
競技も、仕事も、
妥協せず。
負けず嫌いの“勝負学”。
宮坂 侑
SENDAI AIRJOKER.EXE
posted 2020/01/28
2018年5月、東北初の3x3プロチームとして発足した「SENDAI AIRJOKER.EXE」。その中心選手として活躍を続ける宮坂侑は、アスリートでありながら、一般企業で働く社会人としての顔も持っている。ストリートボール、3x3、B.LEAGUEなど、過去さまざまなカテゴリーで競技活動を続けてきた男は、2018-2019シーズン、再び3x3の門を叩いた。厳しいプロリーグで戦いながら社会人を両立する、「アスリート社員」のリアルと、競技に懸ける想いを訊いた。


バスケット
ボール
との出会い

まずは、バスケットを始めた
きっかけを教えてください。
最初にバスケを始めたのは、小学校1年生のときです。バスケ経験者だった父と、先にバスケをやっていた兄と姉の影響で始めました。小学校のときはスポーツ少年団でミニバスを続けて、中学、高校も部活でバスケ漬けの毎日でした。高校は県ベスト8止まりだったんですが、それでもキツい練習を毎日こなして、引退したときは完全燃焼した感覚があった。だから、大学入学当初はあまりバスケをする気はなかったんです。
大学時に3人制バスケットボールを始められていますが、
そのいきさつは?
高校時代の先輩から、SOMECITYという3人制ストリートバスケットボールリーグのチームに誘ってもらったのがきっかけです。当時はちょうど、SOMECITYが東京から仙台に進出したばかりで、注目が集まり始めていたタイミング。なんとなく始めてみたら面白くなって、だんだんストリートバスケにハマっていきました。そして、大学2年のときに3x3.EXEが発足しました。トライアウトを経て「GREEDYDOG.EXE」に加入し、3x3の活動はそこからスタートしました。

ストリート
バスケの
世界へ

のめり込んだストリートバスケ。
どこに面白みを感じたのでしょうか。
一番魅力を感じたのは、競技者のハングリーなカルチャーですね。たとえばアメリカでは、ストリートでも常にガチ。部活でもプロでもない、ただバスケが好きな人たちが集まって、本気で戦っている。それまで、監督やコーチの指示に従って、練習メニューを黙々とこなすような、いわゆる“部活バスケ”しか知らなかった自分にとっては衝撃的でした。ストリートバスケの、勝ちに対する執着や、感情むき出しで戦うがむしゃらなマインドにすごく共感したんです。
3x3の魅力について教えてください。
3人制の中でも、3x3はより「競技性が高い」という印象です。特に3x3は外国人選手が多く、よりレベルが高いフィールドで世界を相手に戦えることが、自分としてはすごく楽しい。フィジカルコンタクトが激しいぶん、体格やバネで勝る外国人選手とどう戦うかが重要です。フィジカルでは勝てなくても、スピードでは戦える自信があるので、自分の長所をうまく活かして勝負することを意識しています。

「社会人」と
「選手」の両立

現在、社会人と競技活動を
どのように両立されているのでしょうか。
今自分は、ゼビオグループに「アスリート社員」として所属しています。ゼビオの大型スポーツ店舗での販売・接客が主な仕事で、今はバスケの売り場を中心に担当しています。平日は週3日、朝から17時まで仕事をした後、夜は練習に参加し、土日はすべて練習や試合。そんなスケジュールです。
仕事と競技の両立において、
難しさを感じることはありますか?
過去、Bリーグにいたときは、自分のしたい時間にバスケができて、100%バスケ中心の生活でしたが、それとはやはり違います。仕事をしているぶん、限られた時間でどれだけ練習のクオリティを高められるかということと、練習のモチベーションを保つためのメンタリティは必要だと思います。

仕事に対する取り組み方や、
心がけていることがあれば教えてください。
自分自身、すごく負けず嫌いな性格なので、バスケでも仕事でも、やっぱり人よりクオリティを高めたいという気持ちが強い。だから仕事でも、人よりいい接客をしたいし、相手に喜んでほしい。あとは、結婚をして子どもが生まれたこともあって、自分の役割に対する責任を果たすということをすごく考えるようになりました。競技との両立は簡単ではないですが、充実感と責任感を持って仕事に取り組めていると思います。

スポーツ選手で
いられる時間は
短い

宮坂選手の今の目標を教えてください。
一番の目標は、「世界を相手に戦える選手になる」ということです。だから今は、世界のいろんな国の選手と対戦して、経験を積みたい。フィジカルの差を技術やスピードでカバーしたり、自分の強みを磨きながら戦えるようになっていきたいですね。チームとしての目標は、リーグで日本一になること。3x3は競技人数が少ないぶん、個の力がチームに与える影響が大きいので、自分自身のレベルをもっと上げることができれば、チームとしての総合力も高まっていくと思っています。
最後に。アスリートとしての、
これからのビジョンを教えてください。
スポーツ選手でいられる時間というのはすごく短くて、引退後の人生のほうが圧倒的に長い。だから、人生というスパンで考えたときに、現役の間に社会人としての下地を作っておくことは、これからの時代に大切なことだと思います。
そして僕自身は、選手として限られた時間のなかで、どれだけ練習の質を上げて結果につなげられるかを常に考えています。「今日できなかったら明日やればいい」は、一切考えていません。毎日120%でやり続けられるかどうかが、その後の自分のキャリアにつながっていくと、そう考えています。


宮坂 侑(みやさか すすむ)
1993年12月11日生まれ、山形県出身。東北学院大学在学中に3人制バスケットボールに出会い、ストリートボールリーグ・SOMECITY の「S.H.U SENDAI」や、3x3.EXE PREMIERの「GREEDYDOG.EXE」に所属し活躍。2017年、B.LEAGUE B2の「山形ワイヴァンズ」に入団。Bリーガーとして活躍後、2018年に3x3.EXE PREMIER 東北初参入となる「SENDAI AIRJOKER.EXE」に入団し、現在チームの中心選手として活躍中。178cm、75kg。
- Text by Naotaka Ashizawa
- Photograph by Shunya Tomita
- Website Design by Sonoko Hayashi
- Art Direction by Junya Sakai
- Coding by Aki Kuroda
- Photo Provided by 3x3.EXE PREMIER
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