―横路さんは、これまでの人生で、後悔していることはありますか?

 

横路:(あっさりと)ないよ。実は22歳の頃、ストリートブランドを立ち上げたんだ。最初は飛ぶように売れたんだけど、流行とともにそこまで売れなくなっていってね…。最終的には在庫を抱えて、大赤字(笑)。26歳にして負債が5000万円もあったんだよ。それでも、後悔はしていないよ(きっぱり)。

 

気持ちが良いほどさっぱりと、それでいて前向きな発言を聞かせてくれたのは、今回お話を伺った横路一樹(よこじいっき)さんです。

1978年生まれ37歳の横路さんは、小・中・高とバスケットボールに熱中した元・体育会系。時は1990年代。「エアジョーダン」が一躍ブームとなり、「エアマックス95」が発売されるなど、スポーツを経由して、横路さんはスニーカーが好きになり、そこからファッションにのめり込んだそうです。

大学時代には国内外のフリーマーケットで古着を買い付けて販売し、大きな利益を生み出すことに成功!まだ学生でありながら数百万円、数千万円というお金を扱っていたんだとか。しかし…。

 

【Profile】横路一樹(よこじいっき)


横路さん

1978年生まれ。埼玉県出身。20代で年商2億円5000万円の会社を経営、そして売却。30歳でゼロから再びスタートを切った過去を持つ。ブランド古着屋「DIGRAG」創業者、スタイリスト事務所代表、スナップWEBマガジン編集長といった幾つもの顔を持ち、現在は、“ファッション×IT”で世界を変えることを標榜し「ファッションアテンダント」というサービスを手がけている。

 

―26歳で、5000万円もの負債があったなんて!それは大変でしたね。

 

横路:いやいや、成功も失敗も、積み重ねだからね。全然後悔してないし、良い経験したなと思ってる(笑)。

 

―す、すごくポジティブですね!

 

横路:その5000万円で誰かが幸せになったと思えばいいわけだし(笑)。僕は大学生の時から、靴とファッションが大好きで、都内のフリーマーケットで買い付けてきたアイテムを転売したり、アメリカのバイヤーに現地で買い付けてもらったアイテムを雑誌に載せて販売したりしていた。そのうえ、生産国の中国から商品を引っ張ってきて販売・卸しをすることで売り上げを作って儲けたんだ。それで得た資金、500万円を元手にして、新潟に「DIGRAG」っていうブランド古着屋をオープンさせて、開店してわずか2日で250万円の売上をあげた。そして1カ月で元手分を回収したんだ。

一方で、22歳の頃にストリートブランドを立ち上げたんだよ。最初はグラフィックTシャツを出して、結構売れたんだけど、欲が出てね。トップス、パンツ、アウター…、いろんなアイテムを出して、ここは勝負だと思って調子に乗って中国生産に切り替えて大量生産してしまい…。思ったよりも売れずに在庫が残って大赤字になった。

それで26歳の時に負債を5000万円抱えた(笑)。順調に店舗数を増やして、少しずつ成長していたブランド古着屋「DIGRAG」で得た利益は結局、その負債と相殺されて。それからは展開していた店舗とネット販売、東京での事業をコンサルタントとして関わってくれていたパートナーに売却し、デイトレーダーに挑戦したり、年商100億円規模のパンとスイーツの事業をやろうとしたり。アパレル以外にも視野を広げて挑戦してみたり。デイトレーダー時代には、1000万円の投資詐欺にもあったりして…。まあ、結局負債はどうにかなったから、結果オーライなんだよね!

 

ポジティブでいられるのは、まずアクションすることを心がけているから

―成功と失敗を経験してきた横路さん、現在、ファッションアイテムやインテリア家具などの買い物に付き合ってくれる(ライトな買い物パートナー)をWeb上で探せるサービス「ファッションアテンダント」を展開しています。

 

後悔なしです ※失敗を何度もしてきているが、これまでの人生にまったく後悔は無いと語る横路さん

 

横路:紆余曲折あって、遠回りしたけど、やっぱり僕はファッションが好きなんだ。原点に立ち戻り、自分の直感を信じてファッションの世界に帰ってきた。それで「ファッションアテンダント」というサービスを始めたわけ。これまでに培ってきたファッション関係者の人脈があったしね。

 

―横路さんは、Facebookで友達が5000人もいるんですよね!

 

横路:僕の場合はFacebookの使い方が、一般の方と違い「自分メディア」として使っています。「ブログの読者が5000人」って決して多くないですよね?ちなみに、「ファッションアテンダンド」のパートナーは、現役のファッション関係者から、流行に敏感なオシャレOL、女性コスプレーヤーなど多種多様。そういったセンスの良い方々を幅広く集められたのは、人に興味があって、その人の素敵な部分を見つけ出し、ほめることが大好きで、すぐに口に出して伝えてきたからだと思う。

 

―我々、キャリアコンパス取材班が待ち合わせ場所で待っていた時も、「そのネクタイ、いいね!」、「そのスニーカー、いいね!」といった感じの声と共に颯爽と登場しましたよね。横路さんは、まるでFacebookで「いいね」ボタンを押すように、ポンっと「いいね」や「素敵だね」「かっこいいね」が飛び出してきます!そういう思ったことをKYだろうが恐れずに口に出すという行動のことですよね?

