関連するお金のうち損金と認められるお金を指す

「まず、会社は利益に応じて税金を支払います。この“利益”というのは会計上“収益-費用=利益”として計算されます。しかし税務上は“益金-損金=所得”の計算式ではじき出された“所得”に対して税金を支払うことになるんです」(山本邦人氏)

 

--会計と税務というのは別々に考えなくてはいけないものなのですか?

「はい、それぞれ目的が異なるんです。会計は、“投資家、株主、銀行、取引先などに対して、会社の業績などを示すこと”を目的とし、税務は、“納税する際の税額を計算すること”を目的としています」(同)

 

--なるほど、この違いが経費に関わってくるんですね。

「そうなんです。会計上の“費用”が税務上の“損金”として認められれば、その分会社の所得が減り税金も減ります。そのため、会社の費用のうち損金として認められるものを“経費で落ちる”という言い方をするんです。経費で落ちるかどうかは、会社の事業と関連性があるかどうかがポイントとなってきますね」(同)

 

だからこそ、会社によって経費とされるものに違いが生じるということなんですね。 それでは、経費の定義について知ったところで、今度はいくつかの実際のケースに即して、経費で落ちるかどうかを教えてもらいました。

 

さあ、レッツ・ケーヒ・スタディー!!

 

【ケース1】入社後、社内での公用語が英語になった。この場合、英会話教室に通う費用は経費で落ちる? また、これが参考書だとしたら?

A.事業上必要なため落ちる。

「英会話教室に通う費用は経費で落ちます。社内で公用語が英語になるのは事業上必要があるため、英語を習得するための費用も同様に事業上必要なものと認められるからです。また、参考書も同様です」(同)

 

【ケース2】取引先との接待ゴルフのため、購入したゴルフクラブセット。これは経費で落ちる?

A.落ちるかどうかは所有者による。

「ゴルフクラブセットが会社の備品として接待ゴルフのためだけに使われるのであれば、事業との関連性が認められるので経費で落ちます。しかし、ゴルフクラブセットが個人の所有となり、プライベートでも使われるようであれば経費で落ちません」(同)

 

【ケース3】営業マンの必需品であるスーツ。ボロボロになってきたけど買い換える余裕はない。スーツって経費で落ちる?

A.会社の経費では落ちないが、確定申告次第で個人的には落とせる場合も。

「会社の経費では落ちません。会社の制服であれば事業との関連性が認められるので経費となりますが、スーツの場合は個人の所有となり、会社以外で使用することも考えられるからです。ただし、場合によっては確定申告をすることにより、個人の所得税の計算上、経費で落ちる可能性もあります」(同)

 

【ケース4】日頃のデスクワークで肩や腰がボロボロ。マッサージに行きたいんだけど、これって経費で落ちる?

A.個人的なものなので落ちない。

「経費では落ちません。従業員全員が対象となる慰安旅行代などは経費として落ちますが、マッサージは個人的な目的が強いため事業との関連性が認められないからです」(同)

 

【ケース5】部下の仕事が忙しく、食事にも出られない状態。お弁当を買ってきてあげたけど、これって経費で落ちる?

A.すべては落ちないが、場合によっては一部落ちる。

「経費では落ちません。従業員に対する食事代は、本人が半分以上を負担しているのであれば月3,500円(税抜)までは会社の経費になります」(同)

以上、5つの事例について解説していただきました。すべてに共通していえるのは、経費の定義でも伺ったように「事業との関連性があるかないか」なんですね。「大丈夫、経費で落ちるから」なんて、やたらめったらに経費扱いにして痛い目を見ないよう、皆さんもぜひ参考にしてみてください。

 

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(識者プロフィール)

山本邦人(やまもと・くにと)/山本公認会計士・税理士事務所代表。公認会計士、税理士。監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、平成17年に独立。現在は中小企業を中心に150件を超えるクライアントの財務顧問として業務を行う一方、税金面だけではなく、事業の継続的な発展という全体最適の観点からアドバイスを行う。

取材協力:税理士ドットコム
登録税理士1,851名、相談件数10,035件(2014年4月22日現在)日本最大級の税理士紹介ポータルサイト。