パニック障害があっても仕事はできる?長続きのコツと自分に合う職場の見つけ方
パニック障害があると、些細なきっかけで発作が起こり、これまで通りに仕事することがままならなくなることがあります。いつ発作が起こるかと思うと外出そのものが恐ろしく、仕事に行けなくなる方も少なくありません。しかし、仕事ができないと生活に必要なお金が手に入らず困ってしまいますよね。
この記事では、パニック障害のある方がより良い仕事に就き、定着するための知識や情報をまとめました。「仕事が続かないのでは……」「クビになってしまいそうで誰にも相談できない」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
パニック障害とは?
はじめに、パニック障害の特性と治療法について確認していきます。
パニック障害の特性
パニック障害とは、身体的な異常がないにもかかわらず、突発的かつ過度な不安感により日常生活に支障をきたす不安障害の一種です。罹患率は100人に1人の割合であり、誰でも発症の可能性があります。不安や恐怖を司る脳内の神経系に生じた何らかの異常が原因だといわれており、以下3点が主な障害特性です。
パニック障害の特性 | 症状 |
---|---|
パニック発作 | 突然の理由のない強い不安感・恐怖感とそれに伴う心身の異常 |
予期不安 | パニック発作を起こすことへの慢性的な不安感・恐怖感 |
広場恐怖 | パニック発作を起こした場所・状況に対する回避行動 |
パニック発作が起こると、動悸や息切れ、めまいなどの激しい身体症状が出ます。発作は約10分以内で収まるケースが大半ですが、本人にとっては強い恐怖を感じる時間です。またパニック発作への不安・恐怖から、やがて外出が困難になるケースも珍しくありません。
また、パニック障害は精神障害に分類される、精神障害者保健福祉手帳の交付対象です。取得すれば税金、生活扶助、仕事などでさまざまな支援が受けられます。
パニック障害の治療
パニック障害は早期の治療が肝心です。「周囲に迷惑をかけるのでは……」と相談しないままだと、症状が悪化してうつ病などの二次障害を発症したり、回復が遅くなったりする恐れがあります。
パニック障害になった場合、まずは専門医から診察・カウンセリングを受けるとともに、安心できる場所で休養することが治療の第一歩です。治療では投薬が行われることも多いため、主治医の指示に従って服薬を続けましょう。
体調が安定してきたら、自らの障害と向き合いながら、適切な対処法を身につけていくことで寛解を目指します。ただし焦ると逆効果なので、自分のペースでゆっくりと克服していくことが大切です。
パニック障害がある方でも仕事はできる!
パニック障害になったからといって、仕事を辞める必要はありません。とはいえ、外ではたらくことがつらいときや、仕事に著しく支障をきたしている場合は、無理せず休職・退職も検討してください。
収入面やブランクができることなどへの心配から、休職・退職をためらう方もいるでしょう。しかし、早期の回復のためにいったん仕事と距離を置くことは正当な理由だといえます。特に、仕事が原因でパニック障害になったなら、早急に離れることが必要です。
パニック障害とうまく付き合いながらはたらく5つのコツ
現在はたらいている方がパニック障害を発症した場合、これまで通りにはいかなくなるケースも少なくありません。パニック障害とうまく付き合いながらはたらくためには、次の5つのポイントを意識してみてください。
- 事前に周囲へ相談する
- 障害特性を正しく理解する
- より良い働き方を模索する
- リラックス方法を見つける
- 転職・再就職を検討する
事前に周囲へ伝える
自らの障害特性やパニック発作が起きた時の対処法を、あらかじめ周囲に伝えておきましょう。パニック障害の特性は外からは分かりづらいため、事前に周知されていないといざというときに理解が得られないかもしれません。
発作の症状や継続時間のほか、してほしいことやしてほしくないことを具体的に説明しておけば、お互い安心してはたらけるようになるはずです。
障害特性を正しく理解する
パニック障害を克服するためには、自らの特性としっかり向き合わなければなりません。パニック障害とひとくちにいっても、その特性は人それぞれです。障害に対する理解を深め、不安を感じやすい状況とその対処法を把握しておけば、発作や特性による困り事が起きたときでも適切な対応が速やかに取れるようになります。
また自己理解が深まれば周囲にも障害特性を正確に説明できるため、適切な合理的配慮が得やすくなるでしょう。
より良い働き方を模索する
就業および復職に当たり、どうすればより良く、長くはたらき続けられるかを具体的にイメージしてみてください。
例えば朝のラッシュが苦手なら、通勤時間や方法を変えたり、出社自体が難しい場合はリモートワークに切り替えたりするなどの対策が講じられます。また職場では、不安の少ない座席や部署への配置転換のほか、長時間勤務が厳しいときは時短勤務への変更などで、特性に応じた働き方ができるようになるでしょう。
ただし、就業に適した条件を考えるときは、自己判断だけに頼るのではなく、主治医と相談しながら進めることが大切です。はたらきやすい環境に身を置けば、仕事がぐっと楽に続けられるようになります。
リラックス方法を見つける
