ロールモデル 〜自分のキャリアを見つけた女性たち〜


掲載日:2016年11月7日
ワーク・ライフ・バランスを実現しながら一生の武器となるスキルも身につけたい。
選んだのはスタートアップという挑戦の場
大学を卒業後、外資系証券会社の監査部門に、初の新卒社員として入社した井無田さん。ニューヨーク本社での2年の勤務を挟んで計10年働いた後、アメリカに移住し専業主婦になりました。以来、家庭と両立できるフレキシブルな働き方を模索し続けてきたといいます。帰国後、スタートアップ企業である株式会社ビザスクに入社を決めた経緯や、キャリアへの思いを語っていただきました。
- 2003年
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慶應義塾大学法学部を卒業後、外資系証券会社の監査部門に入社
- 2006年
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ニューヨーク本社に異動
- 2008年
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日本に帰任
- 2011年
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グループ会社に転籍(マーケティング室配属)
- 2013年
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第1子を出産
- 2014年
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復帰、夫の仕事の関係で退職し、米国に移住。専業主婦に
- 2016年
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帰国後、株式会社ビザスクにコンシェルジュ部部長として入社
株式会社ビザスク
日本最大級のスポットコンサルプラットフォーム「ビザスク」を運営。さまざまな業界・分野・職種の知見を持つアドバイザーに、1時間という短い時間から対面や電話で相談できるのが特徴で、現在22,000名以上の知見者がアドバイザーとして登録。大手法人の利用も200社を超えるまでに成長している。
内部監査の部署に新卒1期生として入社
高度な知識と英語力が求められる仕事に奮闘
大学卒業後に入社した外資系証券会社は、部門別に採用が行われていて、私は採用試験を受ける段階から内部監査の部門を志望しました。社内のあらゆる業務を俯瞰的に見られる内部監査の仕事に興味を持ったからです。内部監査というのは通常、長く現場経験を積んだ社員や、会計事務所などから転職してきた人が担う仕事で、新卒での配属は私が部署で初めて。新入社員どころか、20代の社員も部署内に私1人という状況でした。
内部監査の仕事は社内の各部署と関わるため、それぞれの部署の業務に関する専門的な知識が日本語・英語の両方で求められました。また、監査を行う相手は各部署のマネジャーや部長クラスになるため、目上の人に対して、臆せずに不備をきちんと指摘できるコミュニケーション能力も必須でした。新人にとっては非常に重圧の大きな仕事でしたが、上司の「分からないことを分からないと言えるのが新人。それをアドバンテージだと思って」という助言が支えになりました。円滑に監査業務を進めるためのコミュニケーション術を自分で試行錯誤しながら、1年目から刺激的な環境で経験を積めたことはとても幸運だったと思います。
上司の後押しもあって、入社4年目にニューヨーク本社で働くチャンスを得ました。打診を受けた当時、今の夫と付き合って3カ月だったのですが、彼もMBA留学の良い機会だといって会社を辞めて一緒に渡米する選択をしてくれました。ニューヨーク本社では、組織が巨大である分、内部監査の種類や頻度も多く、日本では経験できないほどの場数を踏みながら金融の知識を包括的に深めていきました。2年後に帰国して再び内部監査部で働いた後、監査以外の経験も積みたいと希望して、入社8年目にグループ会社のマーケティング室に転籍しました。顧客と接することも、“お金を稼ぐ”という感覚を持って仕事に臨むことも、私には初めての経験。知り合いもほとんどいない環境に未経験の状態で飛び込んでいった点では、ほとんど転職に近かったと思います。
専業主婦を経験して募った「働きたい」という思い
ビザスクと出会い、やる気のスイッチがオンに
マーケティング室在籍中に娘を出産し、7カ月の育休を経て復帰しました。その半年後、今度は夫のニューヨーク転勤が決まり、家族でアメリカに移り住むために私は退職を選びました。10年勤めた会社を辞めることに、迷いはなかったですね。ある程度仕事をやりきった気持ちもありましたし、出産前と変わらない成果を求められることにプレッシャーも感じていたので、ここはいったん休憩する機会かもしれないと考えたのです。ところがいざ渡米して専業主婦の生活が始まってみると、満たされないストレスが徐々にたまっていきました。唯一好きな料理を除いて、家事全般にやりがいを見いだせず、私の人生を楽しくする大きな要素は仕事なのだと気付いたのです。育児や家事をしながら何か働ける方法はないかと考えて、ショッピングサイトのバイヤーに挑戦してみたり、日本に帰国後はクラウドソーシングで覆面調査の仕事を請け負ったりと、模索する時期が続きました。
