仕事をしていく上で相手先に連絡を取ったり社員同士で連携を取ったりと、電話は必要不可欠なツールの一つ。しかし、電話対応に苦手意識を持っている若手ビジネスパーソンは少なくないのではないでしょうか。

ビジネスでは電話のかけ方や受け方によっては、相手からの印象が大きく変わることがあります。

電話対応能力は社会人にとって、まずはじめに身につけておきたい大切な基礎能力のひとつ。そこで苦手意識を払拭すべく、ビジネスマナー講師の金森たかこさんに、ビジネス電話のコツをお伺いしました。

 

ビジネス電話が不得意な人の悩み

ビジネス電話が不得意だという人は、次のような悩みを持っているのではないでしょうか。

 

・電話が鳴るたびドキッとして、ストレスを感じる

・仕事の流れや社内の事情、取引先や関係者の名前がなかなか覚えられない

・自分の名前をなかなか覚えてもらえない

・電話が鳴っているのに取らないことが続くと、周りをイライラさせてしまう

・電話が苦手だからと何でもメールで連絡すると、余計な時間がかかり、相手にも手間をとらせてしまう

 

電話に慣れて苦手意識を克服するには、とにかく電話に出る回数を増やすし、場数を踏むことが大切です。周りの人の電話応対を見て学びながら、積極的に電話でコミュニケーションをとり、苦手を得意に変えていきましょう。ビジネスにおいて電話が得意になると、次のようなメリットがあります。

 

・自分の名前を覚えてもらえる

・社内外の人と良好なコミュニケーションがとれるようになり、仕事がスムーズに進む

・電話に対するストレスがなくなる

 

さらに、電話に対する苦手意識がなくなり、電話を受けたり、取り次いだり、伝言をあずかったりする機会が増えると次のようなメリットも得られるのだとか。

 

・電話を何度も受けることによって、相手の会社や担当者の名前を自然に覚えられる

・得意先からの電話を社内の担当者に取り次ぐことよって、社内で誰がどの得意先を担当しているのかが分かる

・担当者が不在の際に伝言を承ることによって、自分の周りの仕事の流れも分かるようになる

 

電話でのコミュニケーションの特徴

電話応対能力をアップさせるには、まず電話の特徴を理解することが大切。代表的なものに次の2つがあります。

 

・電話は声だけのコミュニケーション

電話では、相手には自分の表情やしぐさは見えません。目で見てお互いに確認することができないぶん、重要な事柄はきちんと復唱するなど伝え方を工夫する必要があります。

 

・誰から、誰へ、用件など、すべてが電話を取るまで分からない

電話に対する苦手意識は、ここからきていることが多いようです。実際に受話器を取るまで情報がないので怖いと思ってしまいがちですが、だからこそ積極的に電話を取り、仕事の流れやつながりを理解し、スムーズに取り次げるように意識することが大切です。

この2つの特徴を常に意識し、相手の立場に立った対応を心がけましょう。

 

ビジネス電話のコツ─基本編─

ビジネス電話に求められる要素は「正確に」「丁寧に」「なめらかに」。 次からは、それぞれのポイントを効果的におさえる方法をみていきましょう。

 

1.正確に

 

・メモをとる

電話は声だけのコミュニケーション。つまり得られる情報は耳から入る情報だけです。文書と違って記録性がないため、必ず要点をメモする習慣をつけましょう。

そのためには、受話器は利き手と反対側の手で取り、電話の近くには常にペンとメモ用紙をそろえておくことが大切です。

 

・復唱確認する

ミスや行き違いを防ぐためにも、復唱確認は重要なこと。聞き取れなかったときは「恐れ入りますがもう一度、日程を教えていただけますか」などと丁寧に確認しましょう。

また、復唱することによって正しく伝わっていることがお互いに確認でき、相手に安心感を与える効果もあります。

 

・まぎらわしい数字や聞き取りにくい言葉は、言い方を考える

以下のように、相手が聞き間違えてしまいそうな言葉は、言い換えると丁寧でしょう。

 

例)・4日(よっか)と8日(ようか) ⇒ 4日の月曜日、8日の金曜日

  ・1時(いちじ)と7時(しちじ) ⇒ 昼の1時・13時、7(なな)時・朝の7時

  ・浜田(はまだ)と花田(はなだ) ⇒ 砂浜の浜に田んぼの田、フラワーの花に田んぼの田

 

・適度な声の大きさで、明瞭に発音する

小さな声でモゴモゴと話していては、相手に伝わらないばかりか不安にさせてしまうことも。相手に合わせた聞き取りやすいスピードで、明るくハキハキ話しましょう。

 

2.丁寧に

 

・声の表情を意識する

電話では表情や態度が見えないからといって油断してはいけません。こちらの気持ちや態度は「声の表情」として相手にしっかり伝わっています。相手が目の前にいるつもりで、良い表情、良い姿勢、誠意ある態度で話しましょう。

 

・クッション言葉を使う

電話は声だけのコミュニケーション。すなわち、使う言葉や話し方で印象が決まります。「はい」「ありがとうございます」「かしこまりました」など、あいさつや返事はもちろん、「恐れ入りますが」「お手数ですが」などその時々に応じたクッション言葉を用い、相手を思う気持ちも一緒に伝えましょう。 感じの良さを言葉で表現することが大切です。

 

