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遠藤 昭彦

競技を創り上げ、
3x3を次世代に継ぐ。

遠藤 昭彦

3x3.EXE PREMIER Game Manager

posted 2021/10/26

試合終了間際、観客はスコアボードと選手を交互に見ながら、勝敗の行方を追う。やがて勝負を決するブザーが鳴り響き、会場は一体感に包まれる――。スポーツが興奮と感動を生み出す瞬間には、それを裏側で支える“人”の存在がある。3x3.EXE PREMIERの試合進行と競技全体をマネジメントする、遠藤昭彦Game Managerもその一人だ。一般企業の会社員でありながら、レフェリー、テーブルオフィシャルズ、Game Managerと、長年にわたりバスケットボールを裏側で支え続けてきた。3x3という競技に懸ける思い、その先に見据える未来について語ってもらった。

38歳で
レフェリーの道へ

遠藤 昭彦

遠藤さんは現在、どのような形でバスケットボールに関わられているのでしょうか。

いま私は、企業勤めをしながら栃木県バスケットボール協会審判部に所属し、県内の社会人連盟や中高生の大会を中心にレフェリーとして参加しています。もともとは自分も社会人バスケでプレーしていたんですが、38歳のときに縁あって埼玉県バスケットボール協会審判部に所属して以来、約14年にわたってレフェリーを続けています。また、3x3.EXE PREMIERとの関わりとしては、2017年にテーブルオフィシャルズとして3x3.EXE PREMIERに参加したことがきっかけで、現在はGame Managerというポジションで3x3.EXE PREMIERの競技・大会運営に携わっています。

普段は会社員として働かれているとのことですが、どのような形でお仕事とスポーツを両立されているのですか?

現在は、食品用トレーや医療用パッケージなどを扱う包装メーカーで営業をしています。前職は印刷会社の営業として15年ほど勤めていまして、34歳のときに今の会社に転職して、かれこれ18年目になります。基本的に平日は営業の仕事をして、土日や祝日にバスケットの試合に参加しているような生活です。平日の仕事が終わってからは、毎日走り込みをするのが日課になっています。

遠藤 昭彦

毎日走り込みとは驚きました。それはレフェリーとしての体力づくりのために?

そうですね。私はB級審判ライセンスを持っているんですが、B級以上は毎年ライセンス更新のためにシャトルランの体力テストがあるので、普段から走力が落ちないように走っています。また、昔は20分ずつの前後半制だった5人制バスケットボールルールですが、クォーター制(10分×4クォーター)に変わってから試合展開が早くなり、選手も試合中どんどん入れ替わるようになりました。今はほぼトップスピードのまま40分間走り続けるので、レフェリーは大変ですね。後半になるほど体力が落ちて集中力や判定力が鈍ってしまうので、基礎体力は不可欠なんです。

Game Manager
という役割

遠藤 昭彦

3x3.EXE PREMIER におけるGame Managerとは、具体的に何をする役割なのでしょうか?

一言で言えば、大会をレギュレーション通りに運営するための「競技管理者」ですね。設備・備品の管理や、レフェリーやテーブルオフィシャルズ、ドクターなどの競技運営者への対応、試合の進行管理が主な役割です。具体的には、試合前にコートやリング、ボールの点検や、テーブルオフィシャルズが使う機材の動作確認を行い、レフェリーら関係者へのルール説明、機材のレクチャー、前回までに起きた不具合確認などのオリエンテーションを行います。試合が始まれば、テーブルオフィシャルズの後ろで点数入力やショットクロックのカウントが間違っていないかチェックし、ときに判定が原因で選手がエキサイトしたときなどはテーブルオフィシャルズやレフェリーと選手の間に入って仲裁することもあります。Game Managerは競技を預かる責任があるので、不規則な出来事にも対処できるように常に会場全体を見ているようなイメージですね。

気の休まるときがないですね……。Game Managerにはどんな要素が求められるのでしょうか。

“目配り”と“気配り”かな、と思います。試合中であれば選手が怪我をしていないか、レフェリーが困っていないか、機材は大丈夫か、など、細部まで気を配れるかどうかが重要だと思っています。3x3.EXE PREMIERの試合進行においては、「Game Manager、レフェリー、テーブルオフィシャルズ」の3つがクルーで、三位一体の関係です。試合や大会は、すべてが予定通りいくことはまずありませんし、大なり小なりミスは必ず起きます。大事なのは、いかにそれを予見して防ぐことができるか、協力し合って素早くリカバリーができるか。そのためには、集中力とコミュニケーションが欠かせません。Game Managerを始めて4年目の今でこそ要領が掴めてきましたけど、毎回想定外のことが起きるので1、2年目の当初はヘトヘトになっていましたね(笑)。

遠藤 昭彦

3x3.EXE PREMIERに関わることで、遠藤さんはどんなやりがいを感じられていますか?

