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転職成功者のさまざまな体験談を紹介!わたしの転職エピソード

Vol.33

公開日:2019/3/25

夜の仕事を辞めて、そろそろ自分のために生きたい

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Vol.33 夜の仕事を辞めて、そろそろ自分のために生きたい

エマ 28歳/女性/はじめての転職

今回登場するのは、心と戸籍の性が違うトランスジェンダーのエマさん。大学で優秀な成績を収めながらも社会の無理解に傷つき、就職活動をあきらめて夜の仕事に就いていました。しかし同僚の温かい言葉を胸に、自分の人生のためにもう一度チャレンジをします。社会的な性と心の性の乖離を抱えながら転職活動を歩み抜きました。

クラブ アルバイト
技術派遣 システムエンジニア
  • 20代
  • 女性
  • 未婚
  • 未経験
  • はじめての転職
  • 仕事が面白くない
  • 成長・スキルアップ
  • 雇用形態を変えたい

エマさん

お金が必要だけど、そもそも“普通の”仕事を見つけるのが難しい

——理系の大学院を出ていますが、学生時代に就活はされましたか?

していましたが、結局3社受けてやめました。理系の企業は保守的なところが多いのかもしれませんけど、面接に行っても、自分の学力や長所や強みより「性」の部分でひっかかるんです。私にとっては男性用のリクルートスーツを着るのも苦痛でした。今の就活の身だしなみって、本当に画一化されているというか、スーツは全員黒一色だし、カバンも靴も全員ほぼ一緒なんですよ。就職のために無理して溶け込もうとしている自分のことも、だんだん受け入れられなくなっていって…。

このままだと病んじゃうなと思って、いったん学生時代からやっていたクラブのバイトを続けることにしました。ちょうどそのころ、家族が病気になってしまい、治療費が必要だったのもあって。大学が終わったらすぐクラブのバイトに行って、帰ったら大学の課題をやってと、かなりハードでしたけどなんとか両立してました。

——夜のバイトに就いたのは、時給が高かったからですか?

それもありますけど、そもそもアルバイトを見つけるのが難しいんです。学生のバイトといえばファストフードなど飲食ですけど、飲食のバイトは身なりが厳しくて、男性として採用されると制服も男性用だし、髪もスポーツ刈りみたいに短くしなければいけないので、それは抵抗があって…。

——確かに、自分が望まない制服や髪形を強要されるのはツラいですよね。

1ミリも興味のない仕事、なんで私はここにいるの?

——クラブではどんな仕事をしていたのですか?

店長代理のようなかたちで、売り上げ管理とかスタッフの子たちをまとめたりとか、とにかく全部やっていました。売り上げは落ちていく中、怖い”お局”もいたし労働環境も良くなくて、店長もスタッフも人がどんどん辞めちゃうからいつのまにか私が古株になってしまって。私がやるしかない状況に追い込まれちゃったんですけど、やったらできちゃったんです(笑)。

お店のオペレーションの悪さは気になっていたので、現場に負担がかかりすぎていたショーを廃止したり、ちゃんとお客さんとの相性を考えながらスタッフをマッチングしたり、イベントを企画して集客したり。それでどうにか売り上げも立て直すことができました。

——アルバイトなのに店長の仕事まで! でもどんどん人が辞めちゃう環境でよく続けましたね。

働かせてもらえたことに感謝はあったので。酔ったお客さんに私のコンプレックスをイジられるのは本当に嫌だったけど、私まで辞めちゃうと残った子たちがもっと大変だし、売り上げを立て直すまでは続けようと思ってました。

実は正社員どころかオーナーにならないかと言われていたんですけど、私はやっぱり大学時代の知識を活かせる技術職の仕事をしたかったので、それはかたくなに断ってました。

——責任感からクラブの仕事は続けていても、やはり昼間の仕事に就きたかったと。

クラブの仕事は1ミリも興味はなかったです。私じゃなくてもできる仕事だと思っていたし、何より学生時代に勉強したことが少しも活かせないので。自分で言うのもあれですが、学生時代は成績も良かったんです。でも私より勉強していなかった同級生のほうが、大企業で働いている。私も普通の仕事がしたい、なんで私はここにいるんだろうって、ずっと思い続けていました。

——転職活動を始めたきっかけは?

お店の仲のいい同僚に、自分が酔いつぶれてる時の様子を聞かされて、潮時だなと気づいて。それは売り上げのために企画した自分の誕生日イベントの日で、お店に入り切らないほどお客さんが来てくれたんですけど、無理して明るく振る舞ってお酒もたくさん飲んだ結果、酔いつぶれて控室で寝てしまって。

それを見た同僚が「もうそろそろ転職活動したほうがいいんじゃない?」って言ってくれたんです。無理して続けてきたけど、これからはもう自分自身のために生きよう、来年の誕生日はここでは過ごさないって決意しました。

不安だらけの転職活動…親身になってくれる味方はどこに?

——そして始めた転職活動は、希望を持って進められましたか?

いえ、最初は転職活動を続けられるかも不安でした。実はバイト時代もずっと「就職ノート」を書いていて、企業研究とか、自分のやりたいことを整理していたんです。でも調べれば調べるほど転職の難しさが分かるし、LGBTフレンドリー(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの人々に対して温かく開かれた状態)の企業はあっても、私がやりたい仕事じゃなかったり。実際に、昼間の仕事に転職できたトランスジェンダーの知り合いなんていないし、最初は私にできるとは思えなかったです。

——一歩前に進めたきっかけは?

いいエージェントの方と出会えたことが大きいです。エージェントにもいろいろあって、トランスジェンダーに知識や理解がなくただの「女装癖」だと思って「(男性用の)スーツを着てください」と言う担当者もいる。でも今回担当してくれたアドバイザーはLGBTを意識せず、私の学歴や能力、人柄、長所なら「こういう企業が向いていると思う」と、転職できそうな企業を紹介してくれて、成功までの具体的な道筋を描いてくれました。

苦手だった面接も「こうやってアピールしては?」と一緒に対策を考えてくれて、実際の面接の直前に電話をくれるほど親身になってくれて。この人と一緒なら転職できるかもと背中を押されました。

——未経験のSEに転職されましたが、LGBTフレンドリーの企業ですか?

いえ、まったくうたっていない会社でしたけど、エージェントの方が先方へ事前に話してくれていたおかげで、面接のときから嫌な思いをすることはありませんでした。受かった後も「期待してるよ!」と言ってくれて、一緒に入社した同期たちと、普通に仕事ができています。昼間の仕事になったことで生活もすごく健康的に変わって、体力的にも楽になりました。

今はまだ研修期間で、本番と同じ環境でサーバやネットワークを構築する訓練中です。システムのインフラエンジニアなんてまったくの未経験ですが、できることが一つずつ増えていってる実感があって楽しいです。技術派遣なのでいろいろな会社で仕事をすることになると思うので、「またあの人に担当してほしい」って指名されるようなエンジニアになりたいです。

編集後記

LGBTに対して世の中の理解がわずかずつ進んでいるとはいえ、まだまだ当事者には大変なハードルが強いられています。ネットでも転職にまつわるリアルな情報を得にくいのが現状ですが、今回のエマさんの転職エピソードを、転職活動をあきらめないための希望にしてもらえたら、と願っています。

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