働き盛りのビジネスパーソンにとって「寝不足」は天敵です。特に日本の夏は蒸し暑く、寝不足で仕事に手がつかないという人も多いことでしょう。夏まっただ中の8月はもちろんのこと、最近では9〜10月でも残暑が続くので、体調を崩しがち。では、夏の寝不足に対抗するにはどんな方法があるのでしょうか。

「深くて質の良い睡眠を取るために必要なのは、入眠時において上手に深部体温を下げることです。この深部体温は自分では測れないのですが、36度台後半〜37度前半から、35度後半に下がると良いとされています。深部体温と、一般的にいわれている体温(表面体温)は相反する関係です。ですから、例えばエアコンなどで体を冷やすと、反対に深部体温は上がってしまうので、夏は深部体温を下げるのが難しいのです。そこで、ちょっとしたコツが必要です」

そう話すのは、『あなたの人生を変える睡眠の法則』などの著書があり、ビジネスパーソンの睡眠に詳しい作業療法士の菅原洋平さん。今回はそんな菅原さんに、夏の睡眠不足を解消するための体温調節のコツについて、お話を聞いてみました。

 

エアコンは睡眠直前につけたのでは遅い

「人間は、発汗し、その汗が蒸発することで体温を下げます。しかし、高温多湿の部屋では汗が蒸発しません。そこでオススメしているのが、睡眠に入る1時間前に、寝室のエアコンのスイッチを入れることです。さらに汗の吸収を促すために、枕や布団、マットレスを冷気に触れさせるといいでしょう。エアコンのスイッチを入れている間は、お風呂に入ったり夕食の洗い物をするなど別の部屋で過ごすことを心掛けましょう」(菅原さん:以下同じ)


エアコンは冷房とドライのどちらがいいのでしょうか。


「高温はもちろんなのですが、多湿も睡眠不足の原因となります。“除湿機+冷房”がもっとも効果的だと思います。ただ、除湿機がない方は、冷房でもドライでも快適に過ごせるほうで問題ありません。とにかく言えることは、“いざ眠ろうとするときにスイッチをつけたのでは遅い”ということです」

 

睡眠時に身につけるべきものとは!?

「体内から汗が出ていくことが大切なので、汗を吸いやすい素材の服を身につけるべきです。ジャージなどの汗を吸わない化学繊維のものは着てはいけません。ガーゼ素材など汗をよく吸収し、速乾性のある服が良いでしょう」


これ以外にも、眠るときに身につけるもので注意点があると菅原さんは言います。


「ほかに、眠るときに気を付けなくてはいけないのが足首です。足首、つまりくるぶし辺りを冷やしてしまうと人間の体は、体温が下がったと錯覚します。すると体が体温を上げようとして、睡眠が妨げられます。それを防ぐためにも、夏用のレッグウォーマーなどを身につけるとよいでしょう」

 

「朝方に起きてしまう」「睡眠時間が減った」で焦らない

「『他の季節に比べて夏は睡眠時間が減った。特に朝方起きてしまうことが多い』という相談をよく受けます。しかし冬に比べて睡眠時間が減ったとしても問題ありません。なぜならそれは当たり前のことだからです。睡眠時間が減ったと焦って、無理に二度寝をしたり昼寝をしたりするほうが、よほど睡眠の質を下げる原因となります」


どうして夏は睡眠時間が減ってもいいのでしょうか。菅原さんは次のように続けます。


「そもそも、人間の睡眠は一年を通して一定ではありません。日照時間、つまり季節によって人間が取るべき睡眠時間は変動するのです。夏場は朝の4〜5時から空が明るくなりますよね。それとともに体が目覚めるのは、自然なことなのです。もっとも悪いのは、朝早く目覚めたあとに、エアコンをつけて二度寝することです。人間の体は、起床に向けて体温を上げていくもの。それを妨げてしまうと、午前中の仕事のパフォーマンスが著しく低下してしまうので注意が必要です。夏は早起きで構わないのです」

寝不足は、頑張りたいビジネスパーソンの最大の敵。特に熱帯夜の続く日本の夏は、寝不足になりがち。ただ、ピンチはチャンスです。あなたのライバルである会社の同僚や、競合他社のパフォーマンスも、きっと下がることでしょう。そんなときにここで紹介したコツを実行し、良い睡眠を取ることができれば、きっとライバルたちに差をつけることができるはず。ぜひお試しください!

識者プロフィール

菅原洋平/(すがわら・ようへい) ユークロニア株式会社代表。作業療法士。睡眠研修を30社以上で実施するなど、中高年の睡眠に精通。著書に『あなたの人生を変える睡眠の法則』(自由国民社)、『仕事力が上がる睡眠の超技法――これで「集中力」「切り替え力」が冴えてくる』(祥伝社)などがある。

菅原さんが主宰する睡眠改善サイト「アクティブスリープ」