3x3.EXE PREMIERは一試合10分または21点先取で勝敗が決まるので、やっぱり大逆転というものが起きるんです。そのときに会場全体が一気に盛り上がるんですが、その雰囲気かもしれません。私たちがよい準備や進行をすることによってゲームの質が上がり、お客さんが喜んでくれたり、「また観に来よう」と思ってもらえるような空間ができると、自分がそこにいられる幸せを感じますね。誰でもできる役割ではないし、いいチャンスをいただいたなと今でも思っています。

スポーツと
仕事の関係

遠藤 昭彦

遠藤さんは東京2020オリンピックに3x3バスケットボールのテーブルオフィシャルズ(12秒ショットクロック担当)として参加し、男女決勝戦を担当されたとのことですが、その経緯やエピソードを聞かせてください。

2019年3月に、東京2020大会ナショナル・テクニカル・オフィシャル(国内技術委員)候補生約50人が集められ、そこから1年をかけてトレーニングとセレクションが行われました。最終的に私を含めた6名が本大会のメンバーとして選出され、私がリーダーを任されたチームは予選ラウンドでの進行が評価され、男女ファイナルの担当を任されることになりました。決勝本番ではメダルをかけたオリンピックの重圧を肌で感じながらも、無事に終えることができました。1年の大会延期があったため、2年4ヵ月にわたる自分の東京オリンピックが終わり、大会終了後は達成感よりも「やっと終わった」という開放感と安堵感でいっぱいでした。長期間のモチベーション維持など苦労もありましたが、この経験は人生の財産となり、関わったすべての方に感謝しています。

遠藤 昭彦

本大会のためにトレーニングや語学の勉強も続けられていたと伺いました。普段のお仕事との両立には苦労もあったかと拝察しますが、営業の経験がスポーツで生きた場面はありますか?

それはたくさんありますね。営業という職業柄、お客様がどういったことを求めているのか、自分にいま何ができるのかということを常に考えるので、そうした目配りや気配りは、スポーツでもゲームマネジメントなどの場面で生かされています。また、Game Managerもレフェリーもテーブルオフィシャルズも、協業の上でコミュニケーションや判断力が求められますが、ベースとなるのはやっぱり人間関係です。普段の営業においても、メールや電話でやりとりをする前に、できるだけお客様と顔を合わせて関係性をつくることを大事にしているんですが、選手とレフェリーのコミュニケーションのように、スポーツでの経験が本業の仕事の考え方に通じている部分もあるのかな、と思いますね。

3x3で
生まれた絆

遠藤 昭彦

バスケットボール協会でレフェリーを始められてから約14年、3x3.EXE PREMIER、オリンピックなど、仕事をしながらも多くの挑戦をされてきた原動力はどこにあるのでしょうか?

周りからもよく「なんでそこまでやるんですか?」と聞かれるんですが、原動力はやっぱり仲間の存在ですかね。レフェリーとしては50歳を過ぎたら年齢的に走れなくなるだろうし、そろそろ終わりなのかなと思っていたタイミングで、3x3.EXE PREMIERの方からGame Managerのオファーをいただいて、今では3x3.EXE PREMIERを通じて全国にたくさんの仲間ができました。自分がつらいときも、レフェリーやテーブルオフィシャルズの仲間と会話をしていると、頑張ろうという気持ちが湧いてくる。彼らと一緒に課題を乗り越えたり、ときには競技以外の話で盛り上がったり、そういった仲間との関係に支えられて今があるのかなと思います。

最後に、これからやってみたいこと、実現したいことなどあれば教えてください。

3x3はまだ歴史の浅いスポーツですし、3x3.EXE PREMIERも今まさにいろんな人が関わり、創り上げている最中だと思っています。3x3における自分のテーマは、「創る、そして継ぐ」。私も微力ながらお手伝いをして、いい空間を創っていきたい。そして、次の若い世代にバトンをつなげていくことが今の自分の責務だと考えています。これまで3x3に関わったことで、3x3.EXE PREMIER Game Managerのオファーや、東京2020オリンピックのテーブルオフィシャルズというチャンスまでいただくことができました。関係者の皆様には心から感謝しています。今後も関わるすべての方と一緒に競技を創り上げ、次世代に継いでいきたいと思っています。

遠藤 昭彦

遠藤 昭彦(えんどう あきひこ)

1969年8月13日生まれ、栃木県出身。栃木県バスケットボール協会審判部 3x3委員会所属、JBA公認B級審判ライセンス保有。2017年、3x3.EXE PREMIERにテーブルオフィシャルズとして参加したことを機に、3x3.EXE PREMIER Game Managerとして競技・大会運営に携わる。東京2020オリンピック競技大会ではナショナル・テクニカル・オフィシャル(国内技術委員)に選出され、3x3バスケットボール競技にてテーブルオフィシャルズとして参加し、男女決勝戦を担当。

  • Text by Naotaka Ashizawa
  • Photograph by Masaki Yamauchi
  • Photo Provided by 3x3.EXE PREMIER

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