緑内障がある方の仕事選びのポイントとは?支障をきたす業務と最適な職場環境
緑内障になると、これまでどおりはたらけるのか、仕事ができない場合にどうすればよいのかなど、さまざまな不安に駆られることでしょう。しかし、緑内障は症例の多い障害であり、適切な治療を施せば症状を食い止められるうえ、視野と視力を保つことも可能です。そのため、仕事に支障がなければ現状のままはたらき続けられます。
ただし、業務の内容によっては、緑内障がある方に不向きな仕事もある点に注意しなければなりません。また、障害があることを会社に言うべきかどうかも悩みどころですよね。
この記事では、緑内障の方が避けるほうが良い業務と、向いている仕事の特徴をご紹介します。緑内障で仕事を辞めるべきか迷っている方や、自分に合ったはたらき方を探している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
緑内障とは
はじめに、緑内障とはどのような障害なのか、特性と種類・分類、注意事項を確認します。
緑内障の症状
緑内障とは、視野の欠損・狭窄を主症状とする障害です。日本人の40歳以上の約5%、つまり20人に1人に緑内障があるといわれていることからも分かる通り、誰もが発症する可能性があります。症例が多いとはいえ、もし末期まで治療せずにいた場合、失明することもある恐ろしい病気です。
発症の原因は、何らかの原因で起きた眼圧上昇などによる視神経の障害だといわれていますが、まだ確実には解明されていません。初期のうちは自覚症状がない場合も多いため、非常に気付きにくく、発見が遅れるケースも多い傾向にあります。
緑内障の種類
緑内障には、大きく分けて「続発緑内障」「原発緑内障」「発達緑内障」の3種類があります。それぞれの詳細は、以下の表をご参照ください。
種類 | 特徴 |
---|---|
続発緑内障 | 目およびその他の疾患・損傷などによる眼圧上昇 |
原発緑内障 | 隅角(眼内の房水の出口)の形状による眼圧上昇 |
発達緑内障(小児の続発緑内障) | 先天的もしくは幼少期からの眼圧上昇 |
原発性緑内障は、隅角の広さによって「開放隅角緑内障」と「閉塞隅角緑内障」に分けられます。種類によって適切な治療方法が異なるため、検査を受け、自らの状態を正確に把握しておくことが重要です。
障害者手帳における緑内障の分類
緑内障は、障害者手帳における視力・視野障害の分類です。等級は1級〜6級があり、検査の結果によって区分されます。また、緑内障の症状により失業した場合は、障害年金の受給も可能です。令和4年4月1日から認定基準が改正されたため、以前請求したことのある方も、お住まいの自治体の窓口へ確認してみてください(参考:令和4年1月1日から「眼の障害」の障害認定基準が一部改正されます|日本年金機構)。
緑内障がある場合にしてはいけないこと
緑内障があったとしても、してはいけないことは特にありません。眼圧を下げる点眼薬の使用で進行が食い止められるため、定期的な通院と適切な治療を続ければ、今まで通りの生活が送れます。
もちろん就労も可能であり、業務に支障がないのであれば、今の仕事を辞める必要もありません。ただ、緑内障がある方に不向きな職種・業種もあるため、症状や程度によっては転職が必要です。
緑内障患者にとって仕事に支障をきたす状況
緑内障がある方は、障害の特性上、どうしても大きな支障をきたす動作があります。特に、以下に該当する仕事や状況は、緑内障のある方がはたらくうえで相当の苦労を要するでしょう。
- 目を酷使する
- 車を運転する
- 手元の繊細な動きを要する
- 心身の負担が大きい
目を酷使する
緑内障がある方は視野が欠けてしまうケースが多く、その状態で目を酷使すると、重度の眼精疲労になりやすい傾向にあります。そのため、長時間にわたってパソコンを使用し続けたり、細かい文字を目で追ったりする仕事は不向きです。眼精疲労が緑内障の進行の直接的な原因になるわけではないものの、悪化すると首・肩の凝りやめまい・吐き気を引き起こし、仕事に差し支えます。
車を運転する
