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宇野 善昭

30代、挑戦を貫く
決意の転身。

宇野 善昭

TOKYO LEDONIARS.EXE

大手一流企業のキャリアを捨て、裸一貫で独立。自らを「オールドルーキー」と称する男は、30代でプロバスケットボールの世界へ飛び込んだ。岐路に立ったとき、いつも思い出す言葉は“never too late”。「どんなことも遅すぎるということはない。年齢やタイミングより、何をやるかが大事だと思う」。常識に抗う挑戦者は今、自分の手で人生を掴もうとしている。

GM、選手、
企業経営者

宇野 善昭

バスケット選手であり企業経営者でもある宇野選手ですが、現在の活動内容について教えてください。

バスケットボールのほうは、3人制(3x3.EXE PREMIER)では「TOKYO LEDONIARS.EXE」のGM兼選手として、5人制(B.LEAGUE)では「埼玉ブロンコス」の選手として競技活動をしています。またそれと並行して「株式会社LEDONIA」という会社を設立し、2020年2月にパーソナルトレーニングジム「LEDONIA」をオープンしました。代表取締役として事業の運営を行いながら、自分自身もトレーナーとして店舗で接客もしています。

活動の幅がとてつもなく広いですね。競技と仕事はどのように両立されているのでしょうか。

肩書きが無駄に多いですよね(笑)。スケジュールとしては、日中はジムを営業しているので平日は店舗で仕事をすることがほとんどです。仕事が終わった後、夕方~夜からチームの練習に参加し、土日は試合に出るといったスケジュールです。3人制と5人制の両立でいうと、PREMIER(3x3.EXE)とB.LEAGUEは基本的にレギュラーシーズンが被らないので、両方の競技で活動ができています。

戦い続けた
8年間

宇野 善昭

大学卒業後の社会人歴について教えてください。

新卒で、三井住友海上に入社しました。そこで、輸入車ディーラーなどの取引先に対して保険商品の提案や販売支援などを行う営業として、8年間勤務していました。また実業団選手として会社のバスケットボール部にも所属していて、そこでは主将を任されていました。仕事では入社2年目から大手顧客の担当を任せてもらったり、4年目から新入社員の指導役になったりと、社会人としていろんな経験をさせてもらうことができました。

仕事では順調に活躍されていたんですね。

いや、仕事は苦戦続きでした(笑)。当時、朝6時半に出社して、帰宅後も深夜2時くらいまで翌日の準備をするような日が続く時期があって、特に取引先の規模がどんどん大きくなっていった4年目ぐらいの頃が一番キツかったですね。仕事の重圧のせいで、バスケットの試合中も手が震えて、エアボール(リングやバックボードにも当たらないシュート)をやらかすぐらいプレーにも影響していました。今思えば仕事のやりがいを感じる余裕もなく、とにかく毎日必死でプレッシャーと戦っていたように思います。

宇野 善昭

大手企業のキャリアから、バスケットへ方向転換した経緯を教えてください。

入社から8年、実業団でバスケットを続けていたものの、仕事の忙しさから思うように体づくりができなくなり、プレーでも不振が続きました。そのときに、自分はバスケットに自信が持てなくなると「こんなにも頼るものがないのか」と気づいたんです。過去の自分が作り上げてくれた自信にしがみついているような気がしました。8年間必死に頑張ってきましたが、本当の自信にはなっていなかった。自分がいかに会社に甘えきっていたか気づいて焦りました。これはもういったん全てゼロにするしかないなと思って、すごく怖かったけど退職を決めました。

3x3と
Bリーグへの
挑戦

宇野 善昭

その後、3x3はどういったきっかけで始められたのでしょうか。

転職を考えていた頃、たまたま3x3の試合を観に行ったんです。会社の後輩の女性が3x3でプレーしていたこともあり、それを機に関係者にいろいろ相談をするようになりました。最初はチームに入ろうかと思ったんですが、「いっそ、自分でチームを作ってしまおう」ということになり、チームを設立することに。伝手をたどってチームメイトを集め、リーグにかけあって加盟準備を進め、2018年12月に「TOKYO SUPREMERS」を正式に発足しました。その後会社を退職し、2019シーズンから3x3の活動に専念することになりました。

