ガクチカの書き方とは?コロナ禍で活動の減った学生は何を書くべきか

面接でガクチカについて話す就職活動中の学生

新卒採用に向け、就職活動をする学生にとって必須ともいえるのが「ガクチカ」の準備でしょう。面接やES(エントリーシート)では、必ずガクチカに関する回答を求められるためです。
しかし、昨今のコロナ禍では学生が自身のガクチカを見つける手段も限定的となり、ガクチカが思い浮かばないとお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、コロナ禍で行動を制限されてきた学生に向けた、ガクチカの書き方・まとめ方をご紹介します。

ガクチカとは?

そもそも「ガクチカ」とは何を指しているのでしょうか。
ガクチカとは「学生のときに力を入れたこと」の略称です。ESには「学生時代に力を入れたことを記載ください」といったような項目が必ずあり、面接でも多くの企業から「学生時代力を入れてきたことは何ですか?」と質問されます。
そのため、学校生活の中で特に一生懸命取り組んだことや頑張ってきたことなどを文章にまとめておかなければなりません。これは、一般雇用だけではなく障害者雇用であっても必要なことです。
また、1つの応募企業から、ESと面接の両方で同様にガクチカについて問われることがあります。その場合、それぞれの回答に一貫性を持たせる必要があるため、あらかじめ内容を整理しておくことが大切です。

コロナ禍で「ガクチカ」が書けない学生が増加?

ガクチカに悩む学生の手元と机に置かれたマスク

ガクチカとしてまとめられるご自身の活動には、さまざまなものがあります。例えば、積極的に学校での研究・実習に注力した場合は、学業に関することをガクチカに盛り込めます。
学業以外の課外活動もガクチカに含めることができますが、コロナ禍の影響で課外活動が制限され、新たな悩みが生まれている状況です。

コロナ前までのガクチカの定番

学内のサークル活動やイベントの企画・運営、アルバイトや留学、ボランティア活動など、学業以外の課外活動について取りあげることが、従来のガクチカの定番でした。しかし、コロナ禍を経て事情は大きく変わりつつあります。

コロナ禍によって起こった変化

コロナ禍以前は、ガクチカの題材として定番だった課外活動の大半が、昨今では感染症対策のため満足に行えなくなりました。このことから、題材が見つからずガクチカをまとめられない学生が増加している状況です。
具体的には、以下のような状況によって学生の課外活動が大きく阻まれています。

  • 学内イベントが中止になったり、オンライン配信に変わったりしたことで、スタッフとしての活躍の場がなくなった
  • サークル活動が長期休止状態となり、紹介できるような経験を積めなかった
  • 緊急事態宣言などによる店舗や工場などの時短・休業・閉店でアルバイトに入る機会が減ったり解雇されたりしたため、話せることがない
  • 予定していた実習や留学が中止になってしまった など

企業が「ガクチカ」を聞く理由

企業が新卒採用でガクチカを重視する理由は、応募者の人物像をより深く理解することにあります。どんな課外活動を行っていたかなど、経験そのものを知りたいわけではありません。取り組んできた各種活動の内容やES・面接での伝え方を通して、応募者の人柄や働き手としての可能性を企業側に把握してもらうことが、ガクチカの持つ役目です。
コロナ禍により、これまでガクチカから読み取っていたような学生の人物像が見えにくくなり、求人する企業側でも困っています。

冒頭でも触れましたが、ガクチカの題材は必ずしも課外活動に絞る必要はありません。コロナ禍の限られた状況の中でも、普段から取り組んできた学業や、オンラインを介した課外活動などの経験を踏まえた自己アピールをすることは十分に可能です。

コロナ禍のガクチカの事例

コロナ禍では課外活動や学外での活動が大きく制限されたため、ガクチカの題材に適した活動がほとんどできなかった学生も数多くいます。そのような厳しい状況で、就活生たちはどんなガクチカをアピールすると良いのでしょうか。
ここでは、どのような方向性でガクチカの内容を作ると良いのかを、具体的な事例を交えながら解説します。

