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「売れない期間があって良かった」大久保佳代子が芸人人生を振り返る|ラジオアーカイブ

「売れない期間があって良かった」大久保佳代子が芸人人生を振り返る|ラジオアーカイブ

前編:2023.7.16(日)放送回
大久保 佳代子さん
タレント

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「空想メディア」ロゴ04

放送作家の高須光聖さんがゲストの方と空想し、勝手に企画を提案する『空想メディア』。
社会の第一線で活躍されている多種多様なゲストの「生き方や働き方」「今興味があること」を掘り下げながら「キャリアの転機」にも迫ります。

今回のゲストは、タレントの大久保佳代子さんです。さまざまな番組にひっぱりだこの大久保さんですが、デビューから8年ほどはテレビ出演も少なく、その後も2010年まではOLをしながら芸人を続けていました。相方だけが活躍する不遇の時代を過ごしながらも、「売れない期間があったから良かった」と語る大久保さん。新番組も続々と始まり飛躍を続ける今、これまでの芸人人生を振り返ります。

  • 大久保 佳代子さん

    大久保 佳代子(おおくぼ・かよこ) 光浦靖子とのお笑いコンビ『オアシズ』として1992年にデビュー。同世代の女性を中心に高い支持を受け、バラエティー番組のみならず情報番組やCM出演など幅広く活動。

  • 高須光聖さん

    高須 光聖(たかす・みつよし) 放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティーなど多岐にわたって活動。
    中学時代からの友人だったダウンタウン松本人志に誘われ24歳で放送作家デビュー。

すぐレギュラーになったらつぶされていた。新しい現場で開花した才能

高須:大久保さんって『めちゃイケ』(※1)の当時はお仕事(会社勤務)もされていましたよね。

(※1)『めちゃ×2イケてるッ!』1996年10月19日~2018年3月31日までフジテレビで放送されていたバラエティー番組

大久保:いや、「OLです」って言ってテレビに出ていたんですけど、実際は違うんですよ。『新しい波』(※2)から『とぶくすり』(※3)に行った時点で(相方の)光浦さんだけレギュラーになるんですが、単純にそこから私だけ芸人の仕事がなくなるわけですよ。だから、いわゆる売れてない芸人さんがいろんな所でバイトしますよね。そんな感じでオフィスワークを月〜金でやっていたのを“OL”と称していたっていう。今だから言っちゃうと。

(※2)1992年10月〜1993年3月にフジテレビで放送されたバラエティー番組
(※3)1993年4月8日~1993年9月23日までフジテレビで放送されていたバラエティー番組。『新しい波』のあとに放送された

高須:隠れみのにしながらね。まあ、良かったんですよね? それはそれで。

大久保:良かったと思いますね。もし光浦さんと一緒に『とぶくすり』のレギュラーにポンと入って、あのタイミングでナイナイ(※4)たちとやっていたら多分、能力的にも続かずにつぶされていたというか、ダメになっていた気がするんで。『めちゃイケ』のレギュラーに入れてもらったのがちょうど30歳なんですよ。だからまあ、『とぶくすり』から7、8年はあるのかな。あの期間があって、あの入り方で良かったなと。今こうやって振り返ってみるとそう思います。

(※4)ナインティナイン。岡村隆史氏と矢部浩之氏のお笑いコンビ

高須:『めちゃイケ』と『ロンハー』(※5)なら大久保さんはどっちが面白いのかなって考えたことがあって、ぼくは『ロンハー』のほうが面白いと思ったんですよ。だからぼく飛鳥(※6)に「大久保さんの使い方間違ってるんじゃない?」って会議で言ったことがあるんです。でも『めちゃイケ』には『めちゃイケ』の歴史があって、演者さんも『めちゃイケ』のルールの中で成長しているから、なかなかそのパターンを変えられなかったでしょう? 例えば加藤浩次は『スッキリ』(※7)でまともなことをしゃべっているけど、『めちゃイケ』では狂犬であり続けなきゃいけないっていうジレンマもあったじゃないですか。

