2018年の夏は、気温が35度を超える猛暑日が増えるという予想が出ています。そこで誰もが気になるのが、ジメッとした暑さによるベタつきとニオイのもとになる「汗」ではないでしょうか?

 

外出が多い営業職の方や女性にとって、とくに汗の悩みは切実なはず。そこで今回は、「新・もう汗で悩まない(ハート出版)」の著者であり、「汗博士」の異名を持つ五味クリニックの五味常明院長に「汗対策」について伺いました。

汗を止める方法も合わせてご紹介しているので、緊張するとたくさん汗をかいてしまうという人にも、きっと役立つはず!

 

汗には「良い汗」と「悪い汗」の2種類がある

汗には体温を調整する大事な役割があり、私たちは汗をかかずには生きていけません。たとえば運動して体が熱くなると自然と汗が出ますが、これは体温を平熱に戻すために起こること。汗が蒸発することで、私たちは体温を一定に保っているのです。

 

ただ汗と一言でいっても、嫌なニオイを発生する汗とあまり臭わない汗があるのをご存知ですか? 五味院長は、汗を「良い汗」と「悪い汗」の2つに分類しています。

 

「良い汗とは小粒で濃度が薄く、限りなく水に近い成分。よくサラサラ汗とも言われます。ニオイが少なく、蒸発しやすいので体温調整が効率的にできる汗です。

 

一方、悪い汗は大粒で、ナトリウムなどのミネラルが一緒に排出されるので濃度が濃い。嫌なニオイがするほか、ネバネバしているので蒸発しにくく、体温調整の機能も低いのです」(五味常明院長:以下同じ)

 

いつも良い汗をかくための生活習慣8箇条

では、良い汗をかける体になるためには、どうすればいいのでしょうか? ポイントは汗を分泌する「汗腺」を正しく機能させることにあると五味院長は言います。

 

「エアコンの効いた室内で長時間過ごしていたり、運動不足で汗をかく機会が減ったりすると、汗腺の機能が弱まり悪い汗が多く分泌されます。そのため正しく機能させるには、まずは弱った汗腺の機能を取り戻してあげることが大切。

 

汗腺は筋肉と同じで、鍛えれば鍛えるほど機能性が高まります。ですから、良い汗をかきたければ、たくさん汗をかくために生活習慣を見直し、汗腺を鍛えることが効果的です」

 

“汗腺を鍛える”という考え方は、初めて知る人も多いかもれません。実際にどのように生活を見直すべきかを8項目に分けてご紹介します。

 

1.部屋の温度を下げすぎない

「エアコンは、なるべく温度を下げすぎないよう工夫しましょう。オフィスにいて調整が難しい場合は、直接体に風が当たらないようにブランケットなどを活用するのもオススメです」

 

2.冷房の効いた部屋からすぐに外に出ない

「冷えた部屋に長時間いると皮膚温度が下がってしまい、暑い外に出ても、すぐには汗が出なくなります。その代わり、一定時間が経つとドッと汗が出てしまう。これが嫌なニオイのもとなんです。外に出る前に玄関などで少し立ち止まって、身体を外気に慣らしてから外に出るようにしてください」

 

3.日常的に有酸素運動を取り入れる

「ジョギングなどの有酸素運動を一定時間行うと、サラっとした良い汗をかくことができます。これは、肺から十分な酸素が抹消の血管に配給され、体の末端まで血行が良くなるためです。理想は週に2回以上、有酸素運動を行うこと。難しい場合でも日常的にたくさん歩いたり、階段を多く使ったり体を動かすように工夫しましょう」

 

4.通気性の良い服を着る

「汗が出たら蒸発させて体温を下げることが大事ですので、水分が蒸発しやすい綿や麻など通気性の良い素材を用いた服を着るようにするといいですね。春夏はもちろん、秋冬も屋外と屋内の温度差が大きいと汗をかくことがあるため、意識しておくといいでしょう」

 

5.辛いものを食べ過ぎない

「辛いものを食べると汗がにじみ出ますよね?『代謝が上がって汗をかくワケだから、いいことなのでは?』と思われるかもしれませんが、実は辛いものを食べ過ぎると汗が出にくい体になってしまいます。食べてもいいけれど、控えめにすることをお忘れなく」

 

