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CRO トップ3社インタビュー dodaメディカルのキャリアアドバイザーが聞く CRAのキャリアの未来

シミック株式会社

シミック株式会社 代表取締役社長

中村 宣雄

医学博士
京都大学薬学部卒、岡山大学医学部にて学位。 国内製薬会社研究所にて薬理研究に従事。外資系大手製薬会社にて20年以上に渡り臨床開発を中心にマーケティング、学術業務に携わる。2005年にシミック株式会社に入社。常務執行役員を経て、2012年に代表取締役社長に就任。

砥上 貴恵

お話を聞いたdodaキャリアアドバイザー

モノづくり系エンジニア領域のdodaキャリアアドバイザーを経て、メディカル業界専任となり6年の経験を持つ。メディカル業界の中でも、CRAの方を中心に転職をサポート。

20代前半から60代まで幅広い年齢層の方、また医療機関や研究機関から製薬・医療機器メーカーへの転職のサポートなど、臨床開発職において数多くの実績を持つ。企業からも、CRA専任のキャリアアドバイザーとして信頼を得ている。

日本生まれの日本育ちのCROとして、業界を牽引してきたシミック株式会社。日本国内での臨床開発に関する知識、経験、ノウハウではほかの追随を許さない実績を誇る大手CROです。また、内資系CROでありながら、グローバルトライアルを先駆的に手掛けるなど、グローバル展開を視野に入れた戦略も取っています。今後は日本を中心にアジアでのCROビジネスの強化を目指していくことも計画中。世界から高く評価される「日本品質」を武器に戦うCROの魅力に迫ります。

テーマ1 シミックが考えるCRO業界の課題

・CROが臨床試験の主体的立場へ・臨床試験のコスト削減への対応・RBMの導入準備

砥上:

中村さんは、CRO業界の現状の課題は何だとお考えですか?また、シミックでは、今後CRO業界でどのような役割を担っていきたいとお考えですか?

中村:

CROの役割は変化してきています。製薬会社や医療機器メーカーの下請けという位置づけから、社会的責任が大きくなり、GCP(Good Clinical Practice)-:医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の改定により、これまでCROは一部が受託できるとの記載からすべてができるように変わってきています。今までは何か課題が発生した場合、顧客に相談していましたが、自らが責任を持って開発する提案型のCROになっていく必要性を私たちは今や自覚しなければなりません。

CROは、製薬会社や医療機器メーカーのパートナーとして同じ目的意識を持ちながら、互いにリスクを共有してそれに対応することが求められています。リスクシェアリングはコスト面でもそうですが、臨床試験が成功するか否かというリスクをシェアするという意味もあります。この社会的な責任の中にあって、我々CROは、業務の最終的な目的として、新薬を開発するために、サイエンスレベルでのデータを集め、患者様の人権と安全性を守っている大きな使命を持たなければならない立場であり、そのために仕事をしているのだということを社員に伝え続けるようにしています。

また、臨床開発のコストが高いという点は、日本がいまだ抱える課題の一つです。品質の点では劣らないかもしれませんが、アジアや欧米諸国と比較してコスト面では割高であると言われています。業務効率を求めて、臨床開発のやり方に変化が起こることは相違なく、現状の少々オーバークオリティな側面を変えていく必要は出てくるでしょう。効率性を重視するリスクに基づくモニタリング(Risk-Based Monitoring 以下RBM)が、今後日本でも浸透していくことが予想されるため、当社では2013年からRBMに対応するための検討チームを設け、RBMの考え方を基本としたサンプリングSDV、リモートSDV、オン・オフサイトモニタリングなどを総合的に検討しています。現在、約100本のプロトコールを当社では動かしていますが、その中で実際にRBMを取り入れている臨床試験もいくつかスタートしています。また、弊社に蓄積された膨大な治験経験や最新データのさらなる有効利用についてIT部門との協議を進めており、顧客に対する利用価値の高いRBM提案を目指しています。一方、CRAに向けては、近い将来起こり得るモニタリング手法の大改革に柔軟に対応できるよう、RBMを含む最新のモニタリング手法の考え方や動向に関する研修を準備しています。

テーマ2 シミックの強み

・内資系CROならではの国内事情に精通した知識と経験・日本の薬事法に強い専門家集団

砥上:

そうした課題を踏まえて、業界を大手CROとして牽引していらっしゃるシミックの強みは何でしょうか?

