まだまだ寒い日が続き、風邪やインフルエンザなど何かと体調を崩しやすいこの季節。急な体調不良でどうしても会社を休んだり早退しなければならなくなることは、だれにでも起こりうることです。

仕方が無いこととはいえ、欠勤や早退時の思わぬマナー違反で周囲からの信用を損なってしまうこともあります。今回は欠勤・早退するときの正しいルールを、マナーコンサルタントである西出ひろ子さんに解説していただきました。

欠勤・早退の基準は「周囲に悪影響を及ぼす可能性があるか」

まず、会社を欠勤・早退してもよいかを見極める基準はあるのでしょうか。

「欠勤・早退が許される基準というのは、一概には言えません。本人や上司、同僚、その会社の考え方によって異なるからです。しかし、マナーという観点でみると、最も大事な基準は『周囲の人に迷惑をかけるか、かけないか』という点です」(西出さん:以下同じ)

「風邪で熱がある、咳が止まらない……そのような状態にもかかわらず会社に行くと、周囲に心配をかけるだけでなく、『ミスが増える』『周囲にうつしてしまう』ことなどが考えられます。『自分の状況が周囲に悪影響を及ぼす可能性がある』ために、欠勤早退をするということは社会人としての、一つのマナーと言えます」

周囲に悪影響を及ぼす可能性がある例として、以下のようなものがあるそうです。

 

周囲に悪影響を及ぼす可能性があるのはこんな場合

・インフルエンザなど、周囲の人にうつる可能性のある感染症
・高熱(一般的には37度以上)、咳が止まらないなどの症状
・腹痛や胃痛
*直接周囲への影響はないと思うかもしれませんが、その原因によっては周囲への感染もあり得るため、欠勤・早退の理由になります。
・骨折などのケガ
*外科が担当するような事情の場合は、周囲へ直接感染するわけではないので、本人の痛みや状況次第となるでしょう。

若手ビジネスパーソンにありがちな欠勤・早退時のマナー違反

以上のような基準を満たしたとはいえ、好き勝手に欠勤や早退をしていいわけではありません。西出さんによると、若手ビジネスパーソンは次のようなマナー違反をしてしまいがちだそうです。

 

マナー違反1:欠勤や早退に関してその理由と伺いの姿勢がない

「事情があっての欠勤や早退とはいえ、一方的に『今日は休みます』『早退します』と言ってしまうと、『その言い方はなんだ!』といったように、マイナスな評価につながりかねません。明らかに欠勤せざるを得ない場合でも『高熱が出ているので、本日はお休みしてもよいでしょうか?』と、①きちんと理由を言う②伺い口調にする、ということを意識して、相手から承諾を得るようにしましょう」

 

マナー違反2:メール一本で一方的な連絡をする

「欠勤や早退願いを、メールで送信する人が急増しています。体調不良で、話しをすることがつらいときもあるかもしれませんが、メールだと上司がそれを開封し、読んだかどうかが、返信をもらうまで分かりません。さらに忙しい上司に返信の手間をかけさせるという意味でもマナー違反。どんなに体調がつらくても、電話をかけて上司にその旨を伝えましょう。同様に、LINEで送信ということもNGです」

欠勤・早退時の正しいマナー

それでは、欠勤・早退時の正しいマナーとはどのようなものなのでしょうか。「社内への対応」と「社外への対応」に分けてみていきましょう。

 

社内への対応

社内への対応は、そのときに会社に上司が出勤しているかどうかで異なります。

上司が在席している場合:直属の上司に電話で伝える

「まずは、自分の直属の上司に電話で伝えます。上司から直接了承を得ずして欠勤すると、後に無断欠勤をした、などのトラブルに発展する可能性が考えられます。もしも上司と連絡がとれない場合は、先輩や他部署の管理職の方に相談をして、指示を仰ぎましょう」

 

上司が不在の場合:メールで記録を残した後に電話をかける

「上司が不在の場合はその時点で、上司宛にメールを送信しましょう。いつ欠勤・早退の申し出をしたのかが、記録として残ります。その後、直接話しができるよう、あらためて電話をかけ直します。また早退の場合は、体調の許す限り上司からの返信を待ちましょう。時間が経っても返信のない場合は、他の管理職の人からの了承を得て早退します。このときも、メールとメモで早退することを上司宛に連絡しておきましょう」

 

伝え方のポイントは「クッション→理由→業務状況→伺い」

「『皆さんお忙しい中、大変申し訳ないのですが……』と、まずは相手の状況などに配慮したクッション言葉を伝えます。次に『昨晩から熱が38度ありつらい状況にあります』や『昨日から体調が悪かったのですが、頑張って出勤して来たものの、やはりつらいので』と理由を伝えます。続いて『本日は特にアポイントメントなどもない状況なので』など、その日の業務状況を伝えます。そして『お休み・早退してもよろしいでしょうか?』と伺い型で相手から承諾を得るようにします」

 

社外への対応

もしも、大事な商談や打ち合せ、あいさつ回りなどの当日に体調が悪くなった場合は、その内容に応じての対応が必要となります。

 

取引先とのアポイントがある場合:

「もしも、あなたが担当の中心となっている案件の場合は、立ち上がれないほどの体調不良でない限りは、少々つらくてもせめてそのアポイントの時間だけは出勤するようにするのが、仕事人としての責任です」

 

お客さまとの約束の場合:

「お客さまに連絡し、正直に事情を説明して、日程変更が可能かどうかの伺いをたてましょう。もし、お客さまが『どうしても本日でなければ都合が悪い』ということであれば、代理の人でもよいかどうかなどを聞いたうえで対応しましょう。お客さまは、担当者であるあなたに会えることを楽しみにしているケースも多いからです。当日、急にキャンセルや延期の連絡をすると、お客さまは『私のことよりも優先する仕事があるのか』と思い、不機嫌になる可能性もあるので注意しましょう」

いかがでしたでしょうか。欠勤・早退時のマナーに加えて、西出さんは「最も大切なことは、常日頃から上司や先輩、同僚などと互いを思いやるコミュニケーションをとっていること」だと言います。

日頃から良い人間関係を築いていれば、欠勤や早退の申し出をしても、さほど大きな問題に発展することはないのです。つまり、マナーは日頃からの積み重ねが大切。そう考えると、普段から手洗いやうがいをする、十分な睡眠時間の確保など、自身の心身を思いやることも、突然の欠勤・早退で周囲に迷惑をかけないための、マナーのひとつといえるかもしれませんね。

 

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プロフィール

西出ひろ子(にしで・ひろこ)/
マナーコンサルタント・美道家。大妻女子大学 文学部 国文学科(現 日本文学科)卒業後、国会議員などの秘書を経てマナー講師として独立。1998年に渡英し、現地にてビジネスパートナーと会社を設立。イギリスにて、マナーの本質を説き、互いの幸せを生み出す独自のマナーコミュニケーション論®を確立。帰国後は、相手を思いやる心重視のマナー論と独自の指導法を展開させ、企業や病院、学校にて結果を出すマナーコンサルタントとして定評を得る。その活躍はメディアにて多数紹介され、ドラマや映画のマナー指導なども務めるカリスママナーコンサルタントとして幅広く活躍中。著書に累計27万部の『お仕事のマナーとコツ』(学研)、『完全ビジネスマナー』『ビジネスマナー虎の巻』(共に河出書房新社)、『できる大人の気くばりのルール』(KADOKAWA)など多数。2015年2月には最新刊も発売予定。