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有森 裕子

有森裕子、すべてを力に

有森裕子
1966年生まれ。90年、初マラソンとして挑んだ大阪国際女子マラソンで、当時の日本記録を樹立。92年のバルセロナ五輪で、日本女子マラソンにとって初のメダルとなる銀メダルを獲得、続く96年のアトランタ五輪でも銅メダルを獲得した。現在は、自らが設立したNPO「ハート・オブ・ゴールド」やアスリートのマネジメント会社「ライツ」で活動するかたわら、市民ランナーとして世界各地の大会に参加。ほか、国際陸連(IAAF)女性委員や国連人口基金親善大使、スペシャルオリンピックス日本理事長なども務め、幅広いフィールドで活躍している。著書に『有森裕子のマラソンブック フルマラソンで4時間を切る!』(マガジンハウス)など。

自分の人生、自分のもの。相手が変わるまでなんて待っていられない。

有森さん
京谷
同じ事務所に所属しているのに、こうしてあらたまってインタビューっていうのも何か変な感じですね。ぼく、これまで有森さんの講演を聞いたり、本を読んだりさせていただいたんですが、そこで感じたのが、言い方は悪いですけど、逆境の人生だなと。正直、一番しんどかったなっていうのはいつですか?
有森
そうね……、一番しんどかったのはやっぱり……、バルセロナからアトランタまでの4年間かな。メダルが重荷になるとか、そんなことはなくて、それによって次に進めると思ってた。でも現実はそうじゃなくて。
 

すごく困ったのは、燃え尽きたと周りに思われたこと。実際はそうじゃなかったから。前に進みたい自分がいた。銀だったから余計に。金だったら燃え尽きてたかもしれない。でも銀だったから、次はこういうトレーニングをして、こういうところを鍛えて……っていろいろ考えてた。それなのに、もう終わりだって言われて。

強くなりたいっていう思いを口に出せば、有頂天とか女王様とかいろいろ言われて。それにすごくびっくりして。強くなりたいと思うことがなんでわがままなの?って。そういうところにぶつかったの。メダルを獲ることで終わらない、それをステップにもっと上に行ける、と思ってたから。なのに、逆に引き戻されちゃう現実を受け入れられなかったね。

京谷
その後のプロ宣言っていうのも、一つのチャレンジだったと思うんですけど、あの時もやっぱり、いろいろ言われたんじゃないですか?
有森
結果的に、プロっていう形になったんだけど、私の根本には、自信が持てるものがあるなら、それを最大限に活かして生きていく、という夢があった。だから走ることで生きていきたいと思った。それだけ。だって、みんな専門性を活かして働いて、それでお金をもらってるでしょう? 私の専門は走ることだから、それで報酬を得てもおかしくないって、普通の人と同じことを求めただけなの。それなのに、お金のことを言ったら汚いと言われるし、朝から晩まであんなにきついことやってるのに、レクリエーションの一環だと言われて。でも、これから時代は変わっていくっていう確信はあったかな。
京谷さん
京谷
有森さんはやっぱり逆境に強いんですね。
有森
どちらかというと、悔しさをバネにするみたいね。もうちょっと喜びを力にしたいんだけど(笑)。でも、ラクをしようとは思ってない。ラクなことが幸せじゃない。「難題のない人生は無難な人生、難題のある人生は有り難い人生」っていう言葉もあるくらい。
京谷
そこがすごいですよね。普通、ラクにラクに行きたいところを。逆境はどんな風にして乗り越えてきたんですか?
有森
自分の考え方を変えてきたかな。社会人になったばかりのころは、みんなと一緒に一生懸命がんばっていればいいっていうタイプだったの。でもある時、私の実績がないばかりに、ほかの人のミスを押しつけられて。その時に、自分は実績がすべての、戦いの場に来たんだって気づいたの。極端に言えば、人のことなんかどうでもいいっていう考えを持たなきゃと。そんな考えを自分の軸にしなきゃいけない、そんな世界を自分が選んだと分かった時はすごくしんどかった。今だけだからって、とにかく自分に言い聞かせた。でもこの経験は、自分が変わることで前に進めるっていうことを教えてくれたかな。
京谷
その時々の状況に合わせて切り替えられるのはすごいですよね。
有森さん
有森
私たちがやってるのは期限付きの仕事なんだもん。明日どうなるか分かんないから。ウダウダと過ごしてる場合じゃないのよ。あれもこれも合わない、なんて言って、相手が変わるまで待っていられない。
京谷
今、世の中不況だって言ってるけど、不況っていうのは社会とか会社にあることで、個人の考え方に不況なんてないとぼくは思うんですよ。考え方を変えて、自分がやるべきことをみんながやれば、景気も回復するような気がして。なんか政治とか、そういう部分に頼りすぎてるなって。まずは自分が動かなきゃ、と思うんですけどね。
有森
そうだよね。社会が変わるのをいつまで待つの?って話。自分の人生、自分のものなんだから、信念みたいなもの曲げない限りは、ある程度のところまで自分が変わってみればいい。それでまた進んでいけるわけだから。人任せにしてて変わるなんていうのは、絶対にないからね。

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