キャリアアドバイザーの転職サポート 実例集

“コミュニケーション能力”って、何ですか?

面接対策

「私の強みは、コミュニケーション能力です」書類や面接で、このようにアピールした経験のある転職者は多いのではないだろうか。よく使われるこのフレーズに潜む落とし穴から脱却し、見事内定を勝ち取った女性のエピソードをdodaのキャリアアドバイザー竹内香苗が語った。

キャリアアドバイザー
竹内 香苗

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“コミュニケーション能力がある”とはどういうことか

2010年1月にカウンセリングに訪れたM.Kさん(女性・30歳・バイオ系研究職)。大学院を卒業後、大学の研究室に在籍しながら研究を続けていましたが、契約満了が近づいているので転職先を探したいというのがその理由でした。これまでのバイオの知識が活かせるようなものを希望するものの、職種にはこだわらないということだったので、研究職の仕事だけでなくキャリアチェンジできる案件もご紹介しました。長期で働くことのできる会社を希望されていたこともあり、製薬開発に携わる臨床開発モニターの案件に興味を持たれ、活動がスタートしました。

M.Kさんははきはきとした話し方で、にこやかな笑顔が印象的な方。選考が進む過程でも面接官から好印象を得られそうだと感じましたが、最初に提出していただいた書類に問題がありました。それは「自己PR」の部分です。M.Kさんから最初に受け取った職務経歴書には、自己PRとして「コミュニケーション能力があります」とだけ書いてありました。そこで「コミュニケーション能力があるとはどういうことですか?」と質問したところ、「アルバイト時代の経験で、初対面の人とも臆せず話をすることができると思う」「学生ともドクターとも、どちらの世代とも話をあわせることができる」という回答でした。

中途採用においては「これまでビジネスで何を培ってきたか」ということが重要です。M.Kさんが話す具体例は、ビジネスを始める前の話。すると、新卒の学生と変わらないことを話しているということになってしまうのです。そこで、「コミュニケーション能力」を小分類に分解し、M.Kさんの話す例をもう少し具体的なキーワードに当てはめて整理を進めることにしました。例えば、どのようなタイプの人と話をしていてもその相手が言うことを分かりやすくまとめることができるなら、それは“要約力”があると言えるのではないか、といった具合です。このように、書類を読む相手がイメージをしやすいようにアドバイスをし、修正を進めていきました。

“何を言っているのかわかりません”

書類選考はとんとん拍子に進み、すぐに面接の日がやってきました。私は、M.Kさんの元来の明るさや話し方から、面接官の印象も良いのではと思っていました。しかし同時に、話が長くなかなか的を射ないことなどから、キャリアアドバイザーとして一抹の不安も感じていたのも事実です。そこで事前の面接対策では模擬面接を実施し、話の長さや伝わりにくさを指摘していきました。熱心にメモを取る様子や対策時間内で改善が見られたことなどから、これならば大丈夫だろうと送り出しました。しかし、初めての面接は不合格。さらに面接官からは、不合格理由として「何を話しているのかが全然分からなかった」というきつい一言をもらってしまったのです。何度も話をしていた私とのやり取りでは平気だったにも関わらず、いざ面接の場では緊張してしまい面接官からの変化球の質問には対応できなかったようです。自己PRとして挙げていたように、“コミュニケーション能力”に自信を持っていたM.Kさん。よほどショックだったのか、「もう一度、直接お会いできませんか?」という連絡を受け、再度お話をすることになりました。

“コミュニケーション能力がある”という表現は、転職者の方が頻繁に使うフレーズの一つ。しかし一方で、とても抽象度の高い言葉であり、もっとも使い方に注意しなくてはならないフレーズの一つです。なぜなら、“コミュニケーション能力”とは具体的にどういうことで、なぜ“コミュニケーション能力がある”と言えるのか?を伝えられなくては、何のアピールにもならないのですから。M.Kさんは、書類上では強みを伝えることができたのに面接の場では全く伝えることができなかった。その原因を探って改善するため、彼女自身がちゃんと納得する必要があると考え、もう一度面接対策を実施したのです。

職務経歴書を見直しながら、自己PRの内容をもう一度組み立て直すことにしました。職務経歴書の内容を見ながら、「口頭なら、これはどう伝えますか?」と聞いてひとつひとつ確認をしていきました。M.Kさんは、文章ではきちんと書けていました。これは頭で整理ができているということです。ただ、それを口頭でどう伝えれば良いのかが分からないから、「コミュニケーション力がある」とありきたりの表現になってしまっていました。自分の強みをアピールするには、具体的な言葉と根拠となるエピソードを伝えないと、絶対に伝わりません。そこで、職務経歴書に書いた“要約力”“傾聴力”といったキーワードをピックアップし、それぞれに当てはまるM.Kさんの具体例を話してくれるようお願いして、修正を行っていきました。

面接の評価が劇的に変わった

自分の言葉で“コミュニケーション能力”の具体的な内容を語れるようになったM.Kさん。面接の回数を重ねるごとに、変化が見られるようになってきました。面接の不合格理由も「印象はいいけど、業務理解が浅い」というものになり、当初の「何を言っているのか分からない」という理由から大きな前進が見られるようになったのです。そして、5回、6回と面接回数を重ねていった頃。ある会社の最終面接が終わった後、M.Kさんから電話がありました。「何か聞いていませんか?」と嬉しそうな様子で話す彼女。実は、面接の場で直接内定との話をもらったというのです。私は嬉しさで飛び上がりそうでした。しかも、企業からの合格理由は「とても人柄がよく、本当に素直に物事を受け入れられるという印象。そして、話が明確でわかりやすい」というものだったのです!M.Kさんはとても喜んで、「竹内さんが担当でなければ内定はできなかったと思います。辛抱強く付き合ってくださって、本当にありがとうございました」とまで言ってくださったのです。でも私は、彼女が思っていたことをより具現化させるお手伝いをしただけでした。なにより、内定を勝ち取ることができたのはM.Kさんが私や面接官の指摘を素直に受け止め、一生懸命努力をした結果に他なりません。自分のことは、えてして自分では分からないもの。特に、「自分では伝えたつもり」であることが、相手には全く伝わっていないということは往々にしてあることです。書類選考や面接でなかなか通過しない…という方は、第三者から客観的な意見をもらってみた方が良いかもしれません。

編集部より

竹内のモットーは、「企業側の視点を忘れない」ということ。担当者は、この書類を見てどう判断するか?面接官には、この内容で本当にこちらの言いたいことが伝わっているのか?ということを考えながら、転職者と一緒に準備を進めている。客観的な意見として、時には厳しいアドバイスをすることもあるそうだ。もしかすると一人よがりではないか?と不安な転職者は、ぜひdodaキャリアアドバイザーのアドバイスも参考にしてほしい。

※本コンテンツは、dodaエージェントサービスの実例に基づいて、編集部で再構成しています。

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