転職を考えたときに、一般的な国内系企業から“外資系企業”へ転職することも選択肢の1つに入るかもしれません。一言で外資系と言ってもさまざまな企業がありますが、日本の企業とはどんな違いがあるものでしょうか。また、外資系企業へ転職した人のなかには、これまで勤めていた会社とのギャップに驚く人も多いと聞きます。

国内企業から外資系への転職ではどんな点に気をつけておくべきか、エントリー前に知っておきたい適性・心得について、採用コンサルティング事業を行うアイティビジネスサロン株式会社の代表、板橋真さんにお話を伺いました。

 

2000年ごろから見られた外資系増加の予兆

アイティビジネスサロン株式会社(ITBS)の板橋真さんは、2000年に大学を卒業した後に外資系企業へ就職をしています。実際にそのころからIT系エンジニアリングやコンサルティングの領域で、外資系企業による募集増加の“予兆”のようなものがあったそうです。

最近はクラウド系を中心としたWebサービスが、世界中のビジネスで台頭しています。日本を新たなマーケットの市場と考えた海外(特にアメリカ)企業が出資するかたちで、日本国内で「外資系IT企業」がたくさん立ち上がるようになりました。海外の電機/半導体メーカーなどが日本へ進出してきたことも重なり、日本の転職サイトでもここ最近、“外資系企業”の名前が目に付くようになっています。

 

「語学力」は特筆すべきスキルにあたらない!

では、実際にこうした外資系企業への転職活動では、どんな能力が求められるのでしょうか。

まずは外資系と聞くとイメージしがちな「語学力」について、板橋さんは次のように話します。

 

「国内で求人のある外資系企業は、日本のエリアを任せてもらっている支部にすぎないことが多く、マーケットエリアも日本国内。ですので、入社後の業務で英語を使うシーンは少なかったりもするものです。

しかし国内のマーケットが縮小され始めているなどの背景がある場合、マーケットを海外に広げたプロジェクトを専任されることがあります」(板橋さん、以下同じ)

 

こうしたケースでは当然、語学力が必須となります。とはいえ、それは国内系企業でも同じこと。そのため採用シーンでは、特段、語学力がピックアップされるというよりも、備わっていることが“当たり前”の感覚のよう。語学力自体が特筆すべき個人スキルになりにくくなっている、というのが正直なところなのだそうです。

 

外資系志望者の特筆すべきスキルとは?

では、外資系への転職で特筆すべきスキルとはどんなことなのでしょうか?

 

「外資系転職の基本として、仕事にひも付いて募集をかけられることが多いんですね。『こういう業務領域を任せたい!』という点が、国内系企業よりかなり明確です」

 

言い換えれば、こういうことです。国内系企業の場合、例えば総合職で入社後、その人物の希望・適性に合わせて、配置部署が決定します。

それに対し、外資系転職はこんなイメージです。

 

「今必要としているのはこの部門」

「そのなかで、こういうことをできる人材を求めている」

「そこに対して、あなたはどういった貢献ができるか?」

 

すなわち、これまでの会社で培った個人スキルを、次の転職先で生かせるのかどうか。そこを転職活動で判断されるということ。

 

「そう。求められるのは、個人のスキルそのものです。『自分が何屋なのか』を主張できなければ、転職活動もうまくいかないでしょう。これが国内系企業への転職であれば『何をしたいか(Want)』を尊重してくれますが、外資系では『何をできるのか(Can)』。Wantは会社に貢献してからできる(Can)ようにしてあげる、という考え方なんです」

 

国内系/外資系企業の明確な違いとは?

実際に働いていくなかでも、国内系/外資系企業では、明確な違いがあります。その代表例が給料についてです。「外資系は日本的な“年功序列”がなく、募集をかける際にも、20代であろうが30代であろうが、支払われる給与があらかじめ決まっている」と板橋さんは言います。

 

また退職金を積み立てていない外資系の多くは“年俸制”を敷いており、生涯の収入として期待できるのは、1年分の年俸を12等分して振り込まれる月々の給料のみ。ボーナスも基本的にはありません。

 

しかし日本には「ボーナス払い」のような制度があるため、そうした習慣に対応すべく、例えば年俸を“14等分”し、“14分の2”をボーナス月(7・12月)に加算する制度があることも。また、企業が利益を上げたら社員にシェアする“業績連動型”の一時金の制度を敷いているケースもあるといいます。

 

いずれにせよ、外資系への転職を検討する場合は、自分自身の生涯にわたった人生設計も配慮しておかなければいけませんね。

 

こうして外資系/国内系を比較していった場合、最も大きな違いは「キャリアアップの仕方にある」と板橋さん。これこそが、外資系転職を選択するときの大きなポイントです。

 

〈国内系企業〉

●「営業→経理→人事…」のように、社内でさまざまなキャリアを積むことができる。いろいろなことを経験して、そのたびにネットワークを築ける。

●キャリアの相談に応じてくれる、上司の存在も心強い。

 

〈外資系企業〉

●「1つのセクター」に配属されれば、基本的にずっとそのセクターで仕事をしていく。目に見えるキャリアアップがしやすく、専門性を伸ばしていくには適している。

●プロジェクトの完遂とともにチームが解体されるため、上司が親身になってキャリア相談に応じてくれることが少ない。

 

以上を総括すると「国内系企業=ジェネラリスト的なキャリアアップ」であるのに対し、「外資系企業=スペシャリスト的なキャリアアップ」だといえるのかもしません。

 

20代はしっかり自分のキャリアを積み立てる

最後に板橋さんは「これは国内系企業への転職にもいえることですが」と前置きしたうえで、次のように指摘しました。

 

「一口に『外資系』といっても、本国のポリシーを順守しているところもあれば、のれん分けのようなかたちで国内独自の文化を築いているところもあります。結局、実際のところは、その企業に勤める本人と話してみないと分かりません。なので、いざ転職をしようと考えたときには、エージェントサービスなどを活用し、OB・OG訪問のようにそこで働いている人からその会社がどういう会社なのか、十分にヒアリングするのがベストな選択です」

 

自分がどんなキャリアを積んでいくべきか、20代のうちはまだぼんやりとしているものです。しかし板橋さんは「それでまったく問題ない」と話します。ただし、ぼんやりとしているうちは、選択を誤ってはいけません。

 

「20代のうちは『修業の場』。そう考えて、今在籍されている国内系企業のなかで、しっかりと自分のキャリアを見極めましょう。『外資系転職』という選択は、それからでも決して遅くはありません」

 

まとめ

将来のキャリア設計を考えたうえで、もっと専門性を高めてグローバルな環境で活躍してみたい!というあなたには、外資系企業への転職はより大きなチャンスを与えてくれるかもしれません。

また、DODAのグローバル転職レポートでは、実際に外資系企業に転職をした人のリアルな声を聞くことができます。こちらも参考に、「自分が働きやすい」「自分に合った」場所を選択してくださいね。

 

(オススメ記事)
『採用基準』の伊賀泰代が語る、グローバルに働くために語学力より必要なこと

 

識者プロフィール

アイティビジネスサロン株式会社(ITBS) 代表取締役社長 板橋真(いたばし・まこと)
1976年生まれ。2000年3月慶應義塾大学卒業後、外資Big系ファーム、ベンチャーキャピタル、リクルートを経て2012年独立、アイティビジネスサロン株式会社を設立。会社/ITコンサル、経理・財務、経営企画といった職種を経て、自らの業務および転職経験を生かし、ヘッドハンティング事業、採用コンサルティング事業を運営、現在に至る。