一昔前からブームとなり、現在も引き続き、男女ともにランニング人口は増加しています。2007年から開催されている「東京マラソン」も年々盛り上がりに火をつけているよう。ランナーの中には忙しいビジネスパーソンも多く、会社のメンバーと一緒に走っている人などもいるようです。

なんと、ランニングにはビジネスを加速させる絶大な効果があるといわれており、なかでもランナーの聖地ともいえる「皇居」の外周を走る人々の年収は、700万円以上が54%にも上るそう(ランニング専門のポータルサイト「RUNNET」2010年調査より)。『なぜ皇居ランナーの大半は年収700万以上なのか』(メディアファクトリー)の著者であり、自身もランニングを習慣化しているというジャーナリストの山口拓朗さんに、興味深いお話を伺いました。思わず「なるほど」と納得するようなエピソードが満載です。

 

ランナーの半数は年収700万円超え! いつでもどこでも始められるのが利点

ランニングはシューズやウェアも豊富で、特別な技術も必要ないため、誰でも始めやすいスポーツかもしれません。

 

とはいえ、なぜ皇居の外周を走るランナーたちは、全体的に年収が高いのでしょうか? 山口さんは自身の経験を踏まえ「ランニングを継続することで想像以上の能力が養える」と語ります。この言葉の中に答えがあるようです。

 

「フリーランスの文筆家である私は、もともと、平均睡眠時間が3時間と不摂生極まりない生活を送っていました。体力は落ちる一方で年中咳込んでいたし、ストレスで常にイライラしていたんです。それが『東京マラソンに出たい』という願望がキッカケとなりランニングを開始したところ、みるみるうちに体力が回復。さらには、頭がさえて仕事の質とスピードが目に見えて変わっていきました。これらはすべてランニングの成果だと断言できます」(山口拓朗さん:以下同じ)

 

ランニングを始めたことで、一体、山口さんにどんな変化があったのでしょうか? 皇居の外周を走るビジネスパーソンも感じたであろう「ランニングで得られる9つの効果」について、たっぷりとお話いただきました。

 

ビジネスに必ず生きる! ランニングで得られる9つの能力

山口さんいわく、ランニングで得られる能力は主に9つだそう。解説を交えながらポイントを紹介します。

 

1、主体性

「ランニングって環境はどうあれ、自分の意思で外に出て走り出さない限り始まらないじゃないですか。だからこそ、走り終えたときの充実感も大きいのだと思います。ランニングの継続によって自分の力で一歩を踏み出す習慣が付けば、自然と主体性が磨かれていくはずです」(同)

 

2、自己マネジメント能力

「ランニングは一切のズルやごまかしがききません。一歩また一歩と自分で脚を前に出さなければ目的地にたどり着けないし、ショートカットもできない。走るのも止まるのも自分の意思ひとつ。体が発する声に耳を傾けながら、的確に自分の心と体をコントロールする必要があります。これによりメンタル面も含め、徐々に自己マネジメント力が身に付いていきます」(同)

 

3、タイムマネジメント能力

「忙しい24時間の中でランニングをする時間を捻出するには、必然的にタイムマネジメント能力が求められます。実際にランナーたちも、仕事を最大限に効率化することで走る時間を生み出しているんです。『忙しくて走れない』と言う人ほどダラダラと残業するなど、時間がうまく使えていないもの。『今日はランニングをする』と決めれば、ムダな時間をなくす意識が高まります」(同)

 

4、目標達成能力

「ランニングを継続していくと、誰しもが目標達成を意識するようになります。距離や時間、体重など、指標は人それぞれですが、目標を達成したいという思いが生まれれば、そのためにどうすればいいかを考えますよね。とくに長期的な目標を定めてから、それを達成するために逆算して短期的な目標設定をすると、より効果的です」(同)

 

5、高いセルフイメージ

「前述した目標達成能力にも通じますが、ランニングにおける小さな目標をクリアするたびに、それが自信となり自己肯定感が高まります。その結果、セルフイメージが上がり思考が前向きになるんです。みなぎる活力と自信によって言葉や表情、態度が変化してくると、ビジネス上でも自然と周囲の評価が上がるのはまちがいありません」(同)

 

6、逆境克服能力

「初心者でもトップランナーであっても、走っているときに必ず苦しい瞬間が訪れます。戦う相手は他の誰でもなく、自分自身なんですよね。苦しくなったとき、多くのランナーは『もう一歩、あと一歩』と踏ん張って脚を前に出すんです。『もうダメかもしれない』というところから盛り返す経験を積むことで、逆境に立ち向かう力が鍛えられていきます」(同)

 