・電話の切り方に気を配る

かけた方が先に切るという原則がありますが、相手が目上の人や取引先の人、または依頼や謝罪の電話のときなどは相手が切るのを待つほうがよいでしょう。

切るときも「ガチャン」と乱暴に切るのではなく、相手が切ったのを確認してから、または、終わりのあいさつをしてからゆっくり3秒数え、受話器を耳に当てたまま指でフックを押してから、静かに受話器を置くのが丁寧です。

そうすることによって、相手が言い忘れたことを付け足そうとしたときなど、聞き逃すことがなくなります。

 

3.なめらかに

 

・電話が鳴ったらすぐに出る

ビジネスの現場では「お客さまを待たせない」ことが最優先。電話も同じです。なるべく2コール以内に出るようにしましょう。事情があって3コールを超えてしまった場合は「お待たせいたしました」、5コール以上の場合は「大変お待たせいたしました」と待たせてしまったことに対するお詫びの言葉を伝えましょう。

 

・相手が忙しそうな時間帯は避ける

緊急な要件でなければ、始業前、昼休みなど、相手が忙しそうな時間帯に電話をかけるのは避けましょう。相手を呼び出してもらったり、かけ直すことになったりと、かえって手間をかけてしまうことにもなりかねません。

 

・相手の都合を確認する

電話では、相手の都合や状況を目で見ることはできません。したがって、相手が電話に出たらいきなり用件に入らず、「今お話ししてもよろしいでしょうか」など、相手の都合を配慮する一言を入れると会話がスムーズになるでしょう。長くなりそうなときは、大体の所要時間も告げると、今話すか後にするかの判断材料になります。

 

・結論から話す

ビジネス電話では「簡潔」に話すことが求められます。そのためのポイントは結論から話すこと。結論、つまり一番伝えたいこと、相手が知りたいことを先に言い、続けて理由→詳細→経緯の順に話すと、内容が的確に分かりやすく伝わります。

 

・相づちなどで、話を聞いていることを知らせる

電話は声がすべて。何の反応もせず黙って聞いているだけでは、相手はちゃんと聞いてくれているのかと不安になってしまいます。電話でスムーズに会話を進めるためには、相づちや返事などで「あなたの話をちゃんと聞いてますよ」と知らせ、相手が話しやすい雰囲気をつくることも重要なポイントです。

 

ビジネス電話のコツ─応用編─

最低限おさえておきたいポイントを紹介してきました。ここからは、さらに丁寧で、かつ好印象を与える3つのコツをお伝えします。

 

1.相手に質問させない

相手が知りたいであろう情報を、聞かれる前に先手で提供できるとよいでしょう。

 

例)×①相手「鈴木主任はいらっしゃいますか」⇒①自分「あいにく鈴木は、ただ今外出いたしております」

   ②相手「何時ごろお戻りになりますか」⇒②自分「夕方4時ごろには戻る予定でございます」

   ③相手「では、4時30分ごろ、あらためてお電話させていただきます」

 

   ○①相手「鈴木主任はいらっしゃいますか」⇒①自分「あいにく鈴木は、ただ今外出いたしております。4時ごろには戻る予定でございますので、戻り次第ご連絡いたしましょうか」

    ②相手「ありがとうございます。それではご連絡お願いいたします」

 

2.情報を教えてもらえる魔法の言葉「念のため」

名指し人が不在で戻り次第連絡すると約束した場合、名指し人への伝言メモには用件だけでなく、相手の電話番号も書いておくと喜ばれます。しかし、電話番号を聞いても「知っているはずだから」と教えてもらえない場合も。

 

そんなときは「念のため、電話番号を教えていただけますでしょうか」と「念のため」という言葉を付け加えることがポイント。それだけで、教えてもらえる確率が上がるはずです。また、伝言メモには責任の所在をはっきりさせるためにも、電話を受けた人の署名を忘れないようにしましょう。

 

3.営業電話への対応

会社へは、セールスのための営業電話がかかってくることもあります。業務に関係ない電話だからといって失礼な応対をせず、丁寧な応対をしながらも、こちらの意思をはっきりと伝えることが大切です。

 

例1)いきなり上司を役職名だけで(面識がない)指名してきた

・「失礼ですがご用件を伺ってもよろしいでしょうか」とこちらから伺う

 

例2)対応に迷う場合

・「確認してまいりますので少々お待ちいただけますか」と伝え、上司の指示を仰ぐ

 

例3)上司からあらかじめ断っておくように言われた場合

・「申し訳ございません。この件につきましては上のものからお断りするように言われております。必要なときはこちらからご連絡を差し上げます」と丁寧かつはっきりと伝える

 

まとめ

ビジネス電話応対は、その応対によって会社全体のイメージが左右されることもあるほど重要だといわれています。

また電話は、かけるほうも受けるほうも互いに時間とコストがかかるもの。この意識を常に持ち、相手の立場に立って応対することが社会人としての大切な心構えといえるでしょう。

ここでお伝えしたコツやポイントをつかんで実践し、周りの方々と良好なコミュニケーションを築いていってくださいね。

 

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識者プロフィール

金森たかこ(かなもり・たかこ) 京都市在住。ビジネスマナー講師。食品メーカーのOLとして勤務後、フリーアナウンサーとして独立。仕事をする中において、人間関係、コミュニケーションの重要性を感じ、マナーある人間関係づくりのため、マナー講師としての活動を開始する。アナウンサーとして培った話し方、ボイストレーニングを取り入れた独自のマナー研修が人気。テレビ番組などのメディア出演やドラマのマナー指導なども行う。ウイズ株式会社の社長としても活躍中。