(※5)『ロンドンハーツ』テレビ朝日系列で1999年4月18日から放送されているバラエティ番組
(※6)『めちゃ×2イケてるッ!』を立ち上げたテレビプロデューサーの片岡飛鳥氏のこと
(※7)2006年4月3日から2023年3月31日まで日本テレビ系列で生放送されていた朝のワイドショー・情報番組

大久保:まあ…、そうですね。『めちゃイケ』では“OLの大久保さん”として、半分素人みたいなキャラで出ていて。OLっていう武器があるから「明日シフトなんで帰ります」「素人だからしょうがないよ」っていうところで笑いを一個もらっていて。

高須:まあ楽でしたよね、それは(笑)。

大久保:楽でした、楽でした(笑)。でも『ロンハー』とかって『めちゃイケ』と違ってほぼ台本がないんですよね。ビビりましたよ。『めちゃイケ』っていう現場しか知らないから。『めちゃイケ』は結構ガッツリ台本があるじゃないですか。

高須:「みんなしっかり立ち位置がある中で遊んでいこう」っていうのが『めちゃイケ』なんで。

大久保:そうですね。だから『ロンハー』に行ったときに「わ、怖! 何もないじゃん。どうすればいいの?」って思ったけど、逆にそれがいい方向に転んだのかもしれない。

高須:『めちゃイケ』は“ナイナイ岡村にトスを上げていく”っていうのがベースなんで。『ロンハー』は逆に“誰にトスを上げてもいい”っていうやり方で、その中でいちばん輝いたのが大久保さんやったんですよ。「この人こういう場ではこんなに面白くなんねや」と思って。

大久保:『めちゃイケ』の“トスを上げる”っていうのも最初は分かんないじゃないですか。自分が決めに行きたいって思う時期だったんで。

高須:「面白いこと言え」って言われているからね。

大久保:そう。でも『めちゃイケ』はやっぱりある程度トス回しをして台本通りうまくいって、最後にドカーンと決めるみたいな感じだったんで。それが分からなかったときに『ロンハー』に行ったのが良かったのかなって思いますけどね。

力を出し切っているから感じる「どう思われてもいい」という軽やかさ

高須:どうなんですか? 『めちゃイケ』が終わって、ちょっと肩の荷が下りたりしましたか?

大久保:『めちゃイケ』って火・水で撮られていましたからね。

高須:ね。毎週火・水ってすごいよね。それもギリギリまでバラさない(キャンセルしない)でしょ?

大久保:そうなんですよね。それがちょっとストレスになっていました。だから終わって寂しいのが半分と、次のことがいろいろとやれるかなと思ったのが半分かな。

高須:最後のほうは、なんか見ていて楽しそうでしたもん。加藤も、濱口(※6)も、岡村も。みんな楽しそうやった(笑)。

(※6)お笑いコンビ・よゐこの濱口優氏のこと

大久保:どんだけみんな重圧の中でやってたんだってね(笑)。ちょっと解放感はありましたね。

高須:『めちゃイケ』を終わらせない、もしくは『めちゃイケ』をいい番組だと思わせ続けなくちゃいけないっていう義務感があったから。

大久保:あったな。分かります。

高須:ね。だからみんな大変だったのよ。

大久保:背負っている感じがちょっとね。

高須:背負ってるでしょう? あれはつらいですよ。

大久保:当たり前ですけど、番組ってどこかで終わるじゃないですか。だから終わり時を探してたと思うんです。それがあのタイミングで良かったかどうかは分からないですけど、やり切って終わった感も多分あると思うんですよ。やるだけやったって感じつつ終われたので、多分みんなワントーン顔色が明るくなって仕事してたと思いますよ。

高須:きれいになりましたよ。大久保さん。

大久保:えっ?『めちゃイケ』の呪縛がなくなって?

高須:なくなって。

大久保:そんなに私変わりました(笑)?

