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ライアン・タナ

新天地の日本で、
全てを追い風に変えた
思考法。

ライアン・タナ

TOKYO CRAYON.EXE

posted 2021/03/18

JP

ニューヨーク生まれ、日系4世のアメリカ人。ライアンにとって、それは自分を構成する要素のひとつに過ぎない。語学教師、グローバルIT企業の社員、「TOKYO CRAYON.EXE」の選手など、日本でさまざまな経験をするなかで、そのアイデンティティは型にはまらず柔軟に変化し続けてきた。自身の可能性を無限に広げていくために大切にしてきたことについて、語ってもらった。

ルーツを辿り、
日本へ

ライアン・タナ

ライアンさんはとても流暢に日本語をお話しされますが、日本で暮らし始めたのはいつですか?

22歳からです。それまで日本を訪れたことは1度くらいしかありません。生まれはニューヨークですが、大学まではサンフランシスコで生活していました。大学はニューヨーク大学へ進学し、そこで初めて日本語を2年間学びました。バスケットボールは、父の影響で3歳の頃から大好き。マイケル・ジョーダンがテレビに映ると画面にキスをするくらいファンでしたよ!大学までずっとプレーしていました。

学生時代は、どれくらいバスケットボールに力を入れていましたか?

10代の頃はNBAも夢に見ていたので、高校はプロアスリートを多数輩出する強豪校へ進学しました。リーグのレベルが非常に高く、現在NBAで活躍する選手も出場していましたが、高校最後の年には準優勝を果たすことができました。練習は厳しかったですが、いろんなポジションをこなし、キャプテンも担い、多くのことを学べましたね。大学は、バスケットボールでスカウトを受けていないニューヨーク大学を選んだため、最初はトライアウトから始めることになりました。1年目の年間試合出場時間はわずか3分でしたが、徐々に実力を認められるようになり、2年目でスターティングメンバー、3年目にはキャプテンへと就任しました。3年生のときにはNCAA(全米大学体育協会)男子バスケットボールトーナメントに出場し、2回戦まで勝ち抜きましたよ。ここでの成功経験は、僕にますます大きな自信を与えてくれました。

ライアン・タナ

バスケットボールで華々しい実績を残して大学を卒業し、その直後に来日されたのですね。それはどのような理由からですか。

就活をしているときに「卒業後は、今まで行ったことのない場所で新しいことにチャレンジしたい」と考え、海外での生活に興味を持ちました。そこで選んだ行先が日本です。僕は日系アメリカ人で、自分のルーツがある日本という国についてもっと知りたいと思っていたから、日本以外の選択肢はありませんでした。僕が生まれる前に亡くなってしまった日本の祖父母とも、日本での生活を通してつながりを感じられるんじゃないかという思いもありましたね。もし、日本語が話せるようになった僕を見たら、すごく喜んでくれただろうと想像していました。そうして、JETプログラム(外国青年招致事業)に応募したんです。

異国の地で
キャリアを描く

ライアン・タナ

日本に来てから、具体的にどのような仕事をしていたのか教えてください。

JETプログラムを通じて、神戸で英語の先生をやることになり、週4回中学校、週1回小学校で授業を行いました。神戸を選んだのはNBAの名選手コービー・ブライアントと名前が似ていて気になったから(笑)。授業だけでなく、バスケットボールを教えたり、ブラスバンドでトランペットを一緒に演奏したり、美術部に参加してみたり。すごく楽しかったです。生徒は1000人くらいいましたが、いろいろな生徒と関われましたね。そこで信頼関係が築けていたので、結果的に授業もすごくやりやすかったです。あの頃の時間が、本当に大好きです。

JETプログラム修了後、日本に残ることにしたのはなぜですか。

1~2年の契約期間が終わったらUSAに帰るつもりでしたが、JETプログラムを通していくつか就職先を紹介され、そのなかに、グローバルIT企業からのスカウトがあったんです。ここでなら多くを学ぶことができ、自身のキャリアに必ず役立つだろうと考えたので、USAには帰らずに東京へ引っ越し、そこで働き始めることに決めました。現在は、都内のある店舗でマネージャーをしています。お客さまに最高の体験を届けるために、人材育成やビジネス戦略の立案などを行っています。

ライアン・タナ

これまで学んだことや身に付けたスキルで、今の仕事につながっているものはありますか。

たくさんありますよ!バスケットボールのチームや、英語を教えていた学校で、年齢、国籍、考え方などが異なる実に多種多様な人と関わってきましたが、どんな状況でも全員と関係性を作り、リーダーシップを発揮してきました。今の職場は過去のどのコミュニティよりもダイバーシティな環境なので、これまでの経験がダイレクトに生かせています。関係構築のために大切にしているのは、自己開示し、自分自身をさらけ出すこと。もう一つは、自分がやりたくないことを人にさせないことです。それをしてしまうと仲間からの信頼は得られず、みんな気持ちよく働けないと思います。これは私がさまざまなバスケットボールチームでの経験を通して学んだことです。

