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尾川 智子

尾川智子(ボルダラー/クライマー)地味な基本を繰り返し続けられるとき、目標は達成できる

尾川智子
1978年生まれ。愛知県出身。早稲田大学理工学部応用物理学科卒業。2000年に富山国体の山岳競技に出場したことをきっかけにクライミングを始める。2002年から海外の大会に挑み、2003年「Asian X-games」、2005年「SENDFEST(全米大会)Salt Lake」、2006年「Asian X-games」、2007年「ノースフェイスカップ(韓国)」で優勝。世界のステージの中でも第一人者の地位を得た。2008年からは競技生活を退き、他者と競うのではなく、自分一人で自然の中の難度の高い岩場を登り切る挑戦を続けている。

「ボルダリング」という競技を知っているだろうか?フリークライミングの一種で、ロープを使わずに自分の体だけで人工壁や岩壁を登るのだ。世界のトップクライマーは幼少時から競技を始めるところ、尾川さんは大学在学中からという遅いスタートながら、海外の選手権で何度も優勝を手にしている。断崖絶壁どころか、岩の天井にぶら下がりながら進む(次ページの写真参照)こともあるハードな競技だ。大学時代までは宇宙飛行士になる夢を追っていた尾川さんが、クライミングに魅せられたわけは?

宇宙飛行士を目指して東大受験。応用問題はたくさんやったけど…

尾川さん
京谷
尾川さんは宇宙飛行士になるために東大を受験したんですよね?
尾川
小学校5年か6年のときに毛利衛さんが宇宙に行ったのを見て、それで宇宙飛行士になろうと思ったんです。「私が日本人女性初の宇宙飛行士になる!」って言ってました。数年後、向井千秋さんが宇宙に行って、ますますあこがれるようになりました。
京谷
科学の最高峰を究めるなら東大だと。
尾川
中学生の頃から科学雑誌の『ニュートン』を読んでて、そこに中学生にも分かりやすくて面白い記事を書いていたのが東大の教授だったんです。この先生に教えてもらいたくて。でも、高校の先生にも親にも「東大なんて絶対無理だ。あきらめろ」と言われました。実際、2回受験しても受かりませんでした。
京谷
壁、挫折ですよね。
尾川
私は受験勉強は本当に一生懸命やったんです。生活のほとんどを受験勉強に充てて、これ以上できないっていうくらい勉強したのに、それでもダメだった。そのことが競技生活に入ってからトラウマになったこともありました。こんなに苦しい練習してるのに、大会で成績が残せない、受験のときと同じじゃないかって。
京谷さん
京谷
勉強ができる人って、要領が違うのかな。
尾川
私の身の回りで、東大とか京大に受かっているとか、頭がいいって言われる人に、どんな勉強をしてたか聞くと、すごい進学塾に通ったり難しい問題集をやってるんだろうと思うんですけど、だいたい「教科書しか読んでない」って言いますね。私は教科書やって参考書も何冊も買って応用問題もたくさんやって、もっと難しい問題を解かないといけないって思ってましたから。
京谷
普通はそうですよね。
尾川
教科書って基本中の基本じゃないですか。クライミングでも強い選手をよく見てると地味な基本トレーニングばっかりやってます。強くなるとか成績が良くなるってそういう人なんだと。
京谷
基本ができてないと応用もできない。先に応用問題をやっちゃうと、基本というか土台がしっかりしていないから不安になるわけだね。
尾川
そういう、勉強でも競技でも、基本をきちんと積み上げて成績を出す人と比べると自分がダメな人間に思えたりしてヘコみますよ。
京谷
でも、誰でも全部完璧な人間なんていないから。昔サッカーやってたとき、どう考えても自分よりうまい選手がいても、向こうのほうが上なのは認めてるんだけど、「でも、この部分はオレのほうがうまいぜ」とか思ってた。そうじゃないと自分が高いレベルでいられないと思って。
尾川
わかります、すごく。クライミングにも世界ランキングがあるんですけど、私は今はもう競技会に出場してないんです。だから、大会で勝ったからランキングが上がる・下がるっていうのはもうない。というのは、どんどん若手選手が出てきて、彼女たちのほうが私より強いんです、明らかに。でも、「自分のほうが強くありたい」という思いがどうしても捨てられなくて、それなら私は天然の岩を登ることで力を発揮しよう、彼ら・彼女らが登っていないような岩を頑張って克服しようと思ったんです。大会で競うことじゃなくて。
京谷
僕は今40歳だけど、ハタチとか21のやつにも絶対負けないっていう気持ちで常にやってますよ。現役アスリートである以上、そうじゃないとアスリートじゃなくなる。強い選手が出てきたからって「はい、どうぞ」って譲ってるようだと続かないと思うし。
尾川
私もそういう気持ちは常にあります。そこらへんが負けず嫌いですよね。

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