こんにちは。ビジネスマナー講師の金森たかこです。今回は、若手ビジネスパーソンが知っておくとよい「席次」についてお伝えします。

 

座次とは相手に対する敬意を伝えるもの

学生から社会人になって戸惑うことのひとつに、「上座(かみざ)」「下座(しもざ)」という言葉で表される「席次」のマナーがあります。

「席次」とは、その場で誰がどこに位置するのか、という席の順番のこと。会社で役職があるように、部屋や車、エレベーターにも、それぞれに「席次」があります。上座とは、その場で一番よい席のこと。つまり、より安全で心地よく過ごせる場所です。したがって、上座にはお客さまや目上の方、役職が上の方、年長者に座っていただきます。

下座はその逆で、お客さまをお迎えする側、役職が下の人が座る場所となります。

 

このように席次には基本的な考え方がありますので、正しい知識を身に付け、相手に対する敬意をしっかりと伝えましょう。

 

席次の基本的な考えとは

席次の基本的な考え方として、上座は出入口から遠い席、下座は出入口から近い席と覚えておくとよいでしょう。

しかしこれらは、部屋のレイアウトなどによって変わってくる場合もある、ということを理解しておきましょう。

 

次にシーン別での席次の基本をお伝えします。

 

会議室の場合

一般的な(対面型)会議室

議長がいる場合は、出入口から一番遠い場所を議長席とします。議長から見て右側の一番近い席が上座となり、続いて左の一番近い席、その後は順に右、左と進んでいきます。議長から遠くなるにつれて下座となります。

また、対面形式で会議を行う場合は、原則として出入口から遠い方の列の真ん中の席が上座となります。お客さまには、出入口から遠い方の列に座っていただきます。テーブルの端、かつ出入口に近くなるほど下座になります。

 

 

コの字型の会議室

コの字型に配置されている場合は、議長に近いほど上座となります。議長から見て右手前が最も上座に、次が左手前、続いて右、左と進んでいきます。

 

 

 

円卓の会議室

円卓の場合も、コの字型同様、議長に近いほど上座となります。
議長から見て右側が最も上座に、次が左側、続いて右、左と進んでいきます。

 

 

応接室の場合

一般的な(対面型)応接室

出入口から遠い席が上座、入口に近い席が下座です。

 

 

長椅子がある応接室

出入口から遠い席で、長椅子側が上座です。3人掛けの長椅子の場合、入口から一番遠い席が上座、入口に近づくにつれて下座となります。ただし、真ん中に最上位の人が座り、奥に二番目、手前に三番目の人が座る場合もあります。

 

 

椅子の格について

椅子にも格がありますので、覚えておくとよいでしょう。

①②長椅子
③④ひじ掛け椅子
⑤ひじ掛けのない(背もたれのみの)椅子
⑥スツール(背もたれなしの椅子)

上記①~⑥の順番に4種類ありますので、部屋のレイアウトを考えるとき、椅子の配置を間違えないようにしましょう。

 

 

長方形の机の場所による格について

応接室に置かれている長方形の机は、長い辺の方が上座となります。

 

 

エレベーターでの席次

操作盤の前が下座となり、操作する人、案内役の人が立つ場所です。その後ろが上座となります。

 

 

お客さまをご案内する場合、エレベーターに誰も乗っていない状況であれば「お先に失礼いたします」と一声かけてから先に乗り込み、操作盤の前に立ち必要な操作をします。

しかし、エレベーターに既に人が乗っている場合はお客さまに先に乗っていただき、自分は後から乗り込みます。その際、操作盤の前に既に人が立っていたり、乗っている人が多いときは、あえて操作盤の前に割り込むことはしないようにしましょう。操作してくださる人に「ありがとうございます」と声をかけ、空いているところに立ちます。そのときの状況に合わせた臨機応変な対応で、その場をスムーズに進めることがマナーとして大切な要素となります。

 

車での席次

車の席次には、大きく分けて2つのパターンがあります。タクシーのように運転手がいる場合と、上司やお客さまが運転する場合です。運転する人が変わることで、上座・下座の位置も異なりますので、覚えておきましょう。

 

タクシーの場合

タクシーの場合は、運転席の後ろの席が上座、助手席が下座となります。後ろの座席が3つある場合の席順は、上座は変わらず運転席の後ろの席、その次が反対のドア側の席、3番目が真ん中の席となります。

 

 

上司やお客さまが運転する場合

上司やお客さまが運転する場合は、助手席が上座となります。下座(最下席)は後ろの真ん中の席です。

 

 

さまざまなシチュエーションでの対応は臨機応変に

車の席次については、状況によってさまざまなパターンが考えられます。本来ならお客さまには運転席の後ろ(上座)、つまり奥の席に乗っていただかなくてはなりません。しかし、足をけがされているお客さまと一緒にタクシーに乗る場合などは、お客さまは動きの少ない手前の席(下座)の方がありがたいことも。

 

このような場合は、「本来なら奥へお座りいただくのですが、手前のほうが乗り降りしやすいかと存じます。いかがでしょうか」などの伺いをたて、その返答によって、自分が奥の上座に座ることも正しい選択となります。

他にも、上司の運転する車にお客さまと一緒に乗る場合、お客さまと上司の関係性や、お客さまの人数によって、本来なら上座である助手席に座っていただくお客さまに、後ろの席にお座りいただくこともあるかもしれませんね。

 

新幹線での席次

基本的には、窓側が上座、通路側が下座となります。4名のボックス席の場合は進行方向を向いている窓側が上座(最上席)となります。続いて向かいの窓側、次に進行方向を向いている通路側、最後が進行方向に背を向けた通路側となります。

 

 

しかし席次のルールはあくまでも原則であり、何が何でも守らなければならないものではありません。例えば、体調が悪いとき、携帯電話に連絡が来る可能性のあるときなどは、席を立ちやすい通路側がよいかもしれません。

上司など目上の方に同行するときは必ず「窓側でよろしいでしょうか」と一言伺い、確認する気配りをするとよいでしょう。

 

和室での席次

床の間を背にした席が上座(最上席)で、出入口に近い席が下座となります。

 

 

まとめ

ここまで、さまざまなシーン別の席次の基本をお伝えしてまいりました。何より大切なことは、これらの基本を押さえた上で、その場の状況に合わせて臨機応変に対応できる力を身につけることです。

会議室であれば、スクリーンやホワイトボードの位置で席次が変わる場合がありますし、応接室などでは、窓からの眺望や壁に掛けてある絵画の位置によって、本来の下座が上座に変わることもあります。

迷ったときは、上司やお客さまなど敬うべき相手に伺いをたてるというコミュニケーションが大切です。相手が快適に心地よく過ごせる場所こそが上座となる、ということを覚えておくと間違いないでしょう。

 

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識者プロフィール

金森たかこ(かなもり・たかこ)
京都市在住。ビジネスマナー講師。食品メーカーのOLとして勤務後、フリーアナウンサーとして独立。仕事をする中において、人間関係、コミュニケーションの重要性を感じ、マナーある人間関係づくりのため、マナー講師としての活動を開始する。アナウンサーとして培った話し方、ボイストレーニングを取り入れた独自のマナー研修が人気。テレビ番組などのメディア出演やドラマのマナー指導なども行う。ウイズ株式会社の社長としても活躍中。