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チームとファンの
新しい関係を作りたい

西武ライオンズ 事業部マネージャー尾関亮一さん

野球

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尾関亮一(おぜき・りょういち)さん 39歳
株式会社西武ライオンズ 事業部マネージャー
プロモーショングループ 兼 マーケティンググループ 兼 事業企画グループ担当

今年、埼玉に本拠を構えてから40年が経ち、観客動員も右肩上がり、スタジアム周辺の改修などを進め新たなフェーズを迎えようとしている西武ライオンズ。その事業部で、チームのプロモーション全般を担い、日々ファンと向き合い続けている尾関亮一さんが描く未来とは――。(2018年9月6日取材)

人材系企業、データを扱う会社を経て西武ライオンズへ[写真]山口剛生

自分は何をしていきたいのか

まずはこれまでのキャリアについて教えてください。

最初は新卒で人材系の会社に入り、そこで5年。その後、スポーツのデータを扱う会社に転職しまして、そこでの経験が10年ほどです。そして今年の1月から西武ライオンズで勤務しています。

人材系からスポーツ関連の仕事に転職したきっかけは何だったのでしょう?

新卒で入る時はスポーツ業界を就職先に考えるという発想自体がなかったんです。ただ、5年ほど勤めて、この先も働いていくことを考えた時、改めて自分が何をしていきたいのかなって考えてみたんです。自分の人生を振り返って、自分が感動したり興奮したりしたシーンを思い返すと、「ほぼスポーツが関わっているよな」というのがあって。長く働いていくなら好きなことを仕事にしたい、あるいは自分が感動をもらってきたスポーツに恩返しをしたいっていう気持ちが湧いてきて、そこから考え始めました。

データを扱う会社では何を?

基本的には野球やサッカーのワンプレーごとのデータが商材になるのですが、そこで企画営業をしていました。分かりやすいのは野球の一球ごとの速報サービスみたいなことですね。そこから、メディアやデバイスの進化に合わせて、データの活用方法を企画し、サービス化していました。例えば、TV中継の中で詳細なデータを表示してもらったり、野球のデジタルゲームでの選手パラメータやリアルな試合と連動した企画にデータを使ってもらったり、スタジアム内の大型ビジョンの演出提案として、データとセットでソフトウェアの企画開発をしたりしていました。

その後、球団に転職するわけですけど、なぜ球団に?

もともとデータを扱いながら「ファンの方が見て面白いものは何か」とか、「どうやったらスポーツがもっと楽しくなるのか」ということを考えながら仕事をしてきたんです。とはいえ、扱うのはデータなのでBtoBの仕事がメインでした。そこから、よりダイレクトにスポーツビジネスの核であるチームでBtoC、要するにファンの方とダイレクトに向き合ってみたいという思いが出てきたんです。

ファンと直接向き合いたいとの思いから転職を決断した[写真]山口剛生

プロモーションを一手に担う

現在の役職は「事業部マネージャー」ということですが主にどういった仕事をされているのでしょうか?

ライオンズでは、事業系に関わる部署が事業部と営業部の2つあり、簡単に言うと営業部がBtoB、事業部がBtoCの仕事です。営業部は法人向けの営業でスポンサー獲得や試合日のスポンサーイベントの企画、運営、放送局との放映権ビジネスなどを担当しています。一方、事業部はファンの方と直接関わる業務を担当します。試合開催時のお客さま対応、イベント、演出企画から、チケットの企画、販売、ファンクラブの運営、グッズや球場グルメの企画、販売のほか、L-FRIENDSという野球振興、こども支援、地域の活性化を軸としたプロジェクトも事業部の領域です。
そのなかで、私が所属するプロモーショングループは、事業部の各種施策をどのようにファンの方へ届け、収益につなげるか、ということがミッションとなります。具体的には、公式サイト、SNSアカウントなどの球団メディアの企画、運営、Webや交通広告といった外部媒体を使ったプロモーション企画、ポスターや球場周辺の装飾物の制作などもプロモーショングループの担当領域です。私は、そのプロモーショングループでマネージャーとして、協力会社のスタッフも含め5、6名のチームを見ています。

一日の動きとしては、どういった流れですか?

試合がない日の定時は朝9時30分です。1日の半分くらいは打ち合わせをしていることが多いです。目標管理のための定例会議やほかのグループとの打ち合わせなどです。特にシーズン中は、ホームゲームに向けてさまざまな企画が動いていますので、企画段階から打ち出し方を議論していることが多いです。また、私はファンクラブや事業企画のグループも兼務しているので、そちらに関連した会議もあります。
その他の時間は、日々の運用のチェックや外部との打ち合わせで外出することも多いですね。NPB(日本野球機構)やパ・リーグ関連の会議などに出席することもあります。終業の定時は18時15分です。残業は日によりますが、私は平均で1時間程度ですね。試合がある際は、デーゲームの場合、定時はほぼ同じです。ナイターの場合、定時は午後出社なのですが、各自自分の業務に合わせてコントロールしています。私の場合は、試合開催が事業部のメインなので試合の時間帯は基本的にはオフィスにいるようにしています。とはいえ、試合中に手足を動かすわけではないので、試合中にも打ち合わせをしていることもよくあります。自席にいる場合は、試合展開を追いながらSNSをチェックしてファンの方の反応を確認したりもします。

土日出社の場合は平日が休みに?

