社内で使うものを購入するとき、先に自分のポケットマネーで支払いをし、経費として後々精算するというのはよくあること。しかし、そうした支払い時に手持ちのポイントカードにポイントを貯めることができる場合、「社内利用が目的の買い物だけど、購入分のポイントはプライベート用カードに貯めてもいいのだろうか……?」と迷いを感じたことがある人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、社内利用を目的とした物やサービスを購入する際知っておきたい、プライベート利用の一般的な考え方や注意点について、公認会計士・税理士の山本邦人さんに伺います。

 

そもそも横領の定義とは?

会社のお金を使った買い物で、プライベート利用を目的としたポイントを貯める。そこにためらいを感じてしまう理由の一つに、「会社のお金を私的に使う=万が一、横領に値してしまったらどうしよう」という不安があるのではないでしょうか。

そこでまず、横領とは何かについて伺ったところ、「横領とは簡単にいうと、自分が預かっている他人の物を無断で着服したりする犯罪です」と山本さん。

「横領が認められた場合、通常は5年以下の懲役(刑法第252条)ですが、業務上預かっている会社や他人のお金、物を着服した場合は、通常よりも悪質な犯罪として『業務上横領罪』とされ、より重い10年以下の懲役となります(刑法第253条)」(山本さん:以下同じ)

つまり、その行為が業務上横領に値するか否かを判断するには、「業務上自己の占有する他人の物を無断で着服したのかどうか」がポイントになるのだそうです。

 

ケース別、プライベート利用の一般的な考え方

では、実際に起こりがちな以下のシチュエーションにおけるプライベート利用については、それぞれどのように考えたらよいのでしょうか。山本さんの見解をお伺いしました。

 

ケース1:社内利用を目的とした備品を立て替え購入するとき、購入分のポイントが付くので、プライベート用のポイントカードに貯めて使う

「ポイントは店が購入者個人に対して付与するものだと考えられます。よって、このケースについては、ポイントは『他人の物』に該当せず、横領にはあたらないと思われます」

 

ケース2:飛行機で移動するたびに貯まるマイルは、たくさん貯めることで食事クーポンや航空券などさまざまな特典に換えることができるため、出張の移動分のマイルを貯めてプライベートの旅行で使う

「物品購入時のポイントと同じく、マイルも航空会社が搭乗者個人に対して付与するものだと考えられるので、このケースについても、マイルは『他人の物』に該当せず、横領にはあたらないと思われます」

 

ケース3:備品購入の際の福引で、景品として1等のハワイ旅行券が当たったので、それを自分のものにする

「ポイント、マイルのケースと同様に、景品は『他人の物』に該当しないと考えられるため、横領にはあたらないと思われます」

 

注意! 取り扱いの規程は会社によって異なる

このように、ポイントやマイルはあくまでも個人に付与されるものであるため、横領にはあたらないという考え方が一般的なようですが、注意点として、まずは会社の取扱規程を確認すべきだと山本さんは語ります。

 

「一般的には横領にはあたらないといわれていたとしても、マイルやポイントの取り扱いは会社によって異なり、マイルは会社に帰属するものとして経費の削減に活用する会社もあれば、個人のものとしてまったく関与しない会社もあるようです。

また、組織によっては、マイルの個人取得自体を自粛するよう決められているケースもあるようです。規程上、マイルが会社に帰属するとされる場合に、個人で利用してしまうと会社とのトラブルを招きかねませんので、まず会社の取扱規程がどうなっているかを確認しましょう」

 

まずは社内の取扱規程の確認から

一社会人として、当然、会社のお金は責任を持って扱わなければならないもの。しかし、プライベート利用が可能な範囲もきちんと把握しておくことで、ご紹介したような身近なケースにおける漠然とした不安や後ろめたさを感じる必要はなくなるはずです。

まずは会社のお金を取り扱う際の基本として、皆さんも社内規程を確認してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

 

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識者プロフィール

山本邦人(やまもと・くにと) 山本公認会計士事務所代表。公認会計士、税理士。監査法人にて経営改善支援業務に従事した後、平成17年に独立。現在は170件を超えるクライアントの財務顧問として業務を行う一方、税金面だけではなく、事業の継続的な発展と全体最適の観点からアドバイスを行う。