1.困難に対して向き合える人物PR

コロナ禍の影響で非対面での対応や外出自粛が求められ、思い描いていたような学生生活が送れなかった方も多いことと思います。特に障害のある方は、障害内容によって生活や学業にさらなる制限が出たり、悩みが大きくなったりしたケースもあるのではないでしょうか。オンライン授業が増えたことにより、暗黙の了解や指示語の理解が困難で悩んだ方もいるかもしれません。
しかしその状況を受け、「コロナ禍で制限を受けることや困難にぶつかることが多くあったが、その時勢下であえてどのようなことに取り組めたか」をPRできます。コロナ禍特有の制限を学業や生活で受けていた場合、その状況をどのように捉え、どう対応したかを具体的にまとめると良いでしょう。

例えば、「留学ができなくなった代わりにオンライン英会話を活用して語学を習得した」、「海外からの留学生とオンライン会議で交流するボランティア活動に積極的に参加した」などの題材をガクチカに活用できます。
活動した事実を述べるだけでは強みにつながらないかもしれません。しかし、コロナ禍という困難をいかに乗り切るために努力し、どのようなアクションをとったかというエピソードを交えて伝えることで、より説得力のあるガクチカとなるでしょう。

もちろん、ガクチカを必ずしもコロナ禍に絡める必要はありません。「障害に起因する学生生活での困りごと克服のため日々取り組んだこと」、「苦手意識のあることについて、日常的にコツコツ取り組んで得た成果」などを題材にすることもできます。

2.学業への取り組み方PR

ガクチカの題材には、もちろん学業に関することも盛り込めます。特に熱心に取り組んだ科目についてふれるのも、ご自身の強みのアピールとなるでしょう。

例えば、成績証明書を用意して学業での頑張りをPRする方法もあります。具体的にどんな科目に力を入れたかを、熱意を込め分かりやすく説明しましょう。応募企業の人事に、「1つのことに集中して取り組むことができる人材」、「要点をしっかりまとめて説明できる人材」と評価される可能性があります。

コミュニケーション能力のアピールといえば、サークル活動やアルバイトの経験が役立つと考えている方は多いかもしれません。実は、学業への取り組み方やそれらを説明する力で、コミュニケーションに関する評価をしてもらえることもあります。人と関わる課外活動がもともと苦手な方やコロナ禍の影響でできなかった方は、このような方法でコミュニケーション能力をアピールすることもできます。

ガクチカの書き方・まとめ方

ガクチカの内容が決まっても、何から書き出して良いものか悩んでしまう方も多いでしょう。障害のある方は、自身の障害のことも含めてまとめようとすると複雑になってしまうケースがあります。そのため、整理しやすいように、あらかじめ項目を書き出しておくのがポイントです。
ここでは、ガクチカをまとめる際に書き出しておきたい具体的な項目をご紹介します。

何に取り組んだか

まずは、学業・サークル活動・アルバイトなど、何に取り組んだのかを具体的に書きましょう。面接などでは口頭による回答を求められるため、結論から分かりやすく書くと活用しやすくなります。

なぜ取り組んだのか

上記で提示した活動に取り組んだ理由や動機をまとめておきます。例えば、飲食店でのアルバイトを題材にする場合、「仕事の現場を体験したいと考え、アルバイトでは自分に最も身近な飲食業を選んだ」など、能動性が感じられる理由が望ましいでしょう。

どのように状況を捉えていたのか

活動をする際、どのように状況を捉え、どのような姿勢で臨んだかをまとめます。現在であれば「コロナ禍という特殊な状況をどのように捉えていたか」、「自身の活動にどのような影響があったのか」を取りあげるのも良いでしょう。

