忙しい日々に追われて、本を読む機会が少なくなってはいませんか?

そんな方のための図書館が、今年6月渋谷にオープンしました。その名も「森の図書室」。連日多くの社会人が、新しい本や趣味の合う人との出会いを求めて集います。

コンセプトを一言で表現するなら、そこは“大人の図書室”。来館者の居心地を担保するために会員制をとったり、お酒やおつまみを提供したり。ゆったりした時間のなかで、お酒を通したコミュニケーションが介在することで、より充実した読書体験が得られます。
でも、

「遠くて渋谷になんて行けない!」
「図書館なんて行く時間ない!」
という方もいますよね。

今回はそんな方のために、「森の図書室」の室長である森俊介さんに、本を5冊おすすめしていただきました。いわば「森の図書室」の出張本棚。テーマは「働く大人たちにアイデアや活力を与えてくれる本」。さぁ、ビジネスパーソンがこの秋読む本はこれで決まり!

 

「朝は眠たくてどうも頭が働かない」という人に

1.『頭の体操BEST』著:多湖輝 光文社
頭の体操BEST

「脳を刺激する問題集です。このシリーズは23集からなるベストセラー。今回推薦したこちらは過去の人気シリーズ2000問以上あるうち、100問に絞ったベスト版です」(森さん:以下同じ)

「例えば次のような問題が載っています。

『お父さん想いの息子が車を買い、親子はドライブに行きました。しかし不運にも途中で事故に遭い、お父さんは即死、息子は重症。病院に運ばれたものの、息子の姿をみた医者はショックを受け、手術を拒否しました。さて、この医者と息子の関係は?』

こちらは、固定観念や思い込みをなくすことが問題を解くカギになります。寝起きの頭を覚ましたいときや、何かに集中したいとき、この本にある問題で固くなった頭をほぐしましょう」

 

人前で話すこと、要領をおさえることが苦手な人に

2.『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』著:カーマイン・ガロ
/訳:井口耕二 日経BP社
驚異のプレゼン

「シンプルで無駄がなく、それでいて大事な要素がしっかり詰まっています。人に物事を伝えるうえで重要な点が理路整然と説明されているので、美しさまでも感じる一冊です。

この本に影響されて、ある状況に置かれたとき、『僕がジョブズだったらどうするか』とジョブズになりきって考えるようになってしまいました。ジョブズが実際にプレゼンをしている動画と照らし合わせると、効果も倍増します。明日から使えそうなテクニックもたくさん詰まっているのでオススメですよ」

 

「自分は会社の役に立っているのかな?」と悩みはじめた人に

3.『調理場という戦場』著:斉須政雄 幻冬舎文庫
調理場という戦場

「著者の斉須さんは若いときに、料理を学びに一人でフランスへ修行に行き、現在ではコート・ドールのオーナーとして料理の世界で活躍している方。この本では、そんな著者が修行時代に料理と仕事の経験を通して、成長していく過程が描かれています。

料理も仕事も人間がつくっていくものですが、仕事から生まれる課題に真剣に向き合っていく行動によってこそ、人格が形成されていくことをこの本に教えてもらいました。新卒生や社会人経験を積み始めたばかりの方に勇気を与える一冊になるかと思うので、ぜひ読んでいただきたいです」

 

物事を要領よく把握する力をつけたい人に

4.『ロジカル・シンキング』著:照屋華子・岡田恵子 東洋経済新報社
ロジカル・シンキング

「こちらは論理的に思考を整理するのに役立つ本です。教科書のように論理構造の用語があり、それに対する説明があります。また、実践に即した問題も載っているので、イメージもつかみやすいでしょう。

例えば、『MECE:ミッシー("Mutually Exclusive Collectively Exhaustive"の略)』という用語。じゃんけんの『グー』『チョキ』『パー』を連想していただくと、それぞれの力は別のものですが、強さは均等で、平等な勝敗ルールが成立していますよね。MECEは、全ての働きには重なりがなく、また漏れがないといった意味を持ちます。

このように会話を論理的に構築するうえで欠かせない思考法が、この本には詰まっています。ビジネス会話のスキルを上げるのに適した一冊になるのではないでしょうか」

 

仕事を忘れて自分の時間をつくりたい人に

5.『モモ』著:ミヒャエル・エンデ/訳:大島かおり 岩波少年文庫
モモ

「『時間』というものをテーマにした児童書。時間どろぼうに時間を盗まれた人々は、日々の生活にどんどん余裕を失ってしまいます。豊かな想像力と不思議な力を持った少女、モモは、たった一人でこの時間どろぼうを率いる『時間貯蓄銀行』という組織に立ち向かっていきます。

果たして奪われた時間の行く末はどうなっていくのか。子どもたちだけではなく、『忙しい』『時間がない』と言う大人たちにも読んでもらいたい一冊です。子どもとは違う時間の価値を持った、大人ならではの感想があると思います」

いかがでしたか? 自分には無縁だと思っていた本も、手にとって読んでみると、人生を変えてしまうような驚きと、発見があるかもしれません。また、自分の力だけで壁を乗り越えるのが困難なとき、引き出しとして本に助けてもらえることもあるかもしれませんね。

この記事から、秋の夜長を共にする本が一冊だけでも見つかれば幸いです。

秋は読書で大人磨き! 「森の図書室」室長が選ぶ、ビジネスパーソンに効く本5冊
識者プロフィール

森俊介(もり・しゅんすけ)/早稲田大学卒業後、社会人経験を経て、今年2014年6月に「森の図書室」をオープンさせる。オープンしてからまだ間もないものの、2014年9月に至るまでに「未来シアター」をはじめ、さまざまなメディアで取り上げられた。「読書を押し付けるのではなく、なんとなく本を手にとってみたくなるような、友達の家のように気軽な空間」を目指して現在もお店づくりに全力で取り組んでいる。