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ラグビー日本代表の勝利を
届けて日本中を盛りあげたい

株式会社ジェイ・スポーツ ラグビー中継番組ディレクター沼倉 敦さん

その他

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沼倉 敦(ぬまくら・あつし)さん 38歳
株式会社ジェイ・スポーツ
編成制作本部 企画制作部 第1制作チーム
ディレクター(ラグビー中継番組担当)

9月20日に開幕するラグビーワールドカップ2019を生中継するJ SPORTS。ラグビー班ディレクターの沼倉敦さんは前回大会、日本代表が南アフリカを破った“ブライトンの奇跡”にも立ち会った。あれから4年、今大会は世界初の4Kでの全48試合生中継が行われる。沼倉さんは日本開催の大舞台、しかも新技術を導入する大仕事に臨む。(2019年8月1日取材)

さまざまな形で映像制作に関わり、30歳目前にJ SPORTSへ[写真]新井賢一

松坂大輔の活躍に感動

これまでの経歴を教えてください。

大学卒業後、新卒で番組制作会社に就職し、バラエティ番組の制作を担当しました。テレビ業界という不規則な勤務体系の中、何となく「テレビは作るものではなく見るものだ」という考えになってしまい退職を決断しました。その後、しばらくテレビの仕事からは離れていたのですが、友人の結婚式などプライベートで映像編集をする機会があり、「やはり映像制作は面白い」とあらためて感じるようになり、30歳目前でJ SPORTSに声をかけてもらいました。

どのような形でJ SPORTSに転職したのでしょうか?

もう一度がんばろうと別の制作会社に在籍していたのですが、2011年のラグビーW杯に向けてJ SPORTSが制作スタッフを探しているということで声をかけていただいたのがきっかけです。当時の制作部長、プロデューサーと渋谷の喫茶店で面談しました。ラグビーについては知識も経験もなかったので不安だったんですけど、ラグビーのことは何も知らなくていい、とにかく元気があればいいと(笑)。そこでいろいろ話をして気に入っていただいて、2011年6月からラグビー班で勤務することになりました。

ラグビー以外のスポーツとの関わりはあったのでしょうか?

中学時代はサッカー部に所属していましたが、高校では軽音部で活動していたので、スポーツとの関わりは、定期的に友人と集まってフットサルをやるぐらいでした。ただ、少し話がずれてしまうんですけど、私は横浜の出身で、高校2年のときに1学年上の松坂大輔(横浜高校出身、現中日ドラゴンズ)選手が甲子園で活躍したんですね。準々決勝でPL学園高校と延長17回の死闘を演じ、翌日の準決勝は明徳義塾高校に0-6から大逆転して、それを見たときにスポーツで初めて号泣したんです。「もう行くしかない」と、地元の友人を集めて甲子園まで応援に行ったんですよ。松坂選手がノーヒットノーランを達成した決勝の京都成章高校戦は現地で観戦しました。スポーツで感動するという貴重な経験をさせてもらいましたね。

各大会の放送に携わり、「ラグビー漬けの日々」を送る[写真]新井賢一

視聴者の“目”になること

現在はどんな業務を担当されているのでしょうか?

入社以来ずっとラグビー班のスタッフで、現在はディレクターです。主な業務は、ラグビー番組の制作と試合中継です。年間スケジュールで言うと、トップリーグのシーズンが通常ですと8月下旬に開幕して1月に終わり、そのタイミングで海外ラグビーが始まります。ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなどの強豪クラブチームが参加するスーパーラグビーの中継業務が2月から8月まで続きます。また、お正月には「花園」と呼ばれる全国高等学校ラグビーフットボール大会が、6月と11月には日本代表の試合があり、大学ラグビーも9月に開幕するので、盛りだくさんなんです。外部のディレクターにヘルプで来ていただくと、制作表を見て驚かれます(笑)。ラグビー漬けの日々を送っていますよ。

スポーツ中継番組と過去に携わったバラエティー番組で、特に大きな違いを感じる部分はありますか?

