障害者雇用におけるエントリーシート(ES)の書き方とポイント

エントリーシート

エントリーシートは、就職活動の際に応募者がどのような方なのかを見極めるために、企業から最初に提出を求められる書類です。作成するときにはポイントをしっかりと抑えておくことが大切です。しかし、障害者雇用で就活をされている方は、エントリーシートでどこまでの情報を伝えるべきなのか、自身の障害についてどのように記入すればいいか、と悩む方は多く、判断も難しいと思います。
この記事では、障害者雇用におけるエントリーシートの書き方とポイントについてご紹介します。

エントリーシート(ES)とは

エントリーシートとは、就職活動において企業へ提出する「応募書類」のことです。選考前に提出をして企業が最初に応募者を見極めるための大切な書類です。一般雇用だけでなく障害者雇用の際にも必要とされ、面接選考の参考資料として使用されたり、企業によってはエントリーシートの内容で合否が出されたりするケースもあります。
エントリーシートは企業独自のフォーマットで作成されていることが多いですが、主に氏名や住所、学歴などの基本情報に加えて、自己PRや学生の時に力を入れていたこと、志望理由などを記入します。

エントリーシート(ES)で企業はどこを見ている?

エントリーシートで企業が見ているポイントは、「どのような人物か」「どれくらいの熱意があるか」「入社後に活躍できそうな人かどうか」です。どんなに優秀な人材であっても、企業が求める人物像でなければ採用してもらえる可能性は低いでしょう。採用担当者は、自己PRや過去の経験、志望理由などから、応募者が自社の企業理念や求めている人材とマッチしているかどうかを判断します。そのため、エントリーシートを作成する際は、最初に企業研究や自己分析を行うことが重要です。自分の一番の強みをアピールするのではなく、応募先企業が求める人材と、自身の強みが合致している部分を意識しながら作成を進める必要があります。

また、エントリーシートにはさまざまなエピソードや過去の経験を記入します。誤字脱字の有無はもちろん、読み手に分かりやすく具体的な内容が書かれているかどうかも、採用担当者が見ているポイントです。選考に進むためには、これらのポイントをしっかりと抑えて、採用担当者の目に留まるエントリーシートを作成しましょう。

エントリーシート(ES)で自身の障害をどう伝える?

障害者雇用で就職活動を行う際、エントリーシートを作成するときに、障害のことを書くべきか悩む方も多いでしょう。では、自身の障害についてどのように伝えればいいか、どこまで伝えた方がいいのかを解説します。

エントリーシートに障害について書いたほうがいい?書かないほうがいい?

まず、ご自身の障害のことはエントリーシートに書くことをお勧めします。特に障害者雇用の場合、企業側は障害の特性を理解したうえでどのような配慮が必要かを知りたいと思っているケースが多いです。エントリーシートにあらかじめ障害について記入しておくことで、スムーズに話が進むでしょう。

しかし、企業にとって必要な情報を正確に伝えることは難しいです。本人が伝えたい情報と企業が知りたい情報が一致するとは限らないからです。そこで迷ったり不安に思ったりする場合は、就職エージェントを活用することをおすすめします。キャリアアドバイザーに相談することで、内容を確認してもらったり、企業が必要とする情報を代わりに教えてくれる場合もあります。
また、エントリーシートに記載した内容については、面接の際に質問に受け答えができるように準備しておくことが大切です。

障害についてどこまで伝えたらよいのか

選考は企業と応募者がお互いを知る場です。一緒にはたらくことになった場合に配慮が必要な場合は、情報を具体的に伝えましょう。もし記載する場合は、その説明に、これまで障害に対してどのような工夫をしたか、その過程でどのように自身が成長できたかなどを絡めたエピソードを加えると、自己PRや自身の強みがより企業に伝わりやすくなります。

どれほどの情報を伝える必要があるのか迷ったら、就職エージェントを活用してプロのキャリアアドバイザーに相談するのがお勧めです。

エントリーシート(ES)の書き方のポイント

ここからはエントリーシートの書き方のポイントを3点ご紹介します。

結論を先に書く

エントリーシートの自己PRや志望動機といった項目では、「結論から先に記入する」ことがポイントです。結論を述べたあと、その根拠となる理由や具体的なエピソードを記入し、最後にもう一度結論をまとめるという順番を意識して作成しましょう。結論を先に述べることで、自身が一番伝えたいことが明確になり、読み手にとって分かりやすい文章になります。

具体的なエピソードを盛り込む

志望動機や自己PRでは、根拠となるエピソードを交えながら伝えることで話の信憑性が高まり、より伝わりやすくなります。障害と付き合っていく中で見つけた自身の強みや、過去の経験から学んだことなど、具体的なエピソードを盛り込んで作成しましょう。

入社後にどんな活躍ができるかをイメージさせる

エントリーシートでは、採用担当者に入社後活躍してくれる人材であると思ってもらうことが大切です。そのためには自身の強みや得意なこと、これまでの経験・エピソードの棚卸しを行い、「今後どのような業務に取り組みたいか」「実際に入社してからどのような貢献ができるか」を書き出すことが大事です。応募先企業の事業内容を基に、入社後に叶えたいことや応募先企業だからこそ活かせる自分の能力を明確に伝えましょう。

エントリーシート(ES)の書き方

エントリーシートイラスト

上記で紹介したポイントを抑えながら、エントリーシートを書いてみましょう。ここからは、「自己PR」「志望理由(志望動機)」「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」の項目ごとに書き方と例文をご紹介します。

自己PR

自己PRでは、応募者の人柄や特徴が企業とマッチしていることや、入社後成果を出すための能力をアピールします。自身の強みや得意なことと具体的なエピソード、その強みを入社後にどのように活かしたいかを伝えましょう。