ビザスクを知ったのはちょうどそのころで、きっかけは、たまたま夫がビザスク代表の端羽と面会したことでした。ビザスクの仕事が私に向いているのではないかと直感した夫は、その場で端羽に私のことを話し、すぐに面接の日程が決まりました。当初私は、在宅の「リモート社員」として、週に3、4日ほど働くことをイメージしていたのですが、端羽から提案されたのは、コンシェルジュ部門の責任者としてフルタイムで勤務することでした。思いもよらない提案にとても驚きましたが、前職の経験やスキルを評価してもらえたことで、やる気のスイッチを強く押された感覚がありました。夫から、スタートアップ企業の方が時間に融通の利く働き方ができるのではないかとアドバイスされたことも、後押しになりました。
入社以降、9時から17時の時短勤務を続けています。コンシェルジュ部門の主な役割は、クライアントの要望に適したアドバイザーを探しだし、マッチングを行うこと。14名のチームメンバーの中には地方や海外在住のリモート社員もいて、メンバー間のコミュニケーションには社内チャットツールが活用されています。先日、娘のおたふく風邪で私が1週間出社できないことがあったのですが、自宅にいながらチャットツールや電話を介して、普段通りに業務を進めることができました。オフィスが入っているビルの中にはキッズスペースもあり、必要に応じて子ども連れで出勤できるのも心強いですね。時間的な制約があっても、それに負い目を感じることなく、育児と両立しながら仕事に打ち込める仕組みと環境が整っていることを実感しています。
前職では毎日120%の力で仕事に向き合ってきました。子どもを育てながら働く今、仕事に注ぐ力は弱まるどころか、むしろ150%まで高まったように感じています。以前と大きく違うのは、長時間労働や精神的な負担がないこと。時間や場所を選ばず、望み通りのフレキシブルな働き方をようやく見つけられた気がしています。
人とは違うスキルや経験を重ねていくことが長く働き続けるための大きな力になる
アメリカで知り合った日本人の中には、夫の転勤を機に仕事を辞めて夫について来たという女性も多くいました。彼女たちは、日本に戻ったらまた働きたいと願う一方で、夫が再度転勤になる可能性もあることから、キャリアプランを立てづらい状況に置かれていました。私はそんな女性たちにこそ、スタートアップ企業で働くことをぜひ選択肢に加えてほしいと思っています。ビザスクのように、時間や場所にとらわれない柔軟な勤務体制を敷くスタートアップもあります。それに、スタートアップでは組織や業務が細分化されていないことが多く、1人が多岐にわたる経験を積むことができ、それは、企業や業界の枠を超えて通用するスキルや自信にもつながるはずです。女性が長く働き続ける上で大切になるのは、勤める会社の名前や規模ではなく、個人としてどれだけ実力や経験を蓄えてきたのかだと私は考えています。
この先これを成し遂げたい、といった明確なキャリアの目標は描いていません。目標を挙げるとすれば、100歳まで生きること、そして、一生涯仕事を続けることが私の大きな望みで、その意味では50歳からがキャリアの勝負どころだと思っています。そう考えるようになったのは、母の影響が大きいですね。母は新卒で沖縄の銀行に就職し、九州で初の女性支店長となり、本店の営業部長や関連企業の役員などを歴任しました。先日70歳になりましたが、役職を退いた今も仕事のオファーが舞い込んでいます。自らが築いた経験やネットワークを活かして活躍を続ける母は、私にとって理想のロールモデルです。母のように、年齢を重ねても周りから必要とされる存在でいたい。そのために今必要なのは、ほかの人にはないスキルやバックグラウンドを持った、ユニークな人間へと自分を高めていくこと。成長の真っただ中にあるスタートアップの環境を活かして、できるだけ幅広い経験を積極的に積みたいと思っています。
自分らしい働き方をかなえるヒントがここにある
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#29 ママの顔も持つ、消防士。娘にも働く姿を見せ続けたい。その目標を叶えられる制度と環境が、ここにありました。
吉田 両古(30代/ 既婚/ 子ども1人・現在妊娠中) - #28 やりたいことがなくても『私らしいキャリア』は実現できる。必要なのは、自分がどうありたいか。
吉田 真穂(30代 / 未婚) - #27 自分の市場価値を高め、キャリアを築くこと。リクルートが私の人生を大きく変えた。
吉川 綾子(30代/既婚/子ども2人) - #26 社内SEからコンサルタントへ、グローバルに挑戦。
仕事と育児は、自分次第で両立できることを証明。
近藤 美穂(33歳/既婚/子ども1人) - #25 仕事もプライベートもあきらめたくない。
理想の環境を求めて、Skyへの転職を決意した。
A・O(27歳/既婚) - #24 働く女性はかっこいい――。幼いころから思い描いていた“ありたい姿”を実現。
仕事のやりがいもプライベートの充実も両方手に入れた。
藤田 幸恵(37歳/既婚) - #23 こんな私が、120名の部下を率いるまでに。キャリアも、理想の人生も切り拓き、本当のワークライフバランスを得ています!