世界の舞台へ

ライアン・タナ

3x3との出会いについて教えてください。

3x3を知ったのは、神戸にいたとき。そもそも日本でバスケットボールをする予定はなかったんですが、縁あってJETプログラムの友人のつながりでBUBBLESというチームで5人制バスケットボールを始めることになり、徐々にバスケットボール仲間が増えていきました。その流れで、当時3x3.EXE PREMIERの選手として活躍していたマシュー・カイル選手と知り合い、2014年に初めて3x3の試合を見ることになります。「何これ?」というのが最初の感想でしたが(笑)、面白そうだったので、後日、誰でも参加できる3x3の試合に出場してみたんです。実際にやってみるととても楽しかったですね。「TOKYO CRAYON.EXE」のオーナー染葉さんとの出会いは、その後に東京に移ってからのこと。日本在住の海外の方と、東京で気軽に集まってバスケットボールをしていたのですが、そのなかに彼がいたんです。たくさんの出会いがつながり、チャンスを得られた僕はラッキーですね!

きっかけは些細なことでも、今では3x3.EXE PREMIERに欠かせない選手となりましたね。2020年10月の「3x3.EXE PREMIER JAPAN 2020 CUP powered by Sun Chlorella」では優勝し、11月には世界大会「FIBA 3x3 World Tour Doha Masters」に出場しています。これだけの戦績を残せた秘訣は何でしょう。

やはりチームのバランスの良さではないでしょうか。ビッグマンのカイル・リチャードソンは体格が良く、シュートも上手で、いろんなプレーができるから、簡単には止められません。ゴール下のプレーにとても強く、そこでカイルに2人ディフェンスがつけば、残りのメンバーがスペースを作って、自由自在に攻められます。僕たちは、外からのシュートもできるし、ディフェンスも速いですからね。今後も世界大会に出場できるように、実績を積み上げていきたいです。

No Borderで、
人生は
豊かになる

ライアン・タナ

今後はどのようなことに取り組んでいきたいですか。

「TOKYO CRAYON.EXE」としては、日本のトップを目指しつつ、FIBAワールドツアーに常連で出られるチームに成長させたいですね。仕事もプロとして手を抜きませんよ!USAに帰っても活躍できるように、新しい経験を積み、スキルを磨きたいです。僕は昔から、常にいろんなことにチャレンジしていたいタイプなので、バスケットボールも仕事もその他のことも、思いきり楽しみたいですね。それを続けていくためには、どこでも通用するヒューマンスキルを身に付けることが大切だと思います。「準備を怠らないこと」「大変な経験こそ自分を強くさせること」。バスケットボールで学んだこれらの言葉を胸に、今後も人として成長していきたいです。

国内外で複数コミュニティを持ち、人生を楽しむライアンさんの姿に憧れを抱く方は多いと思います。そのような方にぜひアドバイスをお願いします。

僕が日本で大事にしてきたのは、知らないことに誘われたら、たとえそれが何に繋がるかわからなくても、いつも「Yes」と答えることです。「No」と言ってしまうと何も始まらないですからね。この考え方のおかげでさまざまなチャンスが訪れ、僕の日本での生活は最高なものになったので、自信を持ってお勧めしますよ!父の友人のJAZZ仲間とも友達になれましたし(笑)。次に大切なのは、型にはめて考えすぎないことですね。相手を受け入れて柔軟にコミュニケーションを取れば、自分に新しい価値観が生まれ、世界が広がります。僕の場合、USAにいるとき、日本にいるとき、日本で海外の友達を呼んだとき、それぞれで自分のアイデンティティが異なりますよ。いろんな僕がいますが、どれも本当の自分です。だからこそ、どんな場所でも仲間と楽しい時間を過ごすことができているんだと思います。

ライアン・タナ

ライアン・タナ(Ryan Tana)

1992年4月13日生まれ、USA・ニューヨーク出身。ニューヨーク大学を卒業後に来日。2014年から神戸の5人制バスケットボールチーム「BUBBLES」にジョイン。2016年に3x3.EXE PREMIER「TOKYO CRAYON.EXE」へ入団。 2020年10月には「3x3.EXE PREMIER JAPAN 2020 CUP powered by Sun Chlorella」で優勝し、11月開催の世界大会「FIBA 3x3 World Tour Doha Masters」にも出場を果たす。190cm、90kg。

  • Text by Ayano Morimoto
  • Photograph by Mao Shimizu
  • Photo Provided by 3x3.EXE PREMIER

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