6月に結婚することをジューンブライドといい、この時期はたくさんのカップルが結婚式を挙げますよね。そんな結婚式を成功させようと活躍するのが、新郎新婦の介添人として身の回りのお世話をする「ブライダルアテンダー」です。

しかし、一般の方にはあまり認知されていないブライダルアテンダーとは、具体的にどんなことをする仕事なのでしょうか? ブライダルアテンダーの育成・派遣を行っている有限会社lilLINDAの代表を務める里木涼さんに詳しく教えていただきました。

 

新郎新婦が幸せになるためのお手伝いができる仕事

−ブライダルアテンダーの具体的な仕事を教えてください。

 

里木涼さん(以下、里木):新郎新婦のコンシェルジュのような役割を担うのがブライダルアテンダーです。

もともと、ブライダルアテンダーは老舗ホテルのスタッフが担当していました。ホテルの会場を移動するとき、花嫁さんのドレスや着物の裾を持つ担当者がいたほうがいいだろうということで、ホテルのスタッフを付けたことからブライダルアテンダーが誕生しました。

ブライダルアテンダーの仕事内容に変化が生まれたのは、ホテルの式場以外で結婚式をするカップルが増えてから。ホテルのスタッフがいない分、新郎新婦のケアを外部のブライダルアテンダーがするようになっていったんです。それからは、ただドレスの裾を持っていればいいという仕事ではなくなり、いまではドレスのフィッティング、控え室でのお世話、時にはヘアメイクもすることもあります。

 

−仕事が多岐にわたってきたのですね。ブライダルアテンダーの一番大切な業務はなんでしょうか?

 

里木:新郎新婦の二人が、どんな気持ちでいるのかに気づいてあげることですね。式場には、結婚式をプロデュースするウェディングプランナーや、会場責任者であるキャプテンもいます。でも彼らは全体を見ているがゆえに、主役である新郎新婦がどういう状態かを把握しづらいもの。

結婚式というイベントでは、必ず大なり小なりトラブルは起き、お二人の気持ちに揺れが生まれます。お二人が不安を感じていないかを察することができるのは、一番近くにいるブライダルアテンダー。その不安を解消するため、どんなことを望んでいるのかを聞いたり、察したりすることが大切です。

 

−究極の接客業ですね。

 

里木:そのとおり。接客が好きという人でないと、この仕事はできません。この仕事をするために、特別な技術や資格はいりませんが、ただ誰かの幸せのお手伝いをしたい、尽くしてあげたい、そういう気持ちを持っていないとできないんです。

だから人が好きでないとやっていけない。サービス業ってお金ではかれないものを売っています。いったん結婚式の現場に入ってしまったら、お客さんのために何かをしてあげたいと自然に思ってしまう。それがブライダルアテンダーのさがなんですよね。

 

ブライダルアテンダーの仕事

 

ブライダルアテンダーって必要なの?と言われるときも

−この仕事の大変なところは?

 

里木:まずはドレスのケア。いまは破れやすいチュール素材のウェディングドレスが流行しているので、破れないよう汚れないよう注意を払うのが大変です。

次に、結婚式は一生に一度のイベントなので、新郎新婦がピリピリしてしまうこともあるのですが、そんなとき、一番そばにいるブライダルアテンダーにさまざまな感情をぶつけてしまう方もいます。そこはツラいかな、と。

あとは、ブライダルアテンダーの知名度が低いため、私たちが結婚式でどんな役割を担っているのかを認識してもらえないことですね。「ブライダルアテンダーってなに? 裾持ちの担当者をなんで雇う必要があるの?」と思われていることが多々ありました。

でも式当日になると、私たちはたくさんのお世話をするんです。だから式が終わった後に「里木さんがいてくれてよかった。ブライダルアテンダーが必要だとやっと分かった」という言葉をもらえる。それが何よりもうれしいですね。

 

−そのほかにブライダルアテンダーとしてやりがいを感じたことはありますか?

 

里木:結婚式という一生において大切な一日に携われること。結婚式を挙げると、自分は一人で生きてきたわけではないんだ、と気づくんです。親をはじめ友人や職場の同僚などたくさんの人がいていまの自分がいるんだ、と。人生を振り返ることのできるイベントである結婚式に関われるなんて、こんな幸せな仕事はないなって思います。

 

−講師などもされている里木さんですが、ブライダルアテンダーという仕事にどのような課題を感じていますか?

 

里木:お金や勤務形態をどうにかしないといけないと思っています。ブライダルアテンダーは基本的に式が行われることの多い土日勤務になり、正社員として働くのは難しい。そのため派遣でしか仕事ができないという現状があります。

そうなると、ブライダルアテンダーという仕事のみでは生活ができません。長くひとつの仕事ができないのはマイナスですよね。いまは派遣として1日8~9時間働き、2万円程度を頂けるようになりましたが、昔は1万円程度だったんですよ。そのくらいブライダルアテンダーの地位が低かったんです。地位を向上させ、正社員としても働ける勤務形態をつくっていかなくては、と感じています。

 

ブライダルアテンダーは究極のおもてなしをする仕事

「式場にいる花嫁さんの裾持ち」と認知されることの多いブライダルアテンダーの仕事ですが、実態は誰かの幸せのために労を惜しまない職業人。

里木さんは「誰かのために何かをすることに喜びを感じるのは人間の本質だと思います。そして、ブライダルアテンダーはその喜びを感じられる仕事です」と語ってくれました。究極のおもてなしをするブライダルアテンダーは、まさに働くことのやりがいをフルに体験できる仕事なのかもしれません。

仕事の概要

■職業名:ブライダルアテンダー

■仕事内容:結婚式の当日に新郎新婦の身の回りのお世話をするコンシェルジュのような役割を担う

■求められる要素:気配り、ウェディングやヘアメイクの知識はもちろんのこと一般常識も必要

■こんな人に向いている:人に尽くすことに喜びを見いだせる人

 

 

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識者プロフィール

里木涼(さとき・りょう) 有限会社lilLINDA代表。ブライダルスクール時代にウェディングプランナーを志望していたところ、ヘアメイク会社でのアテンドを勧められてブライダルアテンダーに。2005年にlilLINDAを設立し、ブライダルアテンダーの育成・派遣の業務を行う。企業への講演やスクール講師としても活躍中。