7、発想力

「古代ギリシヤの哲学者、アリストテレスは歩きながら弟子に真理を教え、作曲家のベートーヴェンは歩きながら作曲の構想を練ったそうです。私も実体験がありますが、走っていると思考がクリアになってアイデアがひらめきやすくなります。以前、京都大学の名誉教授である久保田競教授に取材を行ったのですが、人は走っているとき、『脳の最高司令部』と呼ばれる前頭前野が活性化されるそうです。ここは判断力や決断力、思考、学習能力などを司る重要な部分であり、活性化することで発想力が高まるといわれています」(同)

 

8、集中力

「よくアスリートが『ゾーンに入る』と言いますが、これは『極度の集中状態にあり、他の思考や感情を忘れてしまうほど、その瞬間に没頭していること』を指します。ではどうしたらゾーンに入れるかというと、あらゆる思考や感情を排除し一定のリズムを保つことが先決。息を吸う・吐くを繰り返しながら脚を前に出し続けるランニングは、まさにゾーンに入りやすい運動なんです。脳の活性化とともにゾーンに入る感覚が養われることで、日常的にも集中力が高まる効果が得られます」(同)

 

9、人間関係を良好にする力

「市民マラソン大会などに出場すると、折り返してきたランナー同士がタッチをしたり、『がんばれ』と声を掛け合ったり、ほほ笑ましい光景を目にすることがあります。大会に出場せずとも、自分と同じように『己と戦う』勇敢なチャレンジャーであるランナーには、自然と温かく接することができるはず。

個人競技でありながら、競技者同士が『近すぎず遠すぎず』の距離感を保てるランニングは、自分と他人の両方を尊重する精神を培うことができます。これこそ人間関係を良好に保つ要ですよね」(同)

 

「1カ月空いても今日走ればOK」ハードルを低くして楽に続けよう

このようにメリットだらけともいえるランニングですが、苦しさを伴うため継続するのが難しい一面があります。そこで山口さんは、「あきらめるという概念を捨てよう」とアドバイスします。

 

「たとえば1カ月走らない日が続いたとしても、今日走ればOKと考えてみてはどうでしょうか? 『あきらめる』という概念は永久に捨てて、どれだけ期間が空いても今日走れば良しとする。これなら続けられると思います。あとは、やはりランニングのメリットを体感できるようになると、続けるのが容易になるんじゃないかなと」(同)

 

さらに、最初に意識すべきなのは「走りすぎないこと」だと教えてくれました。

 

「走り始めたばかりのころは勢いがあるので、いきなり自分の限界を超えて走ろうとしてしまう人が多いんです。でも、それは続かない原因になってしまうので、最初はとにかく『走りすぎないこと』を意識してみてください。心地いいと感じるぐらいであえてやめておく。そうすると、翌日もまた走りたいという気持ちが生まれやすくなります。

また、ダイエット目的でランニングを始める人も多いと思いますが、体重や体脂肪だけではなく『筋肉量』にも着目するといいですよ。筋肉量がUPすると代謝が高まり、永続的なダイエット効果が得られるからです。健康になるのはもちろん、ビジネスにも生きるいいこと尽くしのランニングを、ぜひ今日から始めてみましょう!」(同)

 

まとめ

ランニングを習慣化させたことで著しい能力の向上を体感し、ビジネスを加速させた山口さん。それは山口さんだけに起こった特別な奇跡ではなく、誰もが得られる効果なのかもしれません。そのうえで「常に相手の期待を超えること」を意識して、ひとつひとつの案件に手抜きをせずにやってきた結果、現在の立ち位置を築くことができたと教えてくれました。

これほどまでにランニングがブームになった背景には、想像以上のプラスの効果があるからに他なりません。ランニングを始めるのは自分の意思であり、どこまでいってもライバルは自分自身。「今の自分を変えたい」「年収を上げたい」、そんな願いをかなえてくれるカギは、案外目の前にあるのかもしれませんね。

 

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識者プロフィール

山口拓朗(やまぐち・たくろう)伝える力【話す・書く】研究所所長
出版社で雑誌記者を務めたのち、2002年にフリーライターとして独立。20年間で2500件以上の取材・執筆歴を誇る。現在は執筆活動に加え、講演や研修を通じて「伝わる文章の書き方」や「好意と信頼を獲得するメール文章の書き方」等の実践的なノウハウを提供。モットーは「伝わらない悲劇から抜けだそう!」。著書に『何を書けばいいかわからない人のための「うまく」「はやく」書ける文章術』(日本実業出版社)、『書かずに文章がうまくなるトレーニング』(サンマーク出版)、『伝わる文章が「速く」「思い通り」に書ける87の法則』(明日香出版社)、『だから、読み手に伝わらない!(もう失敗しない文章コミュニケーションの技術)』(実務教育出版)他がある。
山口拓朗公式サイト