2015年8月28日、「女性活躍推進法(女性の職業生活における活躍の推進に関する法律)」と呼ばれる法律が可決されました。従業員数301人以上の企業は、社内で女性の活躍を推進するための行動計画を策定し、それを実施、公表していくことが求められます。

 

しかし、具体的に、女性推進とはどのような内容なのかや、女性活躍推進法が施行されると私たちにはどのような影響があるのか、いまいちピンとこないものです。そこで、キャリアカウンセラーの藤井佐和子さんに、今さら聞けない素朴な疑問をぶつけてみました。

 

女性活躍推進法とは?

―「女性活躍推進」というと抽象的ですが、具体的には各企業でどのようなことが行われるのでしょうか?

 

「この法律は10年間の時限立法(※1)で、女性活躍推進の取り組みを定着させようとしています。

企業では女性がより活躍し、管理職を増やすためのサポート、出産・育児などのライフイベントもスムーズにこなしていけるような福利厚生面の充実などが、ますます推進されていくことになります。

ただ、大手の企業は以前から女性活躍推進には取り組んでおり、他企業のお手本になるために積極的に活動しています。

中小企業でも取り組んでいるところはありますが、もともと男女の差をつけていなかったり、オーナーが古い体質であまり女性を管理職に登用していなかったりとさまざまです。

いずれの場合も、経営側から『現場でも女性活躍推進の意識を持ってほしい』という指示が伝えられるようになるでしょう」(藤井佐和子さん:以下同じ)

 

※1 法令の有効期間を定めない恒久法に対し、有効期間を定めて立法された法令のこと。

 

20代の働く女性への影響

―この法律によって、20代の働く女性にはどのような影響が出ますか?

 

「現状の男性と同じラインに乗って、将来、管理職候補として経験を積んでいき、同じように働いてほしいという会社の意向が示されると思います。

なかでも最も大事なのは、残業してただ長時間働くのではなく、“効率化”が求められていることです。男女問わず、自分から仕事の課題を見つけて率先してやっていける人が今、求められています」

 

―仕事を自分から率先して効率化していくことは、今回の「女性活躍推進法」とどのように関係しているのですか?

 

「この法律ができた前提には、“少子高齢化”の問題があります。人手が少なくなる中、女性も労働力になってほしいという意図から、ライフイベントと両立しながらも働き続けられる環境をつくることが、この法律の背景にあります。

よって、残業や徹夜をして働くなどの、多くの人がついていけなくなる働き方でなく、もっとみんなが活躍できるようにという方針で作られたのが、この女性活躍推進法というわけです」

 

私も管理職を目指すべき? 今はキャリアを見極めるとき!

―今後、女性も「管理職候補」として見られることになれば、管理職を目指していない女性にとっては抵抗があるのではないでしょうか?

 

「そういった意味では、今、自分はキャリアを選ぶのか、自分の働きやすい方法で働くのかを見極めるときかもしれません。

もし何も考えずに会社の方針に流されてしまったら、本当は管理職になりたくないのに無理してしまい、振り回されてしまうこともあるからです。正社員にならなくても、違う働き方もあります。むしろ今後、正社員以外の多様な働き方も増えると思います」

 

―女性管理職を推進する風潮はあるものの、それに乗らないという選択もありというわけですね。

 

「ただ、今世の中の動きとして、管理職を目指して働く女性には大きなチャンスが与えられ、優遇される可能性はあります。がんばったら、男性よりもチャンスがあることも否めません」

 

―どちらを選ぶかは自由ですが、管理職を目指す女性にはチャンスがある時期ではありますね。

 

「人それぞれの仕事観は異なりますが、一つ言えるのが現在20~30代の女性は、将来のビジョンを明確にしていないと、新入社員の人たちに簡単に追い抜かされてしまうかもしれないということです。

今の大学生たちの話を聞いていると、男女平等の考え方をしっかり持っています。むしろ今の20~30代の女性よりも、大学生の女性のほうが、“会社に勤めれば、管理職前提で働くことになるのは当然”という考え方を持っていて、管理職を目指したいかどうかはさておき、心の準備ができていると感じます。

管理職になることに対し、女子大生のほうが心のハードルが低いというわけです。迷っているうちにせっかくのチャンスを若手に奪われた、ということにならないように、ぜひ長い目で見て決断してほしいですね」

 

今後どうなる? 女性の活躍にまつわるあれこれ

―この法が施行されることによって、他にも女性にとって便利な制度はできるでしょうか?

 

「最近、男性が育休を取ると助成金が出る制度を新設することが発表されました。男性側が育休を取ることで、女性も家庭で育児を手伝ってもらえるので、女性側にもメリットがあるでしょう。

今や育休・産休などの制度は大手企業ではある程度整っているので、次は時短勤務の期間を減らすことが課題になっています。例えば育児のため時短勤務で16時に退社していた女性を、これまでより早くフルタイムに復帰させるという取り組みがされています。誰もが時短でもなく残業するでもなく、ニュートラルに働けるようにしていく、ということです。そのためには男性側の働き方も改善する必要があるのです」

 

―この法律ができたことにより、労働者側が今後やるべきこと、意識すべきことをお教えください。

 

「これからは、ますます不確かな世の中になっていきますから、稼ぐ力は女性もしっかり持っている必要があります。企業はいつなくなるか分からないですし、油断していると頼るところもなくなってしまいます。

将来、結婚・育児・介護など、お金がかかるシーンは多く出てきます。ちゃんと将来のことを考えて、その場その場でスキルを身につけ、稼ぐ力をつけるよう意識したほうがいいでしょう。大事なのは、自分ができることを、うまく取捨選択しながら増やしていくことです」

 

―女性活躍推進をきっかけに、「今の会社で管理職になれるだろうか?」と不安になり、転職を考える人も出てくるかもしれませんね。

 

「会社に残るか辞めるかというよりも、“どうなりたいのか?”という自分の将来像を固めるほうが大事です。なりたい自分に近づけるような会社であれば残ればいいですし、そうでなければ経験を積めるところに転職してもいいのではないかと私は考えています」

 

まとめ

管理職を目指すかどうかは自分の将来像によります。しかし女性活躍推進法が可決され、施行を控える今、管理職を目指す女性にとっては大きなチャンスがあるといえるでしょう。将来管理職になりたいな、と思っている女性は、この法律について詳しく知ることで、チャンスをつかむ可能性が広がるかもしれません。興味がある方はぜひ詳しく調べてみてくださいね。

 

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著者プロフィール

藤井佐和子(ふじい・さわこ) 株式会社キャリエーラ代表取締役。ダイバーシティコンサルタント。カメラメーカー、人材総合サービスのコンサルタントを経て2002年株式会社キャリエーラ設立。女性のキャリアカウンセリングサービスを実施、述べ13,000人以上のカウンセリング実績を持つ。また、ダイバーシティをテーマとした企業研修や講演では、女性社員向け、女性部下を持つ管理職向けに年間200以上登壇。近著に『「あなたには、ずっといてほしい」と会社で言われるために、いますぐはじめる45のこと』ディスカバー21、他、著書多数。