社交辞令と聞くと人間関係においてネガティブな表現として用いられることもありますが、ビジネスにおいては、社内外とのコミュニケーションを円滑に進めるため、ある程度の社交辞令は必要なものと考えている人も多いのではないでしょうか? 社交辞令で相手の心をつかむことができれば、その後の関係も良好に築けるはずです。

そこで今回は、銀座のホステスでNo.1になった経験もあり、相手の心をつかむプロである心理カウンセラーの塚越友子さんから、ビジネスで役立つ社交辞令を10例教えていただきました!

 

社交辞令はなぜ大事?

そもそもなぜ社交辞令が大事なのでしょうか?

「社交辞令は、あいさつの機能と相手に好感を持ってもらう機能というふたつの機能をはたすもの。フレーズ自体の意味は深く問われず、“あなたに配慮をしていますよ”ということを行動で示すことに意味があるといえます」

 

また、次のようなメリットもあるそうです。

「ビジネスの場面では行動の予測ができるほうが信頼につながります。社交辞令が言えるということは、ビジネスの形式的なことが分かっていると伝えることにもなりますので、信頼を得る上では非常に重要なのです」(塚越さん:以下同じ)

 

相手の心をつかむ社交事例10選

続いて塚越さんに、ビジネス上でよくある10のシーン別に、それぞれの最適な社交辞令を教えていただきました。

 

1.久しぶりに会った方に対しての社交辞令

『その節は大変お世話になりました』

『その節は大変勉強になりました』

『その後、◯◯の件はいかがでしょうか?』

 

「はじめのあいさつ後にすぐ、最後に会ったときのお礼を述べるか、その後の進捗状況を尋ねるかを、状況に合わせて選択することがポイントです。

どちらも、以前のことをしっかりと覚えていて、会っていない間も心に留めていたということを伝えることができます。

また、『◯◯さんのアドバイスを実践しました結果、〜〜な成果をあげることができました』と具体的なエピソードも交えると、さらに良い効果があるでしょう」

 

2.興味のない誘いに対して断る社交辞令

『とても楽しそうですね。お声掛けありがとうございます。残念ながらその日は出張中で参加することができません。次回は参加したいと思いますので、またお声掛けください』

 

「はっきりとその場でお断りすることが大切です。誘いに対してお礼や感謝、楽しそうであることを伝え、次に理由とともに一旦断ります。また、断りで終えると角が立ちますので、代替案を話して断りを締めくくります。

年長者であれば、社交辞令を伴った丁寧な断りの表明だと、行間をくみ取ってくれますので、決して失礼な態度ではないでしょう。

もしそれでもしつこく誘われるようなら、上記の断りの公式を繰り返し、断る意思を伝え続けることがポイントです」

 

3.別れ際の社交辞令

『貴重なお時間を頂戴しました上に、興味深く大変勉強になるお話をありがとうございました。今日のお話を受けて、次回は良いご報告ができるように仕事に励みたいと思いました』

 

「『ありがとうございます。勉強になりました。頑張ります』はだれでも言えますが、『どう頑張るのか?』を軽く伝えることで他の人と差がつきます。

デキるビジネスパーソンになればなるほど時間を大切にしている傾向があります。なので、大切な時間をかけてもらったことに対するお礼は大切です。特に、年長者にとって時間や労力をかけてもらったことに対するお礼を伝えると、その労力がちゃんと成果をもたらしたということを示すことになるので、年長者からかわいがられる存在となれるでしょう」

 

4.相手の容姿や性格を褒める社交辞令

男性には:『パワーがみなぎってますね』

女性には:『なにかいいことありましたか?』

 

「この社交辞令は、会ってすぐのあいさつ代わりに伝えるひとことです。もちろん、相手がすこぶる調子が悪そうなときは避ける必要があります。

外見・性格などは、本人が何を気にしているかが分からないことや、美人に美人だと言っても褒め言葉になりませんので、具体的な表現は避けます。

男性の場合は強さを感じられる表現、女性の場合には明るさ・美しさを感じられる曖昧な言葉で、問いかけの表現にするのがポイント。本当にいいことがあれば、相手から話し出してくれます」

 

5.相手の自慢話を聞いたときの社交辞令

『やっぱり経験が違いますね。だから◯◯さんへの仕事の信頼が厚いのですね。目標にしたいです』

 

