例えば、お昼の休憩時間がミーティングにあてられるなど、休憩時間と業務時間の境があいまいになってしまって、「休憩できなかった!」と不満に思ったことはありませんか? 

 

今回は、そんな私たちの休憩時間に関する労働基準法の基本を、特定社会保険労務士の小野純さんに伺います。

 

労働基準法における休憩時間とは

まず休憩時間とは労働基準法でどう定められているのかお聞きしました。

「労働基準法第34条において、雇用主は被雇用者の1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合には1時間以上を、休憩時間として労働時間の途中に与えなければならないと決められています」(小野さん:以下同じ)

 

また、休憩時間の取り方について小野さんは次のように続けます。

 

「雇用主は休憩時間を被雇用者に一斉に与えることが原則ですが、被雇用者代表との間で協定(※)を締結すれば、交代制にすることも可能です。

また、商業、映画・演劇、保健衛生、接客娯楽、金融、運輸、通信、官公署の事業は、最初から休憩時間の一斉付与が適用除外されていますので、協定を締結しなくても休憩時間を交代制で与えることが許されています」

※「休憩時間一斉付与の適用除外に関する労使協定書」といい、過半数労働組合がある場合はその労働組合と、過半数組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と会社代表者が話し合いを行い、合意の上で書面によって締結するもの。

 

ただ、これらの休憩時間について注意すべきは「会社は労働者に、自由に休憩時間を利用させなければならないという点」だと小野さんは語ります。

「自由に休憩時間を利用させるということは、『労働から離れることの自由』があり、かつ、会社のルール(※)や法に違反しない範囲で『自由に過ごしていい』ということです。

ですから、何を食べてもいいし、昼寝をしてもいいし、ヘッドホンで音楽を聴いてもゲームをしてもいいわけです。単に『仕事をさせない』ということだけで休憩時間が成立するわけではない点が要注意です」

※施設によっては保安上の問題等で外出を制限している場合があります。

 

労働基準法が守られていないケース

休憩時間に関する労働基準法が守られていない例には、次のようなケースがあるそうです。

 

◎休憩時間中に電話番をさせられる、休憩時間中に来客の応対をさせられる

「会社側としては『少しぐらい対応してくれてもいいじゃないか』という意識だと思います。特に小さな事業所の場合、休憩時間中に事業所内に誰もいなくなってしまうこともありますから、外出をさせず居残りを指示する場合もあります。

そうなると、休憩時間を自由に利用できなくなってしまいますので、休憩時間に関する労働基準法が守られていないケースとなってしまいます。

これらの場合の会社側の解決策としては、休憩時間を交代制で取るようにする、休憩時間には電話や来客対応をしないことを会社で完全に統一する、などが挙げられます」(小野さん)

 

◎ランチミーティングに強制的に参加させられる

「ランチミーティングは勤務時間中に行う普通の会議と違い、食事をしながら和やかに会話ができるというメリットがあります。しかし、休憩時間は労働者の自由利用が権利として保証されていますから、強制参加をさせることは労働基準法違反となります。

たとえ自由参加だったとしても会話内容に業務の性格が強い場合、労働時間と判断され、別途休憩時間を与えなければならなくなる場合もあります」

 

これってルール違反では?と思ったときの対処法

以上のような労働基準法が守られていないケースに遭遇した場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

「例えば部下から上司に向かって『これは労働基準法違反ですよね? おかしくはないですか?』というストレートな物言いをすると、たとえ正しいことを言っていても『あいつは面倒なやつだ』と思われてマイナス効果を生んでしまう可能性があります。

おすすめはこのコラムなど該当テーマのページをプリントアウトして、『こんな記事がありました、ご参考まで』と付箋を付けて上司の机に置いておく方法です。その上司がちゃんとした方であれば、問題点に気づくはずです。ポイントは、あくまで『さりげなく渡す』ということです」

休憩が心身の健康を守る

いかがでしたでしょうか。もちろん場合によっては、ランチの場で業務の話をせざるを得ない状況もあると思いますが、やはり気を張った状態では落ち着かず、休んだ気にはなりませんよね。

労働基準法の決まりも踏まえて、社員同士でランチタイムを過ごすときは互いにリラックスできるよう、何気ない雑談で親睦を深めるのがいいのかもしれません。

 

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著者プロフィール

小野純(おの・じゅん) 特定社会保険労務士(社会保険労務士小野事務所代表)2003年に社労士事務所開業後、就業規則の作成、労務相談、管理者向け研修等で企業の労務管理に尽力している。全国の商工会議所、法人会、企業主催の各種社労士関連セミナーの講演も行っている。