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不思議な世界観の秘密とは? 『かもめんたる』岩崎う大の思考を探る|ラジオアーカイブ

不思議な世界観の秘密とは? 『かもめんたる』岩崎う大の思考を探る|ラジオアーカイブ

後編:2024.1.7(日)放送回
岩崎う大さん
お笑いタレント、劇作家

ラジオ音源はこちらから

「空想メディア」ロゴ04

放送作家の高須光聖さんがゲストの方と空想し、勝手に企画を提案する『空想メディア』。
社会の第一線で活躍されている多種多様なゲストの「生き方や働き方」「今興味があること」を掘り下げながら「キャリアの転機」にも迫ります。

今回のゲストも前回に続き、お笑いコンビ『かもめんたる』の岩崎う大さんです。ちょっと不思議な世界観のコントや演劇で高い評価を受けている岩崎さん。高須さんに「嫉妬心が湧く」とまで言わしめた独特な世界観はどのように生み出されるのか。高須さんがその思考を探っていきます。

  • 岩崎 う大さん

    岩崎 う大(いわさき・うだい) 槙尾ユウスケと組むお笑いコンビ『かもめんたる』のメンバー。主宰する『劇団かもめんたる』では脚本、演出、俳優を務め、劇作家としても高い評価を受けている。

  • 高須 光聖さん

    高須 光聖(たかす・みつよし) 放送作家、脚本家、ラジオパーソナリティーなど多岐にわたって活動。
    中学時代からの友人だったダウンタウン松本人志に誘われ24歳で放送作家デビュー。

相棒は過去の自分。気を使って妥協するなら一人で作りたい

高須:いつもコントのテーマを考えるとき、どうやって作っているの?

岩崎:一応メモ帳みたいなものにメモはしていて、それを必要なときに見返す感じで。

高須:じゃあ日々「おもろいなぁ」とか思うと、ちゃんとメモしてるの?

岩崎:わりとスマホにメモするようにしてますね。やっぱ忘れちゃうんで。

高須:忘れるよなぁ。

岩崎:はい。ぼくの場合はそれで見返したときにピンと来るのは、過去の自分と今の自分の2人が理解したっていう感覚で。見返してあまりピンとこないときは…(笑)。

高須:一人しか合意してないってことね(笑)。

岩崎:そう、過去の人しか(笑)。ぼくはいっしょに考える作家さんみたいな人がいないんで。だからもう一人の自分と…みたいな。

高須:気持ち悪いなぁ、またそれも。

高須・岩崎:(笑)

高須:じゃあ本を書くときとかも、全部自分一人でバーッと書くの? 壁打ちはせえへんのや?

岩崎:そうですね。いつかそういう人に巡り合えたらいいなと思いながら、ずっとここまで来ちゃいましたね。

高須:うわぁ。じゃあもう自分で書くんやろね。これだけ自分でやってきたんならね。

岩崎:そうですね。結構気を使うっていうか。すっごくいいところまで盛り上がっていたのに、最後になんか違うアイデアが相手から出てきたときとか、「あれ? 今までの何だった?」って。

高須:ええやんか(笑)。あるやんか、そんなことは。

岩崎:そうなると気を使うんで、「採用しなきゃ」みたいな気持ちにすごい持っていかれちゃうんですよ。

高須:ええー! 絶対あかんよ。それはもう壁打ちやから。

岩崎:そうですよね。その辺がまだプロになれていないんで。

高須:疲れるやろ?

岩崎:はい。「だったら一人でやっちゃおうかな」みたいになっちゃってはいるんですよね。

笑いをやってきた自分しかできないアプローチで感動させたい

岩崎:お笑いでシュールなアプローチとか自分しか思いつかないようなアプローチをずっと考えてやっていたので、演劇で感動させるときにシュールなアプローチや自分しかできないアプローチを探すのは、同じように楽しいなと思えていて。

高須:分かるわぁ。こねくり回すんじゃなく、う大らしいにおいを醸し出しながらすごい引き算でぎゅっとした純愛ものとか、すげぇ見たいなと思って。

岩崎:それができたらかっこいいかなって。

高須:分かる。『奇事故(きじこ)』を見て、その一部を垣間見た気がするけどね。

岩崎:お笑いから演劇に入ってきて演劇で面白いことをやるっていうのは、ストレートで当たり前な気がするんで。ぼくがやるからには、ちょっと感動の部分にそういう目線みたいなものを入れていけたらなと。

高須:映画とかは撮ってみたいと思えへんの? ショートムービーでもなんか。

岩崎:思います。いつかはやるんだろうなぁとも思っているし、やりたいなぁとも思っているんですよね。ただ、演劇は結構稽古の時間が長いんですよ。それが演劇がぼくの性に合っていると感じている一番の部分で。映画とかドラマにもたまに出させてもらうんですけど、やっぱり(撮影が)早いじゃないですか。