松本 久美子(41歳/既婚) - #22 ワーク・ライフ・バランスを実現しながら一生の武器となるスキルも身につけたい 選んだのはスタートアップという挑戦の場
井無田 ゆりか(37歳/既婚/子ども1人) - #21 負けず嫌いなわたしにとって、
仕事内容も働く環境も、これ以上ないほどぴったりくる会社だった。
浅井友紀(既婚) - #20 未経験から統轄を任される管理職へ働きがいのある仕事で人生も豊かになった
高嶋 綾(30代/既婚/子ども3人) - #19 やりたいことをかなえるために教師という未知の世界に思い切って飛び込んだ
池田 由紀(28歳) - #18 育児と両立できる環境も、自分の経験を活かせる仕事も、両方あきらめないその姿勢が、理想の転職先との出会いにつながった
廣島 早苗(42歳/既婚/子ども2人) - #17 まだ分からない将来を理由に何かをあきらめたくはない。そう考えて踏み出した一歩
福原 理子(38歳) - #16 仕事のモチベーションを高めるため、プライベートも充実させたい 今後のワーク・ライフ・バランスを考えて、転職を決意
綿谷 菜穂子(32歳/既婚/子ども1人) - #15 欲張りな条件をあきらめないで、自分の場所を探し続けたい
與猶 依里子(よなお よりこ)(32歳/既婚) - #14 家庭を大切にしたいからこそ、やりがいのある仕事を選んだ
武藤 怜香(28歳/既婚) - #13 いつか、孫に「すごいね、おばあちゃん!」と言われるような仕事がしたい
朝海 伸子 - #12 「今と同じ働き方を続ける5年後の自分」を想像できるか。自らに問いかけて転職を決意
鈴木 美穂(31歳/既婚) - #11 「女性だからと身構えず、自然体でキャリアアップを重ねるロールモデルでありたい」
市橋 天(36歳/既婚) - #10 「「自分を試してみよう」と、変化をいとわず走り続けた20代 その先にあったのは33歳の社長業」
佐藤 瞳(33歳/既婚) - #09 「女性が定着しやすい環境を―。私なりのキャリアアップが、後に続く女性たちのためになるはず」
山口 美香(31歳/未婚) - #08 「女性の道を切り拓くため、先陣として、行けるところまで“上”を目指す」
松永 英美子(38歳/既婚) - #07 「24時間365日を自分のために使える今、市場価値を高めておきたい」
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高橋 美希(35歳/既婚) - #05 「『生きている』と実感できるのは、仕事をしている時」
塩川 真希(28歳/未婚) - #04 「仕事の“アクセル”を緩めずに、『人が楽しむこと』を追求していきたい 」
加古 静香(34歳/既婚/子ども1人) - #03 「仕事もプライベートもわがままにぜいたくに生きる母親でありたい」
堀口 園生(38歳/既婚/子ども2人) - #02 「どんな環境であっても、必要とされる価値ある“自分”でありたい」
和泉 まりか(28歳/既婚) - #01 「何も犠牲にすることなく、責任は果たせる」
小倉 友美(34歳/既婚/子ども1人)
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