新卒1年目のスーツ選びでは、きっと「個性」よりも「無難」をテーマにしていた人が多いはず。
しかしいかにも新人らしいスーツは、車の運転に例えると「若葉マーク」のようなものです。社会人2年目のビジネスパーソンが、周りから「あの人、仕事デキそう!」と思われるようなスーツを選ぶとしたら、どういったポイントを押さえればよいのでしょうか?
今回は、文化服装学院メンズデザインコース教員の鈴木憲道先生に2年目からのスーツ選びの際に気を付けたいチェックポイントを伺いました。

 

1年目のスーツがダサいのはサイズのせい?

そもそも、なぜ1年目のスーツが「ダサい」のでしょうか?

「社会人になって初めてスーツを買うとき、いわゆる『吊るし』と呼ばれる既製品を買う人がほとんどです。もちろん、自分に合ったサイズを選んでいるとは思うのですが、一般的な既製品だとズボンの丈やそで丈ぐらいしかサイズを直せない。そのため、どうしてもサイズ感にズレが生じてしまうんです」(鈴木先生)

何気なく着ているようで、わずかに生じるこのサイズ感のズレから、1年目ならではの「服に着られる」といわれるような「ダサさ」が生じてしまうのかもしれませんね。

 

スーツを選ぶ7つのチェックポイント

1年目のスーツを卒業して、「あの人、デキそう!」と周りから思われるスーツを購入する際には、サイズを含めていくつかのポイントをチェックすることが必要です。項目別に見ていきましょう。

1.サイズ

「まずは肩幅が合っているかどうかです。スーツの肩幅やシャツの襟が小さいと顔の大きさが目立ってしまうので、気になる方は気持ち大きめにサイズを取ると良いでしょう。肩幅も気持ち広めに、襟は標準よりも広めにしてみると、顔の大きさが控えめに見えます。また、そで丈はドレスシャツが1cm、そでからはみ出るくらいがちょうど良く、着丈はお尻がギリギリ隠れるか隠れないかくらいが良いでしょう。ズボンは太さが通常であれば、前側の縫いヒダは1本(ワンタック)、流行の細身であれば縫いヒダ無し(ノータック)でもOKです」(鈴木先生:以下同じ)

2.全体のバランス

「スーツにもはやり廃りがあります。しかし注意すべきなのは、全体のバランス。着丈、襟の大きさなどは流行に左右されず、きちんとバランスの取れているものを選ぶべきです。百貨店などの担当者はきちんと研修を受けているので、相談すべきでしょう。ただ、個人経営のテーラーの方は当然スーツについて詳しいので、そういった点についても安心して任せられます」

3.素材

「ダーク系の無地が多いなか、いきなりストライプ柄などは挑戦しにくいと思うので、光の当たり具合によって柄が見えるくらいの『織り柄』がおすすめです。オシャレに着こなす人は15mm幅のストライプを着ていることが多いのですが、まず挑戦しやすいのは9mm幅。1年目は無難に無地のスーツで、2年目から織り柄ストライプというのが良いのではないでしょうか」


織り柄の例

4.色

「ビジネスシーンではダーク系のスーツが一般的ですが、茶色はとてもカジュアルな印象になってしまうので要注意です。ただ、いくらダークトーンといえど、季節によっては重たく感じてしまうので、夏場はライトグレーなどのグレー系を着ると涼やかに見えます」

5.シャツ

「基本的に、シャツとスーツを含めた全身のコーディネートは3色以内で揃えましょう。そうするとまとまりが出て、全体のバランスが取れます。シャツの使い勝手の良さはスタンダードな白色がダントツ。サックスブルーも使い回しが利くので一枚持っておいて損はないでしょう」

6.靴

「ビジネスシーンに限らず、足元も含めてのコーディネートがとても大事です。いくら良い服を着ていても、足元がだらしないと、それだけで印象が台無しになってしまうので、きちんときれいに手入れされたものを履くことが大切です。たまにスーツにスニーカーを合わせる人がいますが、きちんと革靴を履きましょう。これはビジネスシーンにおいて、女性でも同じことがいえます。黒のプレーン(ストレートチップ)が無難であり、おすすめです」

さらに同期に差をつける3つの秘訣

ここまでの6つが基本の項目。さらに職場での服装で同期と差をつけたい人は、以下のことを意識するといいそうです。

1.着こなしもひと工夫

「まずは、しっかりとアイロンがかかったものを着ましょう。パンツにはしっかり折り目をつける。これは相手に対する礼儀として意識するようにしましょう。また、ハンカチーフはきちんと胸に挿すこと。それだけでスーツがきちんとして見えるようになります。チーフの挿し方は、胸ポケットから折り畳んだチーフをわずかに四角くはみ出させる『TVフォールド』と呼ばれるものが一番無難ですね。さらに、上着とズボンのセットで購入する方が多いかと思いますが、ベストも加えた三揃えのセットだと、より着こなしに差が出ると思いますよ!」


TVフォールドの例

2.オシャレの秘訣は「控えめ」に

「企業勤めの男性のオシャレは『控えめ』であることがポイントです。表に見える部分でオシャレさを出そうとすると鼻に付いてしまうので、自分だけが分かるくらいのオシャレを楽しむことですね。ぱっと見た限りでは普通のスーツなのに、裏地に鮮やかな色や水玉を忍ばせてみるなど、見えない部分でのオシャレで周囲との差をつけるのが良いでしょう」

3.オーダーしてスーツを作る

「社会人2年目で好感度を上げつつ、きちんとした印象を持ってもらうためには、体にぴったりのサイズのスーツを作ってもらうべきです。自身のサイズに近いサンプルからサイズを調整していく『パターンオーダー』や、細かい採寸を行い、それに近い型紙を用意して調整していく『イージーオーダー』であれば、上着とズボンのセットで大体4万円から作ることができます。オーダーでスーツを作ることで、生地や裏地、細かいディティールなどを自分で選ぶ楽しさを知ってほしいですね」

 

スーツの素材を選ぶ際に使用する生地台帳

仕事にも慣れ、後輩ができるようになる社会人2年目以降。「後輩からは頼もしい先輩として見られたいし、上司や取引先にはデキるやつだと思われたい!」そんな方は、スーツの着こなしから見直してみても良いのではないでしょうか。ただし、「見た目だけのヤツ……」などと思われないように、日頃の業務も手を抜いてはいけませんよ。

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識者プロフィール

鈴木憲道(すずき・のりみち)/ 文化服装学院専任講師。文化服装学院を卒業後、株式会社 壹番館洋服店に入社。テーラーリング技術を修得(オーダーメイド紳士服縫製業務)。1999年より、文化服装学院ファッション工科専門課程、アパレルデザイン科・メンズデザインコースを担当。メンズデザイン・パターン・縫製等を指導。

文化服装学院のプロフィール

1923年、日本で初めての服装教育の学校として認可。コシノヒロコ、山本耀司、津森千里、渡辺淳弥(コム・デ・ギャルソン)、丸山敬太、皆川明、高橋盾、宮前義之(イッセイミヤケ)など国内外で活躍するデザイナーをはじめ、流行の最先端で活躍するクリエイターやファッション業界をリードする卒業生を数多く輩出。日本を代表するファッションの専門学校。