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小松 昌弘

社会人アスリートが
描く未来図。

小松 昌弘

TOKYO DIME.EXE

学生時代は、仙台高、筑波大と強豪校の主軸としてプレーし、U18日本代表にも選ばれた。後に3人制へ主戦場を移し、3x3日本代表として数々の国際大会を経験。国内3x3の草分けであり、この新興スポーツの興隆を支えてきた中心的存在といえる小松だが、実はプロ経験を持たない一般企業勤務の社会人選手だ。ベテラン選手としての名声や傑出したキャリアにも「あくまで本業は会社員」と冷静な姿勢を崩さない。その背景にある社会人としての揺るぎない矜持、独自のキャリア観を紐解いていく。

5人制から
3人制へ

小松 昌弘

国内3x3の第一人者である小松選手ですが、3人制バスケットを始めたきっかけについて教えてください。

大学卒業後は金融機関に就職し、実業団で5人制バスケを続けていました。その後、クラブチームの「RBC東京」でプレーするようになり、そこで3人制に誘われてプレーしたことが始まりです。2015年に3x3日本選手権の第1回大会があり、そこではサポート役のような形で出場したんですが、優勝して日本一になることができ、3x3日本代表候補に選ばれるきっかけにもなりました。その後も5人制と3人制を両立してやっていましたが、2019年からは3人制に絞ってプレーするようになりました。

本格的に3人制に移行し、活躍できた理由はなんでしょうか。

高校時代は「パッシングオフェンス」という、あまりドリブルを使わずパスを使いながら人を動かす戦術を多用していたんですが、そのパス中心のスタイルは今のプレーにもつながっていると思います。また大学時代は、スクリーンの使い方やディフェンス理論を多く学ばせてもらい、そこでの経験も3人制に生きていると感じます。学生時代から頭を使ってプレーしてきたことで、攻守の切り替えが早い3人制でも臨機応変な状況判断ができるようになったんだと思います。

小松 昌弘

日本代表のキャリアも豊富な小松選手ですが、3x3代表選手として意識していることは?

代表に選ばれることは嬉しいものの、まだ十分な結果を残せていないので満足はしていません。3x3日本代表は5人制のBリーガーも多く選ばれていますが、やはり3x3は実際に海外のチームと対戦しないとわからないことがすごく多い。その点自分は、局面局面で試合の展開を読み、次に何をすべきかということを的確に指示できる自信はあります。いわばコート内のコーチのように、アクションの共有やチームを勝利に導くための発信をすることは、3x3で経験を積んできた自分にできる役割だと思っています。

会社員を
選んだ理由

小松 昌弘

普段は会社員として働かれていますが、大学卒業後に企業に入社された経緯は?

筑波大4年時は主将としてプレーしていましたが、「自分はプロになれる実力はない」と思っていました。当時のバスケット界も今のBリーグのような恵まれた環境ではなかったこともあり、自分はしっかり足元を見て、バスケをしながら社会人として成長できる場を選ぼうと思ったんです。卒業後は現職の金融機関に就職しましたが、就活時に話を聞く中で、仕事を通じて色々な人に出会い価値観を広げられると感じ、今の会社を選びました。また実業団チームからも声をかけていただき、社会人としてバスケットを続ける機会にも恵まれました。

小松 昌弘

小松選手にとっての“はたらく”とはどういうことでしょうか?

会社員といえども、私はどんな人もその分野のプロであるべきだと思っています。自分自身、お客様や関わる方から教えてもらうことも多く、その日々の知識経験を積み重ねていくことが何よりも大切だと感じています。また常々思っていることは、“向き・不向き”で片付けるのではなくて、いかに物事を前向きに捉えてチャレンジしていくかが大事だということ。上手くいかないことも、見方を変えれば些細な問題だったりすることはよくある。専門性やプロ意識を持ちつつ、前向きに仕事に向き合うことが社会にとって必要なことだと考えています。

仕事観と
バスケ観

小松 昌弘

会社員としての社会活動をしながらスポーツを続けることの価値とはなんでしょうか。

私は小学校5年生からずっとバスケを続けてきましたが、ある時ふと「バスケだけの人生は物足りない」と思ったんです。それを確信し始めた就活の時期は、自分の人生のターニングポイントかなと思います。もしあのとき就職せずバスケだけをやっていたら、きっと自分は世の中のことをほとんど知らずにこの年齢になっていたと思う。これまで仕事を通じて経営者の方やさまざまな事業を経験された方と関わり、自分の見識や価値観がどんどん広がっていった。世の中に対しての自分の立ち位置やあるべき姿を考えられるようになったのも、その経験があったからこそ。社会人としての人格形成において、仕事は本当に多くのものをもたらしてくれたと思っています。

そこで形成されたキャリア観の中で、バスケットはどう繋がっているのでしょうか。

バスケは、いろんな人との出会いを作ってくれた人生の一部であり、その人生を豊かにするツールのひとつですね。会社じゃないと経験できないことがあるのと同じように、バスケでしか経験できないことや出会えない人がいて、その両方が自分を成長させてくれたんだと思います。私はもともと非常識な人間なので、スポーツしかしていなかったらもっと非常識な人間になっていたはず(笑)。どちらが、というよりは私にとっては仕事もバスケもどちらも必要だったんだと思います。

3x3の
発展に
貢献したい

小松 昌弘

今の目標を教えてください。

直近の目標は、まずは国内外の大会で納得いく結果を出すこと。そしてその先に、東京五輪の日本代表選手に選ばれることです。東京五輪の開催は延期になりましたが、そのぶん成長できるチャンスが増えたと思っています。自分自身まだまだ上手くなれるという気概があるし、技術面、体力面、そしてメンタル面でも眠っているポテンシャルを呼び起こすのにいい機会をもらったと考えています。3x3で日本が世界トップ4になったとき、自分がそこに関われていることを目指して努力していきたいと思っています。

小松 昌弘

3x3というスポーツに対して、この先どのように関わっていきたいと考えていますか?

私は自分がプレイヤーとして脚光を浴びるのは勿論ですが、この経験を3x3の裏側の発展に貢献したいという気持ちを持っています。動ける限りはプレイヤーとして、その後は指導者として3x3に携わりたいですね。特に指導や育成には興味があるので、一線を退いた後は、日本代表チームのサポートをすることができれば嬉しいですね。今の社会人としての責任を全うしながら、より広く社会に認められる役割を担っていきたいです。自分自身が成長しながら、日本の3x3のレベルアップに少しでも貢献できればと思っています。

小松 昌弘

小松 昌弘(こまつ まさひろ)

1984年4月22日生まれ、宮城県出身。仙台高、筑波大卒業後、金融機関に就職し、実業団を経て「RBC東京」等でプレー。2015年 第1回3x3日本選手権大会で優勝を果たし、その後大会3連覇を達成。また3x3日本代表としてFIBA 3x3 World Tour Masters、FIBA 3x3 World Championshipsなど、数々の世界大会に出場。FIBA 3x3 Asia Cup 2018では大会3位となり、銅メダルを獲得。2017年より3x3.EXE PREMIER「TOKYO DIME.EXE」に加入し、現在もチームの主軸として活躍中。192cm、95kg。

  • Text by Naotaka Ashizawa
  • Photograph by Kenta Nakano
  • Website Design by Sonoko Hayashi
  • Art Direction by Junya Sakai
  • Photo Provided by 3x3.EXE PREMIER

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