中村:

日本で生まれて日本で発展したCROであることが、やはり当社の一番の強みであると思います。ローカルであるからこそ、日本国内のさまざまな状況、薬事法、医療環境を充分に把握できるのです。また、日本式の経営も熟知しており、特に人を大事にする経営方針は、当社で社員が働く意欲を喚起する上でも有効です。当社に転職した社員に話を聞くと、シミックは社員を大切にしており、サポート体制が非常に優れているという声が上がってきています。当社では、一貫して人を大切にし、育成する経営を実践することで、社員の帰属意識を高め、より質の高い仕事をする人材を育成できていると自負しています。

CROのみならず、CSOやCMOなどワンストッププロバイダーとして多様なサービスを提供できるのも当社の強みの一つです。薬事法のコンサルテーショングループも日本でトップクラスのグループを持っており、CMSやバイオの分野でも100人近い専門家集団を抱えています。こうした特性が生粋の内資系CROという特性とあいまって、「シミックだからこそ」と顧客にご依頼いただけるような関係性を培ってこられたのだと思います。

当社は、内資系CROでありながら日本でグローバルトライアルを先駆的に成功させたCROでもあります。グローバルトライアルの多くの実績をもとに医療機関、医師情報、モニタリングツールを活用して、グローバルトライアルを実施する点でも外資系CROに決して引けは取らないと思います。

テーマ3 シミックで描けるキャリア

・CRAとして専門性を深められる・アジアのCRO業界での活躍の可能性

砥上:

シミックで描けるキャリアの可能性についてお聞かせください。

中村:

CRAについて言えば、当社は、一人1品目の専任制を基本的に取っています。1品目の治験に集中することができ、その品目についてよりきちんと勉強し責任を持って取り組んでいくことができます。このようにして仕事に対する質とモチベーションを上げることでキャリアを深めていくことができます。

時代の変化にいかに呼応していくかは、キャリア形成を考える上でも非常に重要なことです。時代を先取りしながら、自己研鑽を積んでいくことが求められますが、当社では社内での教育体制を充実させることで、そうした自己研鑽の場も提供しています。たとえば、シンガポールをはじめとするアジア諸国への海外留学制度を設けています。また、当社に勤務しているネイティブの社員がコーディネートする形で、カルチャーギャップによるミスコミュニケーションを最小化するために、「クロスカルチャーワークショップ」を開催しています。海外との接点がある職種の社員が毎回20名程度で、これまで実際にあった成功事例や失敗事例を題材にディスカッションし、それぞれのプロジェクトにフィードバックしています。グローバルトライアルが増加する傾向にある中、英語はもちろん、ダイバーシティな環境の中でコミュニケーションが有効に図れるスキルを、ワークショップを通じて徹底的に教え込ませています。

こうしたグローバルな素養を持った人材を活かしながら、今後はシンガポールをベースに、周辺アジア諸国でのモニタリング強化を計画しています。日本だけでなく、アジア全体をカバーするCROを目指し、特にグローバルトライアルではオンコロジーの領域が増加しているため、この領域の充実を図っていきます。当社はオンコロジーのノウハウをかなり持っており、200人以上のオンコロジー領域の人材も抱えています。こうした環境があるため、内資系CROに属していながらもグローバルなキャリアプランを描くことが当社では可能なのです。

キャリアアドバイザーの総括 AFTER THE INTERVIEW

中村さんとのお話の中で特に印象に残ったのは、日本生まれのCROとして業界を牽引してきた人材を大切に育成する日本流の経営方針です。一人1品目の専任制の採用や、クロスカルチャーワークショップの開催などを通じ、時代や市場環境の変化に対応できるCRAの育成に力を入れている様子が伝わってきました。日本で培ったノウハウをベースに、シンガポールを中心としたアジア諸国での展開において、活躍できるフィールドが多くある企業であると感じました。

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砥上  貴恵

精神面でのサポートも含めたご支援がモットーです

得意分野(経歴)

【臨床開発専任】
モノづくり系エンジニアの方のdodaキャリアアドバイザーを経て、メディカル業界専任に。メディカル業界の中でも、臨床開発(CRA)関連の方を中心にお会いしています。20代前半の方から60代の方まで、幅広い年齢層の方の転職サポートや、医療機関や研究機関から製薬・医療機器メーカーへの転職のご支援など、臨床開発職において数多くの実績があります。また企業からも、臨床開発専任のキャリアアドバイザーとして、直接、採用情報を得ています。

メッセージ

非常に大きなパワーを使う転職活動。転職活動に関してのノウハウや、業界・企業の情報提供はもちろん、精神面でのサポートも含めたご支援がモットーです。“その場限り”の「転職支援者」ではなく、キャリアについて悩んだ際に、いつでも、何度でもご相談いただけるような「キャリアアドバイザー」を目指しています。

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