自己PRの具体例

私の強みは持ち前の根気強さです。1年前に事故で左腕に障害が残りました。当時は事故のショックもあり、不自由な生活に慣れませんでしたが、根気強くリハビリを続けたおかげで今ではパソコン操作や電話対応もできるようになりました。メモを取りながらの電話も、ヘッドホンを用いて行うことができます。これまでの経験から、諦めなければどんなことも乗り越えられることを学びました。
入社後も大変なことはたくさんあるかと思いますが、自身の障害と向き合い、業務に携わっていきたいと思っています。

志望理由(志望動機)

志望理由(志望動機)では、なぜこの企業に応募したのかを明確に伝えます。企業の特徴や業務内容を理解したうえで、その企業でなければ達成できない目標を結び付けて作成しましょう。

志望理由(志望動機)の具体例

貴社のSNS運営代行を通じて、福祉業界の取り巻く環境や状況を変えたいという強い想いと、それが現在の日本の福祉の課題の解決に繋がるという点に魅力・共感いたしました。私自身も発達障害があり、福祉に助けられる事もある一方で、課題も感じております。貴社の一員となり、大きな視野で課題解決を担いたいと考えております。
また、これまで大学でもExcelやWordの基礎知識、HTMLとCSSの基礎、Adobe Illustratorの基礎なども学んでおりますので、縁の下の力持ちとして業務においてもお役に立てるのではないかと考えております。

学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)

採用担当者は、学生時代に具体的に何に取り組んだのか、活動内容そのものを知りたいわけではありません。取り組もうと思った理由や、どのような目標・課題があったのか、どのように達成したのか、どんな結果になってどのような強みを得たのかなどを通して、応募者の人となりを知りたいと思っています。ここでは、自身がどのような行動をして何を得たのかを、エピソードとともに伝えるように意識しましょう。

学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)の具体例

学生時代はアパレルのアルバイトを4年間続けました。接客を通じてコミュニケーション能力、そして販売を通じて売り上げなども意識するという企業視点を身につけたいと考え選択いたしました。
当初は初めてお会いするお客様へ積極的に自分から話しかけに行く事は勇気がいりましたが、お客様の意図や要望を汲み取る事を意識する事で好意的な反応を得られ、自信に繋がりました。結果的に、売り上げ貢献もする事が出来、また最終的には「あなたに選んでもらいたい」というお言葉をいただくなど、相手の立場に立ち、寄り添う事が大切だと学びました。
この経験を活かし、チームメンバーと積極的にコミュニケーションを通じ協調して貴社へ貢献したいと考えております。

ガクチカの書き方について詳しくは以下の記事も参考にしてください。

エントリーシートを書くときのマナー

最後に、エントリーシートを書くときのマナーについて簡単にご紹介します。

普段の話し言葉は使わない

エントリーシートでは話し言葉を使用することは基本的にNGです。話し言葉で記入すると相手に対して失礼な印象を与えてしまいます。

顔文字や記号は使わない

エントリーシートでは顔文字や記号は使用せずに、文章のみで記入しましょう。「!」や「?」も基本的にNGです。

大きな余白はできるだけなくす

エントリーシートで余白があると熱意や誠意を感じてもらいにくくなります。自己PRや志望理由などの欄も、8割程埋めるのが基本です。

手書きの場合、読みやすい文字でていねいに記入する

エントリーシートを手書きで作成する場合は、相手が読みやすい文字で記入しましょう。文字が小さくなりすぎないよう意識し、ていねいな字で記入します。

誤字・脱字に注意する

誤字・脱字も基本的にNGです。エントリーシートを書き終えたらもう一度全体を確認し、誤字・脱字がないかをチェックしましょう。また、間違えた部分を二重線や修正テープなどで書き直すこともNGです。

障害者雇用の就活はdodaチャレンジにおまかせ

就活する学生

dodaチャレンジは、障害がある方の就活を一貫してサポートする、障害者のための就職エージェントです。障害者雇用に関する知識や経験豊富な専任のキャリアアドバイザーが、ていねいなヒアリングを通じて一人ひとりの障害特性や程度に合ったお仕事をご紹介します。

障害者雇用の就職活動は情報に限りがあり、自分ひとりで行うには時間や労力の負担も大きくなります。障害者専門の就職エージェントを活用することで、非公開求人を紹介してもらえたり、企業に言いにくい就労条件の確認・交渉を代行してもらえたりするほか、エントリーシートをはじめとした書類の添削や面接対策まで手厚くサポートしてもらえます。障害者雇用についての正しい情報を収集し、今後長くはたらき続けられる求人探しを成功させるためにも、就職エージェントの活用はお勧めです。

まとめ

エントリーシートは、一般雇用や障害者雇用にかかわらず、就職・転職活動を行ううえで採用担当者の目に留まる書類を作成することが大切です。エージェントを活用することでより企業にアピールできるエントリーシートを作成することができます。作成する際に不安に思うことがあれば一人で悩まず、ぜひお気軽にご相談ください。

公開日:2023/12/19

監修者:入口 聖徳(いりぐち きよのり)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部
新卒支援グループマネジャー
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • 大手ブライダル業界、外資系生命保険での営業、高齢者向けのベンチャー企業での営業を経て、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース株式会社)に入社。dodaチャレンジのキャリアアドバイザーとして身体障害のある方や未経験職種へのキャリアチェンジなどご支援実績多数。現在は新卒学生専門の就職支援グループのマネジャーとして同領域のマネジメントやプロジェクト推進に関わっています。

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