「仕事に行きたくない……」そんなとき、どうすれば気持ちを立て直すことができるのでしょうか? 今回は、ビジネスパーソン向けのメンタルトレーニングを行う株式会社リコレクトの二宮直樹トレーナーに、仕事に行きたくないときに気持ちを立て直す方法を伺いました。

 

自分を否定しないことが前提

まずは3つの方法の前に、仕事に行きたくないとき気持ちを立て直すうえで大前提となるポイントがあると二宮さんは言います。

「一番のポイントは『仕事に行きたくない』と思っている自分を否定しないことです。なぜなら、『仕事に行きたくないと思うのはダメな自分』と否定してしまうと、さらにやる気が下がって、うまくいかなくなってしまうからです」(二宮さん:以下同じ)

まずは、「仕事に行きたくないと思うことは、自然なことなんだ」と受け入れてみましょう。そのうえで、次に挙げるようなメンタルコントロール法を行うと有効だそうです。

 

仕事に行きたくないときの3つのメンタルコントロール法

その1:確実に達成できる小目標・中目標を設定する

「やる気が長続きせず、やる気を失ってしまう原因の一つに、目標や理想が高すぎることがあります。上司から与えられた目標や、自分の持っている理想など“高い目標設定の自分”と、“現状の自分”をいつも比較して、『今の自分はダメだ……』と自己否定を感じている方に多く出会います。

そんな状態のまま自分にむちを打って頑張っても、長続きせず、結局はやる気を失うことになってしまいます。やる気を育てていくためには、プラスの感情をつくる工夫が必要です。まず、与えられた目標や理想の自分などとは別に、自分が確実に達成できる日々の小目標や1カ月単位の中目標を掲げましょう。

そして、“今日はここまでできたらOK!”というラインを“今の自分が確実に達成できるライン”に設定をして、『達成できた!』というプラス感情を伴った小さな成功体験を積み重ねていきます。その体験こそが、仕事へのやる気を育てるのと同時に、最終目標を達成するための自信をつくる鍵にもなっていきます」

 

確実に達成できる毎日の小目標と1カ月単位の中目標を設定する

「達成できた!」という小さな成功体験を繰り返し積み重ねる

プラスの感情がつくられ、やる気が育つ

高い目標・理想を達成するための自信がつく

 

その2:今の仕事と自分の幸せや欲をつなげて考える

「仕事へのやる気が続かない他の原因として、なぜ自分が今の仕事をやっているのか分からないまま、ただ目の前の仕事をこなしているということがあります。

『何のために今この仕事をやっているのだろう……?』と疑問を持ちつつも、毎日、次々と迫ってくる仕事にいっぱいいっぱいになっているという方は多いのではないでしょうか。それでは仕事へのやる気は育ちません。

そこで大事になってくるのは、週に1回でもいいので、あえて自分の心を整理する時間を意図的につくることです。そして、将来の自分の幸せ、つまり自分の本当の欲求とは何かを追求し、明確にしましょう。

幸せや欲求は、人から与えられたものではだめです。自分だけの幸せや欲求を知ることが大切です。

自分だけの幸せや欲求が分かったら、それを満たすために、今の仕事をどうつなげられるかを考えてみてください。その幸せや欲求を満たすための仕事であれば、たちまちやる気が湧いてきます」

 

定期的に自分の心を整理する時間をつくる

自分が将来得たい幸せ、本当の欲求を知る
例:「大切な人たちを幸せにしたい」「子どものころからの夢をかなえたい」
「好きな車を買いたい」「お金持ちになりたい」など

この幸せや欲と、今の仕事をどうつなげるかを考える
例:「人々がより楽に仕事ができるように、便利なアプリを開発する」
「好きな車を買うために、営業成績を上げてインセンティブを狙う」など

仕事へのやる気が湧いてくる

 

その3:周りからの評価や言葉ではなく、自分がコントロールできるものに集中する

「仕事におけるストレスの90%以上は、人間関係によるもの。周りからの評価や言葉などが気にかかり、それがストレスとなって仕事に行きたくないと感じる方も多いようです。『あの人が変わってくれれば……』『あの人さえいなければ……』と頭の中でいつも他人のことを考えてしまう思考こそが、ストレスの原因なのです。

ストレスとは、コントロールできないものをコントロールしようとしているときに起こります。人は、他人をコントロールすることはできません。『変わってほしい、でも変わってくれない……』と意識を他人に集中してしまうことでストレスがたまっていき、やがてやる気が失われてしまいます。

人がコントロールできるものは“自分の行動のみ”です。他人の考えや言動に意識を向けるのではなく、“自信を育てていくためにできる、自分の行動は何か?”ということに意識を向けていきましょう。そうすることでストレスも軽減でき、その自分の行動が自信につながり、仕事のやる気も育っていきます」

 

他人の考えや言動ではなく「自分の行動」に意識を向ける

自信につながる行動を起こす

ストレスが軽減され、仕事へのやる気も育つ

 

“仕事に行きたくない自分”は、弱い自分じゃない

最後に、二宮トレーナーに「仕事に行きたくない」と思ってしまっている20代の若手ビジネスパーソンへ向けて、メッセージをいただきました。

『仕事に行きたくない』と思っている自分は、決して弱い自分ではありません。無理に前向きになろうとするのではなく、今の自分をしっかりと受け止め、その中でもできることを見つけて行動を起こしていく。そして『できた!』という小さな成功体験を積むこと。これを重ねることが、いずれ必ず、皆さんの達成したい目標や夢につながっていきます」

仕事へのモチベーションを高めるために、まずは自分と真摯に向き合い、自分にとっての幸せや欲求を考えた上で、今の自分にできることから行動を起こしてみましょう。

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識者プロフィール

二宮直樹(にのみや・なおき)/1984年生まれ、横浜市出身。元テニス選手。7歳まで過ごしていたシンガポールでテニスを始め、23歳まで選手としてプレー(元日本ランカー)。日本大学芸術学部在学中から、テニスコーチとしての活動を始める。その後、24歳でオーストラリアに渡り現地でテニスコーチとして就職。帰国後にメンタルトレーナーに転身する。現在はリコレクトメンタルスクールにおいて講師を務めるほか、数多くのジュニアアスリートやビジネスマンなどにメンタルトレーニングを行っている。