メディカル業界専任キャリアアドバイザーの転職サポート日記 CRA版

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今、製薬企業が求める臨床開発(CRA)のスキル・経験

2013.03.04

こんにちは。dodaキャリアアドバイザーの砥上 貴恵(とがみ きえ)です。

日本の臨床開発業界はここ数年、非常に早いスピードで変化しています。科学技術の発達によってIT化が進み、またCRO(Contract Research Organization:医薬品の開発支援会社)の台頭によりCRO業界の認知度や技術レベルも向上してきました。それに伴って製薬企業は、開発に関わるあらゆる業務をデジタル化、またアウトソース化して、自社の人件費を抑える傾向にあります。そのため各社の採用は、新卒者・中途入社者ともに門戸が狭くなってきているのが現状です。しかし そのような中でも、CRA(Clinical Research Associate:臨床開発モニター)の経験者を求める製薬企業があることも事実です。製薬企業はCRA経験者に何を求めているのか。今回は3つのスキル・経験についてお話しします。

(1)英語力
国際共同治験が多くなってきていることから、内資・外資、また医薬品・医療機器を問わず、ほぼすべての製薬企業が、CRA経験者に対して英語力を求めていると言っても過言ではないでしょう。外資系製薬企業に多い「メディカルアフェアーズ部門」(開発から市販後まで、トータルでコーディネートする専門組織)のCRAには、薬学や医学に関しての高度な専門知識とともに英語力が特に求められます。TOEIC(R)テストの点数を評価基準にする製薬企業も多くありますが、実際は、実務での使用経験や会話力が求められることがほとんどです。製薬企業によっては「製薬企業の出身だが英語ができないベテランCRA」よりも、多少経験は浅くても「CROで英語を使ってきた若手CRA」を採用したいというケースもあるほどです。今後CRAにとって、英語力は必須のスキルになっていくでしょう。

(2)マネジメント力
30代の求人案件では特に、マネジメント力を求めるケースが増えています。ひと言で言えば、チームのリーダーとしての経験なのですが、より具体的に、製薬企業の出身者であれば「CROを管理したことがあるか」、一方CROの出身者であれば「製薬企業とやり取りをしたことがあるか」という点を判断基準にしている製薬企業も多いようです。冒頭で述べたように、今後は産業構造の変化によって、製薬企業のCRAが減っていくことは間違いない状況なので、その中で働く製薬企業のCRAには、CROを窓口としたプロジェクトの進捗管理などが求められるようになるでしょう。

(3)特定の疾患領域のCRA経験
ここ最近、特定疾患のCRA経験者を採用する製薬企業が増えてきています。その疾患領域とは「中枢神経」と「抗がん剤」の2つです。2011年には、アルツハイマー型認知症領域において、日本で12年ぶりに3つの新薬が発売されましたが、日本で使用されているアルツハイマーの薬は“進行を遅らせる”段階に留まっており、進行を止めたり、回復させたりという段階には至っていません。また「分子標的治療薬」が主流になってきた抗がん剤についても、がんの種類によっては治療法が確立されていない領域です。そのため今後は、この2つの領域において、製薬企業が開発にしのぎを削ることは間違いありません。だからこそ、この領域のCRA経験者は、転職市場におけるキャリアの価値が高いと言えます。

数年前と比べて、製薬企業がCRAに求めるスキルや経験のレベルは確実に上昇しています。高いレベルのスキルや経験はもちろんですが、それに加えて「製薬企業のCRAとして何を実現したいのか」という明確な目的がないと、転職は厳しい状況です。その製薬企業に「転職すること」自体が目的になってしまっていないか、ということを自問自答し、自分が携わることで、組織に、会社に、そして臨床開発という業界に、どう影響を与えたいのかを自分の言葉で語れるようにしておくことが大切です。

砥上 貴恵

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