6.夏は動物性の脂肪とタンパク質は控える

「牛・豚・鳥などの肉類、バター、ラード、牛乳、チーズ、魚介類など動物性の脂肪やタンパク質が多い食べ物は熱が体にこもってしまいやすく発汗作用がないので、夏の時期はなるべく控えるといいでしょう」

 

7.お風呂で汗腺トレーニングを行う

「これは、私が考案した汗腺トレーニング法です。まず熱めのお湯(43〜44度)を少なめに張った湯船で10〜15分ほど手足を温め、そのあとぬるま湯にして全身浴、または半身浴をします。両手・両足の汗腺は予備力が高いため、鍛えることで能動汗腺を増やし機能を高めることができますよ。本格的に夏が来る前から取り入れると効果的です」

 

※予備力:ある機能について最大能力と平常の生命活動を営むのに必要な能力との差

 

8.お風呂から出たあと、すぐに体を冷やしすぎない

「夏場はお風呂から上がったあと体が火照っているので、すぐに冷房に当たりたくなりますよね。しかし一気に体を冷やして汗を止めてしまうと、お風呂で開いた汗腺が急に閉じてしまいます。ちょっとガマンして、うちわか扇風機で汗を蒸発させてから冷房を付けるとちょうどいいですね。

 

またエアコンで急激に冷やすと、皮膚温度は下がっても体温は十分に下がらないままで、寝付きも悪くなります。熟睡するためには、体温低下に伴って基礎代謝が下がり“プチ冬眠”のような状態をつくる必要があるからです」

 

ニオイを伴う悪い汗を止めたいときの対処法

ここまでは良い汗をかくための習慣をご紹介しました。合わせて、急に大量に汗をかいたり、ベタベタした不快感の強い汗をかいたりしたときに、汗を止めるための対処法も伺います。

 

●湿り気を残して汗を拭く

「汗が出て、すぐにゴシゴシ拭き取ってしまうのはNG。汗が蒸発したときに体温が下がるわけですから、蒸発しないうちに拭いてしまったら、またすぐに汗が出てきます。大粒の流れる汗は拭き取ってもいいのですが、皮膚にとどまっている汗は湿り気を残して、タオルやハンカチで押さえるように拭いてください」

 

●脇の下を圧迫する

「汗が大量に出てきてしまったときは、両脇の下を圧迫すると止まりやすくなります。げんこつを作って脇を締めてもいいですし、冷たいペットボトルがあれば脇の下に挟むとかなり効果的ですよ」

 

●デオドランド剤を二重塗りする

「良い汗と悪い汗があるとお伝えしましたが、脇と足の汗は体温調整機能を持たないため、デオドランドスプレーなどで止めても大丈夫。私がオススメしているのは、脇の毛が生える狭い範囲に直塗りタイプのデオドランド剤を塗り、その上から軽くスプレーする方法です。スプレーが胸や腕にかかったりすると、身体にこもった熱を逃がせず熱中症になってしまう恐れがあるので注意しましょう。

ウェットシートタイプのデオドランド剤はアルコールが含まれていて、拭いたあとに水分が蒸発するので、全身に使用しても大丈夫です」

 

汗を上手にコントロールすれば、夏場も爽やか!

汗の拭き方やデオドランド剤の使い方など、誤った習慣を続けていた人もいるのではないでしょうか? 熱中症のリスクも下げつつ嫌なニオイを防ぐ、正しい汗の対処法を身に付けましょう!

 

冷房に頼って汗をかかないようにするのではなく、日頃から汗腺を鍛え、悪い汗をかかないよう体質改善を図りましょう。そうすることで夏場でも不快感に悩まされることなく、快適に仕事ができるはず。

 

夏はすぐそこ! ぜひ、今日から「良い汗」をかくための習慣を始めてみませんか?

 

(取材・文:小林 香織 編集:東京通信社)

 

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識者プロフィール

五味常明(ごみ つねあき)
五味クリニック院長/体臭・多汗研究所所長)
1949年、長野県生まれ。一橋大学商学部、昭和大学医学部卒業。昭和大学形成外科等で形成外科学、および多摩病院精神科等で精神医学を専攻。ワキガの治療法として、患者が手術結果を確認できる「直視下剥離法(五味法)」を確率。主な著書・監修書に「体臭恐怖(ハート出版)」「デオドランド革命(ハート出版)」「発汗健康法 岩盤浴の秘密(ハート出版)」などがある。