「我慢して働き続けても“いつか”は来ないと思ったんです」 と、フリーカメラマン・飯岡拓也さんは笑顔で語ります。

 

今回、キャリアコンパスは、10代・20代のモデル撮影をメインに活躍されている飯岡さんに、カメラマンになったきっかけと決断できた理由、そして将来への展望を伺いました。

 

飯岡さんのキャリアから見えてくる自分らしい働き方とは?今の仕事や将来に悩んでいる方、必見です!

 

目次: 寝る間も惜しいくらい、いまは仕事が楽しい! 全くうだつの上がらなかった会社員時代 「やっぱり、カメラでいくしかない」と思った 「カメラマンじゃ喰えないよ」そう言われていたけど…

 

寝る間も惜しいくらい、いまは仕事が楽しい!

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PROFILE:フリーカメラマン・飯岡拓也さん
現在26歳。茨城県出身。大学卒業後、1年3カ月の会社員経験を経て、フリーカメラマンとして独立。10代・20代のモデル撮影をメインに活躍している。InstagramをはじめとしたSNSの活用を得意としており、自身の活動を随時アップロード中。

 

―:飯岡さんが、現在手掛けている仕事を教えてください。

 

飯岡さん(以下、飯岡):10代・20代向けのアパレルブランドの広告から、雑誌・Webサイト用まで、幅広い媒体の写真を撮影しています。フリーカメラマンになって3年目です。おかげさまで、色々な仕事に携われており忙しい毎日を送っています。

 

フリーのカメラマンには風景やモノ、人物などそれぞれ得意ジャンルがありますが、僕の場合はモデルを中心とした人物撮影が中心。モデルが持つ魅力を引き出して撮影することを心がけています。

 

飯岡さんの仕事

※Photography by Iioka

 

何かのドラマで聞いた「仕事が楽しければ、人生の半分以上は楽しい」ってセリフ。あれは本当だったんだと最近しみじみ思うんです。会社員の頃は「仕事を辞めてぇなあ」って、ことばかり考えていたんですけどね。

 

毎日多忙で、昼間は撮影や打ち合わせ、夜は写真のレタッチ(編集)をしているので、ほとんど休みが無いんです。でも、自分のやりたかったカメラの仕事をして、こんな写真を撮りたいって考えを形にできています。だから、しんどいとは思いません。今は寝る間も惜しいくらいに、走り続けていたいですね。

 

全くうだつの上がらなかった会社員時代

上手くいかないことも

※過去を回想する飯岡さん

 

―:飯岡さんが、カメラマンになったきっかけを教えてください。

 

飯岡:カメラマンになる前から話をさせてください。大学を卒業した後、不動産業界で営業職に就きました。仕事の内容は、地域の不動産会社に「御社が取り扱っている物件を、私の会社が運営している不動産の情報サイトに掲載しませんか」と提案することでした。

 

その仕事で、全くうだつが上がらなかったんです。原因は、やりがいを感じられなかったことが大きかったと思います。自分の提案は“相手のメリットになっているんだろうか?”という疑問がずっとあって…。

 

毎日上司からは怒られるし。モヤモヤしながら働いたので、全然うまくいかないわけです。しかも提案が通っても嬉しくない。入社から1年もしないうちに、学生の頃から趣味で続けていた“写真を撮ることを仕事にしたい!”という気持ちがどんどん強くなっていたんです。

 

―これが決定打になったというエピソードはありますか?

 

飯岡:本当に“仕事が面白くない”と悩み。頑張らないといけないと思うんだけど、頑張れない…。そんな毎日のなかで自分に問いかけたんです。「そもそも、この仕事を一生続けるのか?」って。それは無いよなぁ。というのが自分の答えでした。

 

「やっぱり、カメラでいくしかない」と思った。

フリーカメラマンになった飯岡さん

※フリーカメラマンとして充実した毎日を送る飯岡さん

 

―自分の本当にやりたいことに気が付いたんですね。

 

飯岡:自分が本当にやりたい仕事は、カメラの仕事だって気が付いて。もう中途半端な状態から抜け出そうと考えました。そこで新卒入社から1年3カ月たったころ、会社に辞表を出したんです。

 

―:飯岡さんにとって、大きな決断だったのではないでしょうか。

 

飯岡:社会人になるまで、周りと同じように高校や大学に進学したり、会社員になることが当たり前だと思っていました。僕は中学生の頃、生徒会長を務めるような真面目な学生でしたから(笑)。高校も私立の進学校に通っていて、大学に入ることも当たり前。就職だって大手企業に入った方が安心だと考えるようなタイプです。

 

でも、うだつの上がらない会社員生活の中で、本当にやりたいのはカメラマンなんだってことに気が付いて。20代の今なら、失敗したって大きなリスクは無いぞと思ったことも大きかったですね。

 

―:いつから写真を撮ることが好きになったのでしょうか。

 

飯岡:大学生の時に、ミスコンを主催するイベントサークルに所属していました。当時、ミスコン用のwebサイトを作る際に掲載する写真が必要で、その撮影を担当するようになったのが写真を好きになったきっかけです。