「さまざまな自慢話や武勇伝一つ一つに適当に合わせるのではなく、すべてを『経験』という言葉に集約させるのがコツです。

また、周りの評価なども合わせて伝えると、うそっぽさが消えるので、『信頼』などビジネスの場面で誰もが言われて気持ちの良いことを添えるとパーフェクトです」

 

6.誰かへの愚痴やひがみを聞いたときの社交辞令

『そんなことがあったんですか』

 

「『それはひどいですね』など、相手の感情に同意し、愚痴の相手を悪者と評価してしまうと、自分も悪口を言っていたことになり、後々の人間関係に問題が生じます。

ここは、感情には同意や評価を示さず、『事実』『出来事』にだけ共感を示す言葉を重ねていくことがポイントです。事実を丁寧に聞くだけで、相手は同意してもらった錯覚に陥り、気が済めば話は終わることも多いのです」

 

7.以前迷惑をかけてしまった相手に会ったときの社交辞令

『以前は◯◯の件で、◯◯◯してしまい、◯◯さんの信頼を裏切ってしまうようなことになりまして、申し訳ありませんでした。あれから、△△の点を改善してまいりましたが、ご満足いただけておりますでしょうか』

 

「この場合は、会ってすぐに謝罪から始めることが大切です。謝罪の際には『ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした』という紋切り型の表現で短く済ませる人が多いですが、これは相手の怒りを蒸し返すことになりえるので逆効果です。

謝罪の際には、相手が怒ったポイントを事実として伝え、信頼を裏切って申し訳ないと謝罪をした上で、どう改善したのかを伝えることが大切です」

 

8.相手が自分とは関係ないことで悩んでいる際の社交辞令

『悩むのは無理もないですよ』

 

「アドバイスをする立場でもない場合、共感を示すひとことが言えれば相手の気持ちは満足します。たいていの人は、『それならば〜すればいいよ』と解決策を言って、場の重苦しいムードを解消しようとして心をつかみ損ないます。

解決も理解も同情もせず、『その状況なら悩むのも無理もない』と相手の状態に共感を示して、気持ちを楽にしてあげるのがベストです」

 

9.相手が自分の興味のない雑学を教えてくれた際の社交辞令

『それは初めて聞きました。しかし、話題が豊富ですね! 私も◯◯さんのようになりたいです』

 

「これは博識であること、話していて楽しいことを両方伝えられる魔法のフレーズです。またこれ以上、雑学を披露されたくない場合には、『◯◯さんのようになりたいです』と内容ではなく、あなたに興味があると伝え、話題をそらすのがポイントです」

 

10.「今度ご飯に行きましょう!」というフレーズに付け加えたい社交辞令

『以前からゆっくりお話できたらと思っていました。今度、ご一緒いただけるタイミングがあれば、お声掛けください』

「『ご飯に行きましょう!』もよく使われる社交辞令。あくまで社交辞令ですので、実際にはあまりご飯に行くことに乗り気でない場合は、本当に食事に行くのか行かないかの主導権を相手に渡すのがポイントです。

なぜなら、『社交辞令にまんまと乗って食事に誘ったら格好が悪い』という思いが先行するのが人間です。相手に主導権を渡せば、ほぼ実現することはないでしょう。また、『今度』という言葉は、年長者の間では社交辞令の際に使う言葉という隠喩も含みますので、この言葉を使うことにより実際に誘われる可能性は低くなります」

 

社交辞令を言う際は、羞恥心をなくして堂々と!

最後に、社交辞令を述べる際に注意しておきたい、態度や口調をお聞きしました。

「恥ずかしげもなく、堂々とさらりと言うことが最大のポイントです。躊躇したり、かんでしまうと、とたんに効力が薄れますので、普段から口を慣らしておくことが肝心です。

また、上下関係を意識して、目上の方を褒めるタイプの社交辞令は極力避けましょう。褒めるという行為は、目上の人が目下の人に行うものです。感謝やねぎらいの感覚を表現できるフレーズをたくさん集めておきましょう」

いかがだったでしょうか? ぜひ今回学んだ社交辞令を、皆さんも実践してみてくださいね!

著者プロフィール

塚越友子(つかこし・ともこ) スイスで生まれ、4歳で日本に帰国。東京女子大学大学院で社会学修士号取得後、大手広告代理店などに勤務。過労から内臓疾患となり、薬の副作用によりうつ病を発症。その後、銀座でホステスに転身、感情に流されない会話法を究めてNo.1に。その経験をきっかけにカウンセラーとなる。TV出演などメディアでも活躍。『辞める前に読む!』(世界文化社)、『心をつかむ話し方』(こう書房)など著書多数。