職業訓練とは?障害者雇用のためのコースや受講の流れを解説
「職業訓練」は、就職・転職のための知識・スキルを習得するためのサービスです。職業訓練には、障害者の方に向いているコースもあり、就職・転職に役立つさまざまなスキルを身につけることができます。本記事では、障害者の方が就職活動・転職活動の幅を広げるために役立つ、職業訓練の特徴や種類、受講の流れについて分かりやすく解説します。
目次
職業訓練とは?
職業訓練について、次のポイントから解説します。
- 就職・転職に備えてスキルを習得できるサービス
- 講座修了後はハローワークで仕事を紹介してもらえる
- 職業訓練は無料で受講することができる
就職・転職に備えてスキルを習得できるサービス
「職業訓練」とは、就職・転職に役立つ知識やスキルを習得できるサービスです。受講できる科目は、事務や簿記のほかに、プログラミングなど多岐にわたります。職業訓練は基本的には公的な制度で、厚生労働省の公共職業訓練は「ハロートレーニング」と呼ばれており、都道府県が運営しています。
そのほかに、業務委託を受けた民間機関による求職者支援訓練も利用可能です。いずれの職業訓練でも、障害者の方を対象とした科目やコースも実施されています。
講座修了後はハローワークで仕事を紹介してもらえる
職業訓練の最終的な目標は、内定を獲得して就職・転職を成功させることです。そのため、知識やスキルを身につけることはもちろん、ビジネスマナーや面接対策などもカリキュラムに組み込まれている場合があります。職業訓練の講座を修了したあとは、経歴や習得したスキルに合う就職先をハローワークが紹介してくれるため、就職活動・転職活動が行いやすくなります。
職業訓練は無料で受講することができる
職業訓練は基本的に無料で受講できるため、求職中で経済的な余裕がない場合でも安心して利用できます。さらに、条件を満たすことで「通所手当」として、交通費の支給を受けるも可能です。後述する「障害者向け職業訓練」の場合は、受講料に加えてテキスト代も無料となります。なお、一定の条件を満たすことで、月額10万円の「給付金」を受けることもできるため、ハローワークに相談してみましょう。
職業訓練で受講できる代表的なコース
障害者雇用の職業訓練では、主に次のようなコースが受講できます。
- 経理事務
- 医療事務
- Web制作
- プログラミング
- 介護関連
- 設備管理
- 宅建
- 建築設計
このように、さまざまな分野・職種ではたらくためのコースがあるため、自身の目標に合うものを選びましょう。
職業訓練は主に3種類のものがある
職業訓練には次の3種類のものがあり、それぞれ受講条件や対象者などが異なります。
- 公共職業訓練
- 求職者支援訓練
- 障害者向け職業訓練
公共職業訓練
公共職業訓練は、現在失業中で雇用保険を受給中の人を対象としたもので、国・都道府県が公的施設や民間機関などに委託して運営されています。受講料が無料で、さらに雇用保険や通所手当などを受給しながら、就職・転職に必要な知識やスキルを身につけることができます。
求職者支援訓練
求職者支援訓練は、雇用保険を受給できない人が対象となります。失業中でも雇用保険を受給できない場合や、自営業やフリーランスを廃業した場合などに利用可能です。都道府県が民間機関に委託して運営されており、受講手当や通所手当などを受けながら、知識やスキルを習得できることがメリットです。
障害者向け職業訓練
障害者向け職業訓練は、障害者の方が対象となる職業訓練です。公共職業訓練や求職者支援訓練と同様に、就職・転職のために必要な知識やスキルを身につけることができます。受講料に加えてテキストも無料なので金銭的な負担はなく、さらに前述した月額10万円の給付金も条件を満たせば受給可能です。
障害者の方が職業訓練を受講するまでの流れ
障害者の方が職業訓練を受ける場合は、次のステップで受講手続きを行いましょう。
- ハローワークに相談する
- 受講の申し込みを行う
- コースの選考を受ける
ハローワークに相談する
まずはハローワークに「職業訓練を受講したい」と相談しましょう。希望の職種や現在のスキルなどについて伝えると、どの講座を受ければいいか教えてもらえます。受講するコースが決まったら、説明会に参加して、カリキュラムや講座の内容などについて確認するのがおすすめです。職業訓練では、途中で止めてほかの講座に変えることは難しいため、丁寧に検討してから選ぶことが大切です。