 

そんなイベントサークルでの活動は、大学2年の終わり頃からスタートしました。それまでは大学で授業を受けて、新聞配達のアルバイトに精を出す生活だったんです。

 

友達がイベントサークルへの入部を誘ってくれた時、授業とアルバイトで忙しいから最初は無理だと思っていました。自分の生活パターンが変わる新しいことに挑戦するのって、覚悟も必要ですしね。しかし、思い切ってイベントサークルに入ってみたら、全部両立できたんです。

 

新しいことに挑戦するのは色々な人にも出会えてチャンスが広がるから、やった方がいいんだな。いつもと同じことだけしていたら何も変わらないんだな。ということを知った瞬間でしたね。後に、カメラマンになる決心ができたのも、こういった経験をしていたからだと思います。

 

飯岡さんの仕事

※Photography by Iioka

 

「カメラマンじゃ喰えないよ」そう言われていたけど…

笑顔の飯岡さん

※「今は寝る間も惜しいくらいに、走り続けていたい」と語る飯岡さん

 

―:カメラマンをはじめてから、順調にキャリアを構築できたのでしょうか。

 

飯岡:会社員を辞めた直後は、収入がガクッと下がりました。ほとんど無職に近い状態でしたからね。住む場所もままならず、知り合いのマンションに転がり込みました。

 

カメラマンの仕事を少しずつできるようになったのは、SNSを活用したおかげです。どんなに小さな仕事でも、携わったものは実績としてFacebookやtwitter、Instagramにアップロードして、自分の情報をどんどん発信しました。

 

そんなことを続けているうちに、SNSで多くのファンがいるモデルの撮影ができたことも僕のカメラマン人生を変えたきっかけになりました。

 

例えば、今も仲良くしているモデルの『時人』くんが、自分の写真を気に入って拡散してくれたんです。彼のツイッターのおかげで「飯岡さんの写真を見ました」って言ってくれる人たちが増えました。

 

時人くんの写真

※写真は、モデルの『時人』くん

 

―:SNSの活用が、カメラマンの仕事の幅を広げたんですね。

 

飯岡:今、僕は26歳なんですが、僕たちの世代はSNSを使って情報収集や、セルフブランディングをはじめた最初の世代だと思います。SNSがあったから、僕はカメラマンとして色々な仕事ができているんだと思います。

 

例えば、Instagramのタイムラインで流れている写真を見ていると、いまの流行がすぐにわかるんですよね。みんなこういう写真が好きなんだっていうインプットになるんです。一方で、自分で撮った写真をアップロードすると、写真の反応がすぐにわかる。ウケる写真なら「イイネ」がたくさんつくし、悪いと全然反響が無い。SNSが自分のスタイルを作るヒントになりましたね。

 

写真の撮り方は、ほとんど独学です。でも今活躍できているわけですから、カメラマンになるには、こういう方法もあるんだぞ!ってことを、周りに発信していきたいですね。

 

―:飯岡さんが考えている将来の展望を教えてください。

 

飯岡:現在Webをはじめ、メディアの数が増え続けていますから、カメラマンの需要はまだまだあると思っています。一方で動画の技術革新も凄まじくて、動画の一部を切り取るだけで写真と同じような表現ができるようになるかもしれません。

 

だから、先行きは明るいとは絶対に言い切れないと思いますが、カメラマンとして自分なりの発信や提案を続けていけば、仕事の幅を広げられると思っています。将来は、渋谷のスクランブル交差点を見下ろす交通広告の写真を撮影できたらなと考えています。

 

―:今回ご登場いただいたキャリアコンパスは、“自分らしく働きたい”と考えている25歳くらいの読者にヒントを得てもらうコンセプトがあります。飯岡さんと同じように“好きなこと”を仕事にしたいと考えていても、一歩を踏み出す勇気がでない。躊躇してしまうという人も多いと思っています。そういった方たちへのメッセージをお願いします。

 

飯岡:会社を辞めてカメラマンになりたいことを周りに相談したとき、みんなに止められました。「カメラマンじゃ喰えないよ」って。

 

でも、そう言っていた人たちは、多くの場合“カメラマンにはどういう人たちがいる”とか、“実際に、どういう仕事なのか”は、分かっていなかったと思います。

 

周りの意見も大切ですが、本当に自分がやりたいことがあるなら挑戦した方が後悔は無いというのが僕の考えです。僕もこれからのことが不安な時があります。でも、それを考えていては何もできない。それに大きな会社に勤めていても、いつ倒産するかわからない世の中ですからね。

 

もっとも今は不安よりも“こういう人の写真が撮りたい”とか、“この媒体の写真が撮りたい”って気持ちの方が大きいです。挑戦するなら早い方が良いと思うんですよね。

 

気が付いた時が一番早い時期です。いつか、いつかと先延ばしにしていても、その“いつか”って考えているだけだと来ないと、僕は思うんです。

 

飯岡さんの仕事・その2

※Photography by Iioka

 

(取材・執筆:編集部 磯井啓輔)