どのように取り組んだのか

乗り越えてきたことを言葉にすることが難しい場合もあるでしょう。そのときは「どのように取り組んだのか」を言葉にするとまとめやすくなります。状況を捉えて取り組み方を決めた上で、実際にどのような取り組みを実践したかを書き記しましょう。ガクチカでは、状況の捉え方とそれによる取り組み内容が特に重視されるため、これらの部分に重点を置きます。

取り組んだ結果どうなったか

活動を通して、ご自身が得られた成果についてまとめます。数値や順位を明記し、定量的な判断がしやすい形にすることが望ましいです。
ただし、サークル活動など結果を定量的に表せない内容の場合は、「活動する以前と比べてどのような点がどのくらい成長できたか」などを盛り込むと良いでしょう。

取り組みから得た気づき

活動の成果だけではなく、どんな気づきや学びを得てご自身の成長につながったかを記しておくことも大切です。単に身についたことを書けば良いのではなく、入社後の業務につながるものとします。
例えば、「○○という課題に立ち会い、チームで対策を立てて解決にあたることを学べた」、「戦略を練って実践し、見直しを繰り返せば成果に近づけることを学んだ」など、ビジネスに応用が利く内容がおすすめです。

ガクチカを書く際のポイント

ガクチカのポイント

ガクチカをまとめるときは、特に以下のポイントを押さえて応募企業の人事に伝わる内容に仕上げましょう。

応募企業が求めていることは何かを考える

企業が就活生に何を求めているのかを必ず意識し、内容に盛り込みましょう。もしご自身の認識と応募先のニーズにズレがあると感じられる場合は、それを解消した上でまとめます。

周りの人に確認してもらう

内容をまとめたら、一度周りの先輩や友人などにガクチカを確認してもらいましょう。就活を経験した先輩のチェックももちろん重要ですが、就職エージェントなど就活のプロに添削してもらうと、公正な目線から、より意図に沿ったアドバイスが得られます。

うそや誇張は絶対にNG

事実の歪曲や誇張、虚偽、捏造は、必ず相手に伝わってしまいます。確実にマイナス要素となるため、当然ながら避けましょう。
事実をありのままにまとめたつもりでも、あまり大げさな表現をすると相手に悪い印象を与えることもあります。客観的に判断をしてくれる第三者にガクチカを見聞きしてもらい、受けた印象を聞いて参考にすると良いでしょう。

就活で不安になったらdodaチャレンジに相談を

dodaチャレンジでは、障害がある方の就職活動支援を行っています。単に求人紹介にとどまらず、就職に関するお悩み相談から応募企業との仲介、書類選考・面接対策のアドバイスなど、障害者の就職活動をトータルサポートします。

新卒入社をめざす障害のある学生も、dodaチャレンジがしっかりサポートいたします。ガクチカの作成だけでなく、面接対策や障害配慮の伝え方など、就活に関するさまざまな情報をご提供。プロが適切なアドバイスを行い、就活成功へとつなげます。
学生生活ではコロナ禍での困難が多かったかもしれませんが、この苦境を乗り切って手にした強みをしっかり生かし、就活に臨みましょう。

またdodaチャレンジでは、ご自身だけでの求人検索では見つけられない企業の推薦や紹介を受けられることも大きなメリット。大手企業・優良企業入社への道が、dodaチャレンジで開けるかもしれません。

まとめ

コロナ禍での生活を経て、自身のはたらき方や就労環境に対する考えも変わり、志望企業選びの段階でも悩みが増えているのではないでしょうか?また「急にオンライン就活といわれても何から準備すべきか分からない」、「対面での就職活動は感染対策面で不安」など、障害者の就活には戸惑いも多くあると思います。
就活での困りごとがあれば、ぜひdodaチャレンジまでお気軽にご相談ください。ご希望の就活スタイルや志望業種などをしっかりヒアリングし、障害配慮などを踏まえた就活対策をご提案します。

公開日:2022/4/19

監修者:木田 正輝(きだ まさき)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士
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