新たな環境で新たな仲間と仕事をする。「転職」と聞くと一般的にはそうしたイメージを抱きますが、実は近年、かつて退職した企業に再就職をする「出戻り就職」をする人々や、そんな人々の再雇用を受け入れる会社が増えているのをご存知でしょうか。

そこで今回は、出戻り就職のメリットや心得ておくべき注意点について、キャリアコンサルタントの藤井佐和子さんに伺います。

 

出戻り就職とは

一度退職した社員を再度受け入れる制度「出戻り就職」。近年、出戻り就職が増えてきている背景には、採用難のほか、人々のライフスタイルの多様化によって、自分に合った生き方を求める転職そのものが、ごく一般的なものになりつつあることが挙げられます。

また、藤井さんによると、出戻り就職をする人は主に以下の3つのタイプに分けられるのだそう。

 

1:転職や起業のために一度その組織を出た人

2:結婚や出産、介護などの事情で一度退職し、正社員としてのブランクのある人

3:定年退職で一度会社をリタイアした人

 

「定年前のビジネスパーソンにとって身近なタイプは『1』と『2』ですが、特に『1』においては、そのなかでも微妙に違いがあり、転職したがうまくいかず、『やっぱりもとの会社で頑張りたい』とあらためて気づいて戻ってくる人と、もう一度古巣に戻り、退職後の転職や起業の経験を生かそうとする人に分かれます(藤井さん:以下同じ)

 

出戻り社員・会社側の双方にメリットがある

それでは、出戻り就職にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

「出戻り就職をする側の大きなメリットとしては、入社後、スムーズに仕事に取り組んでいける点が挙げられます。職場環境やカルチャーがあらかじめ分かっているので、一から慣れていかなくても、すんなり仕事をスタートできるのです。

特に、社内人脈がすでにできていることで、仕事の成果を挙げるといった点でもスムーズですし、以前働いていた経験を生かしたキャリアも積んでいきやすいでしょう」

また、出戻り社員を受け入れる会社側のメリットについて、藤井さんは次のように語ります。

「出戻り社員を受け入れる会社側のメリットとしては、やはり、出戻り社員の人となりを知っていること、また、社内のカルチャーを理解してくれている社員が主体的に社内に溶け込んでくれるため、一からの説明や関係構築をしなくてもよい点が挙げられます。

このほか、出戻りだからこそ、というスキル面のメリットもあります。出戻り社員は、退職後に外で得た経験や視点を持って戻ってきてくれるので、ずっと社内にいる人だけでは気づけない課題を客観的に見つけ、問題提起・実践をしてくれるなど、社内での経験+外での経験を合わせて成果を出してくれるのです」

 

出戻り就職をする際心がけておきたいポイント

このように、就職する側・採用する側の両者にメリットがある出戻り就職ですが、実際に出戻り就職をする際には、次のような点を心得ておくべきだと藤井さんは語ります。

 

◎職場の人と積極的にコミュニケーションを取る

「自分にとっては慣れた環境かもしれませんが、自分が退職した後に入社した人たちもいる場合は、そうした人たちへの配慮も必要です。面識のない相手にもこちら側から積極的に働きかけ、コミュニケーションをスムーズに行う努力は怠らないようにしましょう」

 

◎また新たな気持ちで仕事に挑む

「自分が以前いたときと職場の雰囲気が変わっていることも多いので、それに戸惑う場合があるかもしれません。実際に、以前の環境のつもりで出戻ったら、スピードも会社のフェーズも変わっていて、ついていけずショックで辞めたという人も少なくありません。

同じ会社とはいえ、新たな意識を持って入社したり、事前に見学させてもらうことも必要かもしれません。特に社会人ブランクのある人は、インターン、パートやアルバイトからスタートしてみるのも一つの方法でしょう」

 

慣れ+αの活躍で出戻り就職を成功させる

出戻り社員に期待されるのは、その職場一筋の社員にはない、新たな視点を持ち込むこと。慣れに頼るのではなく、慣れを上手に活用して+αの活躍をすることが、出戻り就職を成功させるカギのようです。

今後の転職先を考えている皆さんは、ぜひ、かつての職場を転職先の一つとして捉えてみてはいかがでしょうか。

 

(オススメ記事)
転職の限界は何歳まで? 転職限界年齢のウソ・ホント

 

識者プロフィール

藤井佐和子(ふじい・さわこ) 株式会社キャリエーラ代表。大学卒業後、カメラメーカー海外営業部のOL経験を経て、大手総合人材サービス企業にて、派遣事業部、人材紹介事業部の立ち上げに携わる。主に女性を対象とした転職支援チームを立ち上げ、数多くの転職を支援。その後、独立。延べ13,000人以上のキャリアカウンセリングを行う一方、数多くの企業に対し、研修やスキーム作りなど人材育成支援を行う。その他、大学の非常勤講師、講演、キャリアセミナー、執筆など幅広く活動。