高須:早い、早い。「うーん…」と思いながらも進んでいかなしゃーないからね。

岩崎:そうですよね。だからそこが自分の中で、まだやれる自信がないっていうか。いざ「う大、1本映画撮っていいぞ」って言われて初監督ってなると、やっぱ頑張っちゃうじゃないですか。

高須:頑張るよ、そりゃ。自分の持っているもの全部出そうとか思うよね、それは。

岩崎:そのときに変な芝居をしているやつがいたら、「ふざけんなよ」とか思う(笑)。

高須:(笑)。それは本当にしょうがない。時間もないからね。もう撮らなしゃあないもんねぇ。

岩崎:まだその辺ができない人間だから、そういう話が舞い込んでないのかもしれないですね。

3年間の海外経験。英語を学んで強まった日本語への意識

高須:海外行ってたんやね、子どものころ。

岩崎:そうです。親父は、結構アウトゴーイングというか。普通に親父も留学したいみたいな感じで。

高須:いつからいつまで行ってたの?

岩崎:中3の途中から高校卒業まで行っていました。

高須:じゃあ英語ペラペラになるやん。

岩崎:でもやっぱり限度はありました。今45歳まで生きたうちの3年なんで、本当にちょっとの間だったなって、今は思うんですけど。

高須:全然もう英語の耳はない?

岩崎:…まあ、普通の人から見たらあると思いますけど。

高須:すげぇなぁ。うらやましいわ。ええ体験してるやん。英語もう1回学び直したら?

岩崎:でもコントを考えているときや文章を書くときに、きっと英語を学んでいたからだなっていう感覚は結構あります。

高須:ええ! 何それ?

岩崎:「小説家になりたかったら外国語を勉強しろ」みたいな教えも何かで見たんですけど。セリフを考えるときとかに、(英語の文法のように)いきなりこの言葉を言ったほうが…って。

高須:なるほど。

岩崎:普通に日本語でもそういうことをやっているとは思うんですけど。あと日本語に対して、より意識的になっているかもしれないです。当時はなんか英語に対して不便だなとかいろいろ思っていて。何が不便って、「こういう言い回しって日本語ではいいけど、英語だと伝わるのかな?」とか。逆に言うと日本語はネーティブだから、何かありえない言い方をしても…。

高須:なんとでもなるもんね。

岩崎:はい。それこそキングオブコントで『白い靴下』っていうコントをやったときに、「今後のぼくの人生は“ごめんね人生”なんで」っていうワードがあって。「“ごめんね人生”。つまり償いの人生なんだろうな」みたいなワードを作れたりする。そういう自由感…、日本語で遊べるんだなぁっていう感覚を、すごい意識的に持てたかなとは思っています。

日本のエンタメから離れて吸収した海外の笑いのエキス

高須:海外に行った経験は良かったの?

岩崎:親にはふざけんなって言われるかもしれないですけど、結局オーストラリアに行った人生しか歩んでないんで。あのまま高校も日本にいたら、もっと花開いたかもしれないと思って。

高須:(笑)

岩崎:それは分からないじゃないですか(笑)。でもオーストラリアに行っていたこの人生は、すごい良かったなとは思ってます。

高須:ね。

岩崎:中1ぐらいで『ごっつええ感じ』が始まったんですよ。一気にハマって中3までずっと見ていたのに、そこでオーストラリアに行ったから「うわ、見れなくなっちゃう」っていう落ち込みはあったんですよ。あと『少年ジャンプ』が読めなくなっちゃうとか。その辺との分断が1回あったんですよ。日本のエンタメから全部離れるっていう。オーストラリアって、日本とビデオの形式が違っていて見られないんですよ。録っても録っても。

高須:うわぁ、日本の見られへんの?

岩崎:全然。当時はYou Tubeもないじゃないですか。だからもう完全に1回、中3のときに(日本のエンタメと)区切れちゃうんですよ。それがすごいショックだったんですけど、そこでやっぱりいろいろと…。

高須:違うエキスが入ったから、自分の中にね。

岩崎:オーストラリアでは娯楽があまりなかったので、映画をよく観ていたんです。そこで、「あ、ハリウッドのコメディも面白いんじゃん」って。当時は日本からすると、「ハリウッドのコメディつまんない」ってイメージはあったんですけど、「いやいや、面白いじゃん。ていうか(日本のコメディに)近いよ、この芯は」みたいな。

高須:なるほどね。

岩崎:やっぱり人間は共感することでしか笑わないっていうことも分かったりしたんで。そういうところでは、やっぱり(オーストラリアに行って)良かったのかなとは思います。

岩崎う大さんのキャリアの転機|芸人、演劇、評論。不遇の日々を越え、新たな評価を獲得

高須:あなたにとってのキャリアの転機を教えてくださいっていうのがあって。何かキャリアの転機みたいなものってある?