受講の申し込みを行う
説明会に参加して「自分に合うコース」だと分かったら、次の書類を用意して申し込み手続きを行いましょう。
- 受講申込書
- 証明写真
受講申込書はハローワークで受け取ることができ、証明写真は基本的には4×3cmのサイズのものが必要です。なお、公共職業訓練を受講する場合は「雇用保険受給資格者証」も必要になります。
コースの選考を受ける
職業訓練は必要な対象者に行われるものなので、希望者が必ず受講できるわけではなく、所定の選考を通過しないといけません。選考手順や内容はコースごとに異なり、書類選考のみ行われる場合や、筆記試験や面接が必要なことがあります。選考を追加した場合は、期限内にハローワークで手続きすれば、職業訓練が受けられるようになります。
障害者の方には「就労移行支援」もおすすめ
これまで職業訓練について解説してきましたが、職業訓練と類似するサービスに「就労移行支援」というものがあり、障害者の方に特化した就労支援が受けられます。就労移行支援について次のポイントから解説します。
- 就労移行支援は障害者の方に特化したサービス
- 就労移行支援は実務経験が少ない人に向いている
- 就労移行支援事業所「ミラトレ」は訓練から転職までサポート
就労移行支援は障害者の方に特化したサービス
就労移行支援は、就職・転職に必要な知識やスキルを取得するための訓練や、転職活動の支援などを行うサービスです。職業訓練との大きな違いは、職業訓練が障害の有無に関係なくサポートを提供するのに対し、就労移行支援は障害者の方に特化していることです。
就労移行支援では、障害特性に配慮した訓練を受け、自身の目標に合うスキルを身につけてから転職先を探せるため、理想の職場に出会いやすくなります。なお、就労移行支援は障害者手帳は必須ではなく、 自立支援医療や医師の診断書があれば、障害福祉サービス受給者証の発行対象となるため就労移行支援事業所を利用できます。
就労移行支援は実務経験が少ない人に向いている
就労移行支援は、実務経験が少ない人に向いています。例えば、これまで障害特性によりはたらくことが難しかった方や、これまでとは別の職種に転職したい方は、職業訓練よりも就労移行支援が適しています。就労移行支援では、転職に必要な基礎知識やスキルを丁寧に習得できるため、しっかり準備したうえで転職できることが魅力です。
就労移行支援事業所「ミラトレ」は訓練から転職までサポート
パーソルダイバースが運営する就労移行支援事業所「ミラトレ」では、希望する業種や職種に合わせたトレーニングが受けられます。一人ひとりの障害特性に配慮したトレーニングで、自身の障害と向き合いながら仕事を進める方法や、はたらき続けるために必要な知識とスキルが身につきます。
また、障害者向け転職・就職支援サービス「dodaチャレンジ」と連携した就職先候補の案内により、受講後の就職率95%・就職後の定着率97%と実績も確かです。
障害者の方の就職・転職には「dodaチャレンジ」がおすすめ!
障害特性により一般就労が難しかった方や、離職後の再就職を目指す方は、職業訓練で知識やスキルを習得したり、就労移行支援で職業準備性を整えたりする必要があります。そのうえで、障害特性に合った業務に従事することや、障害に理解・配慮のある環境ではたらくことが、障害がある方には特に大切です。
現在の職場ではたらき続けることに負担・不安を感じている方や、これから障害特性に合った仕事で就職を目指している方には、転職支援サービス「dodaチャレンジ」がおすすめです。dodaチャレンジでは、さまざまな障害のある方が安心してはたらける企業の求人を紹介しています。キャリアアドバイザーへの相談も無料で行えるので、就職や転職でお悩みの場合はこの機会にぜひご相談ください。
まずは、キャリアアドバイザーに転職相談を
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でお気軽にご相談ください
転職について不安なことも
障害者雇用の知りたいことも
キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2024/8/29
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士