すごい決断と行動力ですね。2019年にはB.LEAGUE「埼玉ブロンコス」とも契約されています。

最初は本当に勢いで始めたので大変でしたが、関係者の方々やスポンサー様、サプライヤー様の支援もあり、チームとしては安定的に活動ができるようになっていきました。また個人としても、自分がバスケットでどこまで通用するのか試してみようと、Bリーグへ挑戦したいと思うようになりました。その意志を関係者に伝えた結果、埼玉ブロンコスからBリーガ―としてのチャンスをいただくことができました。

宇野 善昭

B.LEAGUEに挑戦された感想はいかがですか?

なんというか、プライドなんて一瞬でズタボロになりましたね(笑)。外から見ているのと実際中に入るとではまったく世界が違っていた。身体的能力もそうですが、やっぱり経験値の差はとてつもなく大きいなと感じました。たとえば100mを何秒で走るとか、フリースローを何本入れるとかなら、調子次第で勝てることもあるけど、試合の中でのポジショニングや体の使い方は、本当に経験が物を言う。この業界に長くいて自分の改善点に向き合ってきた選手たちばかりなんだなと思い知らされました。でもだからこそ、やりがいはあります。選手としてどこまでできるか、自分の限界に挑戦しようと思っています。

ビジネスと
スポーツの
架け橋に

宇野 善昭

会社員から経営者になり、GM兼選手になった。大きく環境が変化した今の心境を聞かせてください。

一言で言うと、「めちゃめちゃ生きてるな」という感じです(笑)。これまで、安定した大きな会社にいることに甘えず自分の意志でキャリアを歩めていたかというと、多分そうじゃなかった。仕事は頑張っていたけど、「会社の看板がなくなったら自分はどうなるんだろう」という漠然とした不安をずっと抱えていました。でも今は会社を辞めてすべて自分でやるしかない環境になり、逆に不安な気持ちがなくなったんです。選手としても経営者としても、まだ自信や安心は全然ないですが、少なくとも「自分の人生を生きている」という感覚はありますね。

宇野 善昭

これから先、宇野選手が実現したいことはなんでしょうか。

今の経営の目標はこのジムを2年間で10店舗まで拡大することですが、同時にこのパーソナルトレーニング事業をスポーツ界にいる人たちのキャリアの選択肢の一つにしたいと思っています。トレーニングでも金融の世界でもそうですが、“形の無いモノの価値“を相手に伝えるための想像力やコミュニケーション力は、ビジネスの世界では大きなスキルになります。トレーナーとして選手の雇用先を作り、事業を通じてビジネス人材を育てる場にできれば最高ですね。自分自身もバスケットの世界で限界までやってみたいし、同じように挑戦している人たちの成長の場も一緒に作っていければと思っています。

宇野 善昭

宇野 善昭(うの よしあき)

1988年6月23日生まれ、滋賀県出身。光泉高校、立教大学卒業後、三井住友海上に入社。営業職の傍ら実業団選手として活動。2018年12月、「TOKYO SUPREMERS.EXE(現・TOKYO LEDONIARS.EXE)」を発足し、GM兼選手として3x3.EXE PREMIER 2019シーズンに参戦。2019年7月、B.LEAGUE B3「埼玉ブロンコス」と契約。現在、「株式会社LEDONIA」代表取締役としてパーソナルトレーニング事業を運営しながら、3x3.EXE PREMIER、B.LEAGUEで選手として活動中。190cm、85kg。

  • Text by Naotaka Ashizawa
  • Photograph by Mao Shimizu
  • Website Design by Sonoko Hayashi
  • Art Direction by Junya Sakai
  • Coding by Aki Kuroda
  • Photo Provided by 3x3.EXE PREMIER

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