岩崎:やっぱりキングオブコントの2013年で優勝したことが。そこから一応、芸事で飯を食えるようになっていったんで。

高須:本当にそう? やっぱりあそこで?

岩崎:そうですね。その前年に決勝にはいったんですよ。でもそれじゃまったく無理で。やっぱり優勝してから。

高須:やっぱり人の見る目も違うし、タイトルも取ってるもんね。

岩崎:そうですね。あと劇団を始めたのも大きいかなと思っています。

高須:それは何年ぐらい?

岩崎:2015年ですね。

高須:そうか。じゃあキングオブコント優勝から2年後。

岩崎:2年後に始めまして。何年か前に岸田國士戯曲賞※っていう登竜門的な賞にもノミネートされたりして。そこでちょっと脚本の仕事とかも来るようになって。
※劇作家・岸田國士の遺志を顕彰すべく株式会社白水社が主催する戯曲賞。若手劇作家の育成も目的としている

高須:世間が「この人はそういうのも書けんねんな」って分かったってことやね。

岩崎:そうですね。あとつい最近だと、『note』を始めてから審査員をやるようにもなって。

高須:意外といろんな転機がちょこちょこっとあんねんな。

岩崎:ありますね。キングオブコントで優勝した後もあまりパッとしなくて。劇団が賞にノミネートされるまではしばらく不遇というか、本当にギリギリ食えているみたいな。「このままどうなっちゃうんだろう?」みたいな時期もありはしたんですけど。

高須:今ちょっといいよね? う大ってなんか、今いいとこにいるよね。

岩崎:本当ですか? 高須さんから見てそうですか?

高須:2013年のときには「テレビでう大をどう使ったらいいのかなぁ」と思っていたけど、別にテレビだけじゃないじゃない。YouTubeもそうだし、芝居もそうだし、もっと言うと役者としてもそうだし。もっと違うことでも、う大はできるんちゃうかなぁと思うんよね。ドキュメンタリーを撮っても面白いんちゃうかなとか思ってる。

岩崎:ドキュメンタリーですか? それは考えたことなかった。

高須:う大の目線でグッと追い込むような質問は、「うわっ」と思うんちゃうかな。ネタの解説ができるってことは、たぶんそのネタの深読みがちゃんとできているわけだから。ということは人にインタビューするときも、う大なりの質問でだんだん追い込みながら言わせてしまうみたいな。そんなこともできそうな気がするのよ。

岩崎:それ…やりたくないんですけど、なんかうまくいっちゃいそうな気がします。

高須:うまくいっちゃいそうな気するよな。

岩崎:(笑)

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仕事のマイルール|根底に愛と優しさを。どんな表現でもなくしちゃいけない“品”がある

高須:生きていく上でのマイルールみたいなことも聞いてんのよね。

岩崎:結構グロテスクなこととか、人が見たくないようなものがちょっと好きなんですけど、基本はやっぱりそこに愛とか優しさみたいなものはあるべきだと思っているんですよね。それ絶対高須さんもそうじゃないですか。そこはなくしちゃいけない“品”みたいものはあるな、とは。

高須:“品”ね。

岩崎:はい。

高須:行儀悪すぎるのもよくないからね。

岩崎:そこは思っていますね。

高須:確かに。エンタメってそうあるべきやからね。絶対にね。今後の活躍が楽しみなんで、何かあったらまた遊びに来てください。もしぼくが何かできることがあるならば、1回う大っていう役者を使ってみたいと思うぐらいうまかったからね。

岩崎:いや、もう主役にしてください。

高須:いや、主役はないです。

高須・岩崎:(笑)

高須:でも分からんなぁ。

岩崎:もしかしたらピンポイントで(この役には)う大みたいな。

高須:そうね。でも「主役を食うぐらい、彼の演技ってすごかったな」っていう位置のほうがいいと思うけどね。

岩崎:それで。それでいいです。お願いします。

高須:いや絶対なるけどなぁ。

岩崎:俺、高須さんの言うことたぶん、結構くみ取れると思うんですよね。

高須・岩崎:(笑)

高須:本当(笑)?

岩崎:関西と関東の違いはあれども、俺は高須さんと同じタイプの人間だと。

高須:(笑)

岩崎:タイプっていうとあれですけど、いつもすごい共感させていただいているんで。

高須:うれしいです、そう言っていただけると。ありがとうございます。ここからまた回収の日々やからね、笑いの。

岩崎:いやぁ。だからこそ今、忙しくしていたいっていうのもあるんですよね。

高須:そうね。だから忙しくなると思うよ、本当に。

岩崎:はい。ありがとうございます。

――岩崎さんのセンスの秘密が垣間見えるお話、いかがでしたか? 次回のゲストは編集者の鳥嶋和彦さんです。お楽しみに!

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