スポーツ番組は常にフレッシュな情報をお届けしなければならないという点が大きな違いですね。私が担当したバラエティー番組は数週分をまとめ撮りして編集する形のものだったんですけど、中継は常にライブ放送なので、そのときに何かが起こるとどうにもならない。限られた中で絶対にやりきらなければならない点は、バラエティー番組とは全く違いますね。どちらもしっかり準備しなければならないんですけど、収録の場合は正直、後でどうにかなる部分もあるんですよ。でもスポーツに関しては、常に最新の情報を用意して、それを出演者と共有して発信していくので、もちろん嘘はつけないし、間違った情報は絶対に発信してはいけないという心構え、体制でやっています。

番組を制作する際のこだわりはありますか?

視聴者の“目”になることを忘れてはいけないと思っています。視聴者が知りたいもの、見たいものがあって、我々はそれを発信する立場にあるので、単純に映像を撮って流しておけばいいという話ではなく、「今はこの選手のこういう姿を見せよう」といったところを考えながら制作しなければいけないと思っています。

ラグビーの一番の魅力を教えてください。

経験者ではないのでプレー面の魅力は語れないんですけど、中継しながら試合を見ていて感じるのは、「息をのむ瞬間」を与えてくれる、ということですね。特にタックルはすごいんですよ。これはほかのスポーツにはあまりないと思います。中継で画面に映る選手は限られているんですが、映っていないところからバッと出てきてボールを持っている選手にタックルを決めるときは思わずウッと息をのんで、そこから興奮につながっていきます。それがラグビーの一つの魅力だと思います。もう一つは、いわゆる「ノーサイドの精神」と言われるもので、勝敗に関係なく相手を称えるのはラグビーの特徴ですし、同じスタンドで相手チームのファンと隣同士で観戦するのも独特だと思います。そして、負けたあとでもファン同士で相手を称え合うことができる。2015年のラグビーW杯で日本が南アフリカを撃破したとき、私は現場に行かせていただいていたんですが、試合後にジャージー姿でビール片手の南アフリカサポーターが、わざわざ握手しに来てくれたんですよ。プレー経験がないので、それまで「ノーサイドの精神」を実感することはなかったんですけど、そこで初めて「あ、こういうことなんだな」と感じました。

ラグビーは見る人に「息をのむ瞬間」を与えてくれる[写真]新井賢一

中継メンバーの発掘と育成

9月20日から日本で行われるラグビーW杯ではどんなことを伝えたいと思っていますか?

やはり日本代表の勝利は届けたいですね。「4年に一度じゃない。一生に一度だ。-ONCE IN A LIFETIME-」という公式キャッチコピーがありますけど、本当にそのとおりだと思いますし、日本代表の勝利で日本中を盛りあげてほしいですね。また、その次は2023年のフランス大会なんですけど、それに向けて日本ラグビーフットボール協会も新体制が発足 していろいろな施策を考えているらしいので、国内ラグビーをもっと盛りあげて、次のW杯につなげてほしいです。

スポーツ業界に欲しい人材、一緒に働きたい人はどんな方でしょうか?

「1+1」がしっかりできる人がいいですね。新しい仕事を始めると、誰もがゼロからスタートすることになると思いますが、新しいことを一つひとつ学んでいっても、最初に覚えたことを忘れてしまっては何の意味もないので、最初の「1」に新しい「1」を足していって、やがて10にし、100にしていく。それができなければ成長にはつながらないと思いますし、新しく覚えたことを確実に積み重ねられる人と一緒に働きたいと思っています。

今の仕事における夢や目標を教えてください。

直近の目標は、ラグビーW杯の中継を成功させることですね。今回は世界で初めて4Kでの全48試合生中継をするんですけど、そういった大きなテーマもあるので、問題なくやりきることが目標です。もう一つは、当社では地上波のような局アナは在籍していないので、フリーの実況者の方々に番組を支えてもらっています。私が2011年に入社したときから、現在のレギュラー実況陣の方々と長くお仕事をさせてもらっていますが、その裏で、若手実況者の発掘と育成を我々が担って、将来的に何か新しい価値を視聴者へ提供することも番組制作者としての任務ではないかと思っています。従来のメンバーとともにがんばれる新しい人材を見つけて、育てていきたいですね。

「直近の目標は、ラグビーW杯の中継を成功させること」と意気込む[写真]新井賢一

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