休みに関しては労務管理がしっかりしていて、忙しい時でもメリハリをつけて休みを取るようにしています。業界に入る前には、興行は生ものなのでイレギュラー対応も多く、昼夜も土日も関係なく働かなきゃいけないようなイメージがありましたけど、そんなことは一切なかったですね。大きなイベントがある際などは、一時的に業務に追われることはありますが、基本的には自分でペース配分しながら働いています。

球場に行くことでスポーツの力をダイレクトに感じるという[写真]山口剛生

スポーツの持つ力を実感

今年は40周年記念事業としてさまざまな取り組みを行っていますね。

私は1月入社だったので、その時点でほぼ計画は固まっていました(笑)。会社としては球場の改修計画が進行していたり、東京ドームで主催試合を開催したりと、大きなプロジェクトが動いています。今のところ、まだ明確な自分の成果と言えるものはないのが残念ですが、大きな流れに乗り遅れないようにしっかり実績を作っていきたいですね。

この8カ月の中で見えてきた仕事の魅力ややりがいというものはありますか?

球場のすぐ横で仕事をしているので場内を見に行ったりするんですけど、やっぱり選手が戦っていて、それを応援するファンの方々がいて、あそこから出てくる一体感や盛り上がりっていうのは作ろうと思っても作れないものだと思うんです。スポーツの持つ力をダイレクトに感じる瞬間ですね。もちろんチームの好調という大きな要因はありますが、一緒に働く仲間が作った企画があって、自分たちのプロモーションの努力もあって、そういったものが1つとなり、目の前の熱狂の一端を担っているというのは、やはりほかではなかなか感じられない仕事なのかなと思います。また、その熱量にはビジネスとしての可能性も感じるし、チャレンジのしがいのある業界だと感じます。

今季もっとも手応えを感じた取り組みは?

今年は40周年ということで、東京ドームで球団史上初めて主催試合を開催して満員になりました。所沢のメットライフドームよりも収容人数が多い球場が満員になり、試合後のライブイベントで場内を暗くしてルミカライトで照らす演出を実施した時、それがなかなか壮観な光景で、盛り上がりも反響も大きかったですね。これだけたくさんの人がライオンズを応援してくれているということに、改めてポテンシャルを感じました。

今後の目標はありますか?

プロモーション担当としての一つひとつの仕事は、チケットを売る、グッズを売る、ということに直結しているのですが、それはファンの方のチームへの思いを代替する手段であって、チームの持つ価値の本質は「チームを好き」という気持ちそのものだと思っています。時代とともに、チームとファンの距離感や関係性も変わってきていますが、それに合ったスポーツのビジネスモデルもあると思うんです。野球界も未来へ向けて生き残るための過渡期にあると思います。劇的に変えよう、明確に変えなきゃいけないっていうことではないですが、もっとチームも選手もファンも地域の皆様も協賛してくださるスポンサー企業も含めて「ライオンズらしい」関係を作れると思っています。それをうまく機能させて、独自のビジネスモデルを築き、収益性の高い会社になって、優秀な人材が集まり、野球界がさらに発展していく、という未来を作っていくのが目標です。

40周年の今年、東京ドームで主催試合を開催した[写真]埼玉西武ライオンズ

決まったやり方はない

社内には転職してきた方も多いですか?

非常に多いと思います。球団にはさまざまな職種があって、例えば事業部とひとくくりに言っても、飲食があり、グッズがあり、チケットの販売があり、それぞれがまったく違う仕事なので、皆さん、それぞれの経験を活かしてやっていますね。

その中でもスポーツ界、野球に求められる人材はどういった方でしょうか?

歴史のあるスポーツですから、これまで実行されてきたやり方や慣習もあります。ただ、今のやり方が絶対なわけでも、決まったやり方があるわけでもない。それぞれの球団の持つ地域性や時代背景によっても、ファンの方が球団に求めることは変わってきます。ライオンズなら、チームの持つ価値は何か、ファンの方は何を求めてここに来ているのか、そういうことを常に問いかけながら、考えながら仕事に取り組める人材が望まれているのかなと思います。そして、どんな経験であっても、外の業界で「これをやってきた」と言えるものがあれば、何かしら役に立てる部分はあると思います。

最後に、スポーツ界や野球界の仕事に興味を持っている方に向けてアドバイスをお願いします。

スポーツビジネスを目指す人はスポーツ好きが多いと思います。普段、試合観戦をする時にも、単純に試合が楽しいだけではなく、ビジネスとしての構造を理解してみようとか、なぜこうなっていて、自分だったらどうするといったことを意識しておくと良いと思います。知識やスキルという、本などで得られる情報ももちろん無駄ではないですし、基礎知識として知っておくことは良いことですけど、普段から自分で考えることを鍛えておくと力になると思います。自分も中に入ってから知ったこともたくさんありますし、そこは後からどうにでもなる。まずは今いる場所で何かを突き詰めてやっておくことが大事なんじゃないかと思います。

「球団の地域や環境によって、何を楽しんでもらうのかも変わる」[写真]山口剛生

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