 

横路:そう。それと深く悩んだり考えすぎないってことかな。みんな失敗を恐れたり、損得勘定が働きすぎたり、考えすぎちゃってるような気がするんだよなあ。

今の若い男性に多いのはフラれるのが怖くて自分から告白できなったり、人との付き合いが面倒で携帯ゲームに傾倒したり、面倒くさいことから逃げている人が多いように思う。恋愛も結婚も仕事も面倒くさいことですよね?!面倒くさいことを好きにならないと!!そこから逃げ続けても決して良い人生が送れるとは僕は思わない。

小・中学校のクラス替えの初日に友達がいない中で「恥ずかしい」とか「不安」とか言っていたら、友達ができないのと一緒だと思う。まず勇気を持って自分から「友達になろうよ!!」と声をかけることが良い方向に向かうはずなんだよね。

 

―なるほど!くよくよ考えていても仕方ないんですね。

 

横路:僕はね、電車に乗るときの駅構内とかで大きな荷物を抱えている女性が階段近くにいたら、年齢に関係なく、常にすっと近寄って「そこまで持ちますよ!」と手を貸すようにしている。大勢の人が行き来している駅で、いきなり赤の他人に声をかけるのは、はじめは勇気がいる。だけどね、手を貸すと相手は絶対に感謝してくれるんだよ。自分にとっては大したことじゃないのに、「ありがとうございます!」って言われると、それだけで嬉しくてさ。この「ありがとう」は、中毒になるんだよね(笑)。

 

―中毒ですか??

 

横路:そうなんだよ。また「ありがとう」が欲しくなる。そして、感謝されることは自信につながるの。何事も、迷っているならアクションを起こした方がいい。最初は些細な行動からだけど、それが自分自身の小さな自身に積みあがっていくから。

以前だけど、代々木公園駅で、着物をきている女性のスーツケースを地下に降りる階段の手前で持ってあげたら、それがきっかけで知り合いになってね。なんと元地方局のアナウンサーで、現在は女優をやっている女性だった。素敵な方だったから、ちょっと嬉しかったね(結婚してたけど・笑)。そんな縁から繋がった彼女にも、この前「ファッションアテンダント」の買い物パートナーに登録してもらったよ。

 

―そうした小さな出会い一つひとつの積み重ねが仲間を集め、Facebookの友達数が5000人になることにも繋がっていくんでしょうか?

 

横路:そう。「恥ずかしい」なんて考えていたら損、やったもの勝ちだよ!

 

照れてる場合じゃない ※コミュニケーションを取るのに、“照れ”てる場合ではないと語る横路さん

 

「ファッションアテンダンド」はまさにこれから!

―「ファッションアテンダンド」は、どういったユーザーに利用されていますか?

 

横路:スタート時、ユーザーは男性を想定していたんだけど、ここ最近は女性のユーザーが増えてきて7割が女性からの注文。やっている僕自身が一番驚いている。

でも、まだ始まったばかりで「目に見えない経験とセンスを買う」という新しい価値観のサービスなので地道に普及させていくしかないんだよね。正直、今の売り上げが10万円いくかいかないかの月もある。今まで時間に対してお金を払うって、本当に困ったときに弁護士さんに30分5000円で相談する。そんなパターンでしかなかったと思うんだけど、僕がやろうとしているのは、「その人の経験とセンスに1時間5000円を払う!」という新しい価値観のサービス!

イラストレーターやフォトショップを自分でゼロから勉強するよりも実績のあるデザイナーに頼んだ方が効率が良いですよね?それと一緒で経験とセンスもアウトソースする世の中に今後はなっていくと思っています。僕が思い描いていることが形になって浸透してきたら、相当大きなマーケットを創れるはずなんですよね!

 

熱く語る ※「ファッションアテンダンド」について、熱く語る横路さん

 

今回のおさらい

お話を伺って感じたのは、横路さんの底知れない前向きさ。ビジネスの成功。そして失敗、負債、詐欺被害…。山あり谷ありの波乱万丈な人生ですが、その哲学は「とにかく後ろ向きなことは考えるな。何事にもポジティブに。まず行動を!怖がらずにファーストペンギンであれ!!」ということだと思います。実にシンプル。

それが、これまでになかった、“センス”と“経験”を売る仕事「ファッションアテンダント」のサービスを立ち上げ、広げていく挑戦につながっているんですね!

 

(取材・執筆:眞田幸剛)