パニック発作が起きそうになったときに備え、気持ちがリラックスする方法を把握しておくと安心です。リラックス方法は、自分にとって効果があればどんなことでも構いません。思いつかない場合は、以下の例を参考にしてみてください。
- 頭の中で数を数える
- ゆっくりと深呼吸する
- お気に入りの楽曲を聴く
- 好きなものを食べる
さまざまなリラックス法を試しながら、自分なりの対処法を見つけておきましょう。
転職・再就職を検討する
労働環境・条件から今の仕事を続けるのが難しいときは、転職も検討してみてください。今の状態が良くないなら、退職して治療に専念し、回復してから再就職するほか、リワークという支援制度を活用して社会復帰を目指す方法もあります。
また転職・再就職の際は、障害者手帳を取得のうえ、障害者雇用枠での就職も一つの選択肢です。障害者雇用枠の求人は障害があることを前提としているため、双方の条件を擦り合わせることで、無理なくはたらける環境が整うはずです。
パニック障害のある方におすすめの仕事
パニック障害があると現職ではたらき続けることが難しく、さらに転職・再就職しても仕事が続かないのではないかと不安に感じている方もいるでしょう。パニック障害のある方には、その特性により仕事の向き不向きがあるのは事実です。そこで以下では、パニック障害があってもはたらきやすい仕事の特徴を紹介します。
外勤の少ない仕事
パニック障害のある方には、外勤の多い仕事は向きません。不特定多数のいる場所で不安を覚えやすく、そのストレスから発作が起こりやすい傾向にあるためです。内勤や在宅の事務職など、普段から慣れている環境で勤務する仕事を選べば心が安定し、落ち着いてはたらけます。
マニュアルが完備されている仕事
人は誰しもイレギュラーな状況に混乱しがちですが、パニック障害があるとその傾向がより強まります。そのためパニック障害がある方には、マニュアルが完備されている仕事がおすすめです。基本的にマニュアルに沿ってはたらけば良いため、緊急や突発的な業務が発生することがあまりありません。
マニュアルが完備されている仕事の代表例としては、コールセンターやデータ入力、軽作業の仕事などが挙げられます。こういった仕事を選べば、業務上で重要な判断を下すことも少なく、冷静を保ってはたらけるでしょう。
時間の融通がききやすい仕事
パニック障害があると、予期せぬ発作や通院で仕事を休まなければならないシーンが以前よりぐっと増えます。体調に応じて勤務時間や出勤時間などを柔軟に調整できる仕事を選ぶことで、治療と仕事が両立できるでしょう。
そこで必要に応じて、フレックスタイムや時短勤務の仕事なども選択肢に入れてみてください。また障害者手帳を取得している場合は、障害者雇用枠で合理的配慮の下はたらくことで、時間を調整しやすくなります。
パニック障害があってもはたらける仕事を見つける方法
パニック障害がある方が自分に合う仕事を見つけるときは、下記の方法を試してみてください。
- ハローワークに登録する
- 就労移行支援事業所に通う
- 障害者専門の転職・就職エージェントを利用する
ハローワークに登録する
全国に設置されているハローワーク(公共職業紹介所)には、障害者専門の窓口があり、障害者雇用枠の求人の紹介や就職活動の助言が受けられます。障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターなどの行政支援機関と連携したサポートを受けることも可能であり、生活面や仕事上のさまざまな相談ができるでしょう。
就労移行支援事業所に通う
就労移行支援事業所とは、障害がある方が職業訓練を行いながら就職および定着を目指すための支援施設を指します。運営元は、NPO法人や社会福祉法人、一般企業などです。就労移行支援事業所では、仕事に必要なスキルのほか、障害特性に応じた働き方も身につけられます。
障害者専門の転職・就職エージェントを利用する
障害者専門の転職・就職エージェントとは、はたらく意欲のある障害者と企業の橋渡しを担うサービスです。障害者雇用の専門知識を持つプロのアドバイザーから、仕事探しからキャリア相談、入社後のフォローまで幅広くカバーしてもらえます。これまでの経歴や適性、障害特性などを踏まえ、最適な求人の紹介や就職活動のサポートがワンストップで受けられるので、自分らしくはたらける仕事がきっと見つかるはずです。
パニック障害がある方の仕事探しは「dodaチャレンジ」が徹底サポート!
パニック障害のある方が就業および仕事に復帰するためには、きちんと治療を受けて対処法を身につけるとともに、より良くはたらける環境に身を置くことが大切です。障害特性に対する自己・他己の理解を促し、気持ち良くはたらける方法や環境、職種を模索していきましょう。
とはいえ、パニック障害の特性の程度によっては、一般的な仕事を続けることが不安になってしまいますよね。その場合は、障害者手帳を取得し、障害者雇用枠での就業も視野に入れてみることをおすすめします。
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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2024/11/27
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士