緑内障があると、多くのケースで見え方に異常が出るため、車を運転するのは危険です。法律で運転が禁止されているわけではありませんが、信号や対向車、通行者の確認が遅れ、重大な事故を引き起こしかねません。よって、緑内障がある方は、運転をメイン業務とする仕事は選ばないほうがよいでしょう。
手元の繊細な動きを要する
緑内障で視野狭窄や視力低下が起こると、手元がよく見えなくなるため、指先の繊細な動きが困難です。症状が悪化した場合、指先を使う仕事や細やかな工作作業、医療関係の仕事を続けるのは難しいといえます。
心身の負担が大きい
緑内障がある方には、大量の汗をかくような身体的に過酷な業務はおすすめできません。発汗による一時的な眼圧低下のあと、すぐに多量の水分を摂取した場合、眼圧の急上昇によって緑内障の症状が悪化するおそれがあるためです。また、睡眠不足も眼圧を上昇させるため、ストレスが多い職場や、夜勤など不規則な仕事も避けるほうがよいでしょう。
緑内障がある方に向いている仕事環境
緑内障があると制限される仕事も出てきますが、基本的には一般就労の方と同じようにはたらけます。とはいえ、体調不良など万が一の事態を考慮すると、できる限り以下のような仕事や職場環境を選んでおくと安心です。
- マイペースで取り組める
- 障害に対する理解がある
マイペースで取り組める
目に過度の負担を与えずにはたらくためには、適度な休憩と定期的な通院が不可欠です。厳しいノルマや時間的な制限がなく、マイペースではたらける仕事なら、緑内障で急な通院や休息を要するときがあっても業務が滞りません。自分の体調に合わせてコツコツ仕事を進めることで、自らの実力を十分に発揮して活躍できます。
ただ、現代はほぼすべての職業でパソコン操作が求められる時代であり、長時間勤務は大きな負担になるかもしれません。目や身体の酷使による体調悪化が不安な場合は、時短勤務も選択肢に入れてみるとよいでしょう。
障害に対する理解がある
緑内障のある方がスムーズに業務を遂行し、通院・治療と両立させるためには、周囲からのサポートが受けられるかどうかが重要です。定期的な通院治療を要する病気のため、病院へ行くための休暇や遅刻・早退に不理解な職場だと苦労し、症状の悪化を招く恐れがあります。
対して、特性に対する受け入れ態勢が整っており、些細なことでも相談しやすい雰囲気の職場なら、安心してはたらけるはずです。なお、障害は必ずしも開示を要するわけではありませんが、状況によってはオープン就労も検討してみてください。
緑内障で転職・再就職を考えている方が利用できる支援サービス
緑内障などの障害がある方が仕事を探すときには、専門の就職支援サービスの利用がおすすめです。ここからは、障害がある方の仕事探しの手助けとなるサービスと、その詳細を解説します。
ハローワーク(公共職業安定所)
全国各地に設置されているハローワークは、仕事を探すすべての方へ求人の紹介や就職活動に関する相談受付および指導を行う公的サービスです。障害者専門窓口もあるほか、他の公的支援機関と連携した包括的なサービスが受けられます。
障害者専門の転職・就職エージェント
障害者専門の転職・就職エージェントとは、障害があってもはたらきやすい求人の紹介や、プロのキャリアアドバイザーによる就活支援を提供するサービスです。就活前の自己分析から採用後のアフターフォローまで、転職・就職の手厚いトータルサポートが受けられます。
専門の転職・就職エージェントは、障害者雇用に特化した知識・ノウハウ・情報を有しているため、自分の適性や、障害特性に合わせてはたらける仕事が見つかりやすくなるでしょう。就業を希望している方は、ぜひ利用してみてください。
緑内障がある方の仕事探しに関するご相談は「dodaチャレンジ」へ!
緑内障の方は、健常者の方と同じように一般就労もできます。とはいえ、特性や体調に合わせてより良くはたらける職場を探しているなら、時短勤務やオープン就労も一つの選択肢です。
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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2024/8/29
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士