高須:『めちゃイケ』終わったぐらいから、なんて言うんですかね…輝きが。どこに行ってもコメントもいいし。なんかね、軽やか。

大久保:軽やか! 「軽やか」っていい言葉ですね。

高須:軽やかだったなぁ。

大久保:でも軽やかだなと自分で思い始めたのはここ2年ぐらい。ちょうど50歳超えたぐらいに「なんか私、軽やかだな」と思いだして。軽やかというか、もうあまり反省したくもないし、あと何年やれるかも分からないから、今持っているものを出して「どう思ってもらってもいいですよ」っていうような感じになった。それはちょっと軽やかになっているのかもしれない。

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芸人が手を抜くことはない。常に70点以上を取らなくてはならないつらさ

高須:この間も加地くん(※7)と『ロンハー』の女子運動会の話をしていて、「やっぱ大久保さんだなぁ」って話になって。

(※7)『ロンドンハーツ』のプロデューサー 加地倫三氏のこと

大久保:最高。それで酒飲めますわ。

高須:「やはり大久保さんやな。でも若い大久保さんみたいな人いないね」って話をしたの。

大久保:最高なこと言うじゃないですか。じゃあ、私良い芸人人生を送っているんですね。芸人っていうのもおこがましいかもしれないけど。

高須:芸人としてめちゃめちゃいいポジション。

大久保:いい流れで来てたんだ。

高須:めっちゃいい。後半から運気めっちゃいいよ。

大久保:占い師ですか(笑)?

高須:(笑)。いや、女性芸人としてのいろんな運がちゃんと回ってきているような感じがする。

大久保:確かにね。今年入って52歳でゴルフの番組が始まったり、古典芸能の番組が始まったり。

高須:あら、またちょっと違う世界が見えてきたじゃないですか。

大久保:すごい振り幅が広くなって。なんか趣味っぽいものが仕事になったらいいよな、と思っていたらゴルフが仕事になって。古典芸能とかちょっと興味あるなと思ったらそんな仕事がきて。今、良い方向に来てるから。そっか、運気ね。

高須:なんか見てていいんですよ。努力ももちろんありますし、技術もあんねんけど、でも運気がすげえなと思って。大久保さんが今何をやりたいのか、何があったら楽しく生きていけると考えてんのかなと思って。今こんなにいい状況なんで、あと何を求めるのかなと思って。

大久保:高須さん…人生って別に仕事だけじゃないじゃないですか? 仕事の面だけ見てね、「これ以上何が欲しいの」みたいな言い方してますけど。

高須:本当ですね。

大久保:私が家帰ってさ、一人だけで過ごしている時間を想像してみてくださいよ。茶色い太った犬相手にさ、一人でビール飲んでっていう時間が半分以上あるんですよ。

高須:(笑)

大久保:でもね、いろんなクイズ番組に出たり情報番組に出たりなんかしだしたのは、37歳ぐらいなんですよ。多分そこから15年ぐらいか。

高須:すごいよ。むちゃくちゃ楽しそうだし、みんなが大久保さんに求めてるものもちゃんとキャッチできてるから。

大久保:でも、さっきもこれ以上もないから50歳過ぎてからちょっと楽になったって言いましたけど、私たちの場合は手を抜くことってないじゃないですか。手を抜くって、しゃべらないってことですからね。

高須:そうなんですよね。それはないからね。

大久保:そう。手を抜かずに、70点、75点を取らなきゃって毎回思うけど、やっぱりこの仕事って気分もあるし、テンションもあるし、バイオリズムもあるし。それはしんどいですよ?

高須:本当にね。しかも相手によっちゃ、合う人合わない人いますからね。「合わんわ、こいつ。どう考えても」っていうやりとりもあるからね。

大久保:あります、あります。でもだんだん上になってきたから、「合わなかったら絶対こいつが悪い」と思うようになりましたけど。

高須:(笑)

――大久保さんの現在の活躍の裏側には、過去の学びを大切にする姿勢や努力がありました。次回も大久保佳代子さんをゲストに、キャリアの転機やマイルールについて伺います。お楽しみに!

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