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特別篇:井上雄彦×京谷和幸

井上雄彦×京谷和幸 1on1 リアルトーク。

井上雄彦×京谷和幸
井上雄彦(いのうえ・たけひこ)/マンガ家
1967年生まれ。90年より『スラムダンク』を連載開始。同作の累計発行部数は、世界で1億4000万部を超え、日本におけるバスケットボールブームの火付け役となった。現在では、車椅子バスケットボールを題材とした『リアル』、宮本武蔵を題材とした『バガボンド』を連載中。手塚賞(『楓パープル』)、文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞(ともに『バガボンド』)、ほか受賞多数。
京谷和幸(きょうや・かずゆき)/DODAチャレンジ 障がい者リクルーティングアドバイザー
パラリンピック 車椅子バスケットボール日本代表
1971年生まれ。91年よりジェフユナイテッド市原(現ジェフユナイテッド市原・千葉)のMFとして活躍。93年、交通事故で脊椎を損傷。Jリーグから一転、車椅子バスケットボールの世界へ。00、04年にパラリンピック日本代表に選出され、08年の北京では日本選手団の主将を務めた。競技の傍ら、全国での講演会なども積極的に実施。現在は、「DODAチャレンジ」のアドバイザーとしても活躍している。

*この対談はスカパーと集英社との合同企画として、2009年11月4日に行なわれました。

人間的成長がなければ、仕事の成長はない

井上さん
井上
ひさしぶりだよね。
京谷
1年ぶりくらいですかね。車椅子バスケの選手権(全日本選手権大会)のときに少しお話して以来かな。最初に会ったのはシドニーのときですよね。
井上
そうか、2000年。『リアル』が99年からだから、始まったばかりのときだね。
京谷
『スラムダンク』を描いていたのは、こんな人だったんだ!って、びっくりしましたよ。あんな力強い画だから、もっとゴツイ人かと思っていて。
井上
よく言われる。岩みたいな人だと思ってたとか(笑)。
京谷
ぼくの第一印象はどうでした?
井上
からだがでけぇって……。
京谷
よく言われます(笑)。
京谷
そもそもどうして『リアル』を描こうと思ったんですか。
井上
テレビで車椅子バスケの試合を観て、これはすごいと思って。こういうバスケもあるんだ、いつか描いてみたいなって、ずっと温めていたんだよね。最初は、車椅子バスケを“スポーツマンガ”として描きたいと思っていたんだけど、車椅子バスケを描く上で、プレイヤーがそこに至る“人間ドラマ”は避けて通れなかった。これがまた、難しいというか、深いというか……。
京谷
でも、それぞれの人間模様がすごくきちんと描かれていますよね。ぼくと同じ脊損(脊椎損傷)の障がいを持っている高橋なんか、いつも自分とダブるところがあって。
井上
参考にさせていただいてますから。
京谷
ぼく、本当にマンガのまんまだったんですよ。自己中心的な“オレ様”だったのが事故に遭って――
井上
あ、その辺は偶然(笑)。
京谷さん
京谷
いや(笑)、でもそこがすごくダブって。ぼくもJリーガー時代は、自分が一番だと思ってる“オレ様”でしたから。高橋が、事故がきっかけでどん底まで落ちて、「車椅子になる」という宣告を受けるときのあの表情だったりとか、すごく同じ気がする。だから、車椅子バスケというスポーツを描く『リアル』にも期待しているけど、それぞれのキャラクターが人間として成長していく『リアル』にもすごく期待しているんです。
井上
そのためには、キャラクターの1日1日を丁寧に描いてあげればいいのかなと思っていて。だから、そういう体験をした人の話を聞くっていうのは本当に重要。頭をフル回転させても、経験者の話がないとどうしても想像が追いつかないんだよね。ご家族の話とかも聞いてみたいな。みんな絶対1人でここまで来たわけじゃないと思うから。『スラムダンク』だとほとんど家族が出てこなかったんだけど、『リアル』では家族を描くことが不可欠なんだよね。
京谷
どのキャラクターにも、周りの人に支えられた過去があっていまがある。まさにぼくもそう。よければ先生の家に行って朝までしゃべりますよ(笑)。
井上さん
京谷
先生は『リアル』をどこまで描いていきたいんですか。
井上
どこまででも描ける感じ。描いているのが、人生そのものみたいなものだから。でも、せっかくパラリンピックを取材させてもらったり、京谷君みたいな代表選手にも出会えたので、そういう世界まではたどりつきたいと思う。それに、もっと試合をがっつり描けるようになると、もしそれを読んでくれる人がいたら、その人は車椅子バスケの見方がわかるようになるよね。そうしたら、車椅子バスケの魅力がもっと広まる。マンガだから若い人が読んでくれるし、若いうちから観客が育っていくと、どんどん車椅子バスケを取り巻く環境がよくなるだろうから。それができるといいなぁ。
京谷
同時にぼくたち選手のほうもがんばらなきゃいけないと思っています。プレーだけでなく、人間的な部分でももっと成長していかないと、せっかく『リアル』で描いていただいたキャラクターと実際の車椅子バスケのプレイヤーとのギャップが出てしまう。プレーの質を上げることと、人として成長することがぼくたちの役割だと思っています。
井上
野球の野村(克也)元監督が、「人間的成長なくして技術的進歩なし」と言っていたよ。仕事はきっとみんなそう。マンガ家としても、もっと人に認めてもらえるマンガを描くためには、人として成長するしかないんだよね。

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