休職中の転職活動はOK?現職や応募先にバレるリスクと不利にならないためのポイント
現在休職中で、就職活動をしてもよいものか悩んでいませんか?実際に休職中に求人に応募するとき、現在の職業についてどのように伝えるべきかも悩みどころですよね。
結論として、休職中に転職活動を始めるかどうかの判断は慎重に行わなければなりません。バレたときのリスクを考慮すると、休職中の安易な転職活動はやめておくほうがよいといえます。
とはいえ、やむを得ない事情で休職中に転職活動を始める必要がある方もいるでしょう。そこでこの記事では、休職中における転職活動を成功させるコツをお伝えします。
目次
休職中の転職活動について
はじめに、次の3つの視点に分けて、休職中の転職活動の可否について考えていきましょう。
休職中に転職活動しても違法ではない
休職している最中に転職活動しても、法的には問題ありません。日本国憲法第22条の「国民の職業選択の自由」は休職中も保障されていると解釈でき、現状で休職中の転職活動を違法だとするルールも特にないためです。同じく、履歴書への休職歴の記載も必須ではありません。
ただし、会社によっては就業規則で休業中の転職活動を禁止している場合もあります。また公務員の場合「職務専念義務」が法的に定められていることから、違反と取られかねません。社会的規範も考慮すると、休職中に転職するのではなく、いったん復職して退職の手続きを経てから転職するほうが好ましいでしょう。
前提として、休職はあくまでも就業が困難になった原因を取り除くために設けられた福利厚生です。状態が落ち着くまでは治療に専念し、今後のキャリアプランを考えたうえ、必要に応じて転職活動を検討することをおすすめします。
休職中に転職活動すると現職や応募先にバレる?
休職中に現職や応募先に黙って転職活動をしたとしても、バレる可能性がないとは言い切れません。たしかに、転職活動中は自己申告しなければバレないかもしれません。
とはいえ、人の噂やSNSの投稿などで広まる可能性もあるため、休職中の転職活動がバレたくないならむやみに公言しないほうがよいでしょう。また、現職の退職後や転職後に源泉徴収票や給与明細の金額、住民税額で判明する場合があり、それらをチェックされるとバレてしまいます。
休職中に傷病手当金を受給しているケースでは、その期間の納税額で応募先にバレるケースも珍しくありません。くわえて転職後にもし傷病手当金を申請することになった際、同じ病気・怪我で1年6ヶ月以上の受給歴があると支給されないため、それでバレてしまうこともあります。
休職中の転職活動がバレたらどうなる?
休職中であることを隠して転職活動をした場合、さまざまなトラブルが発生するリスクがあります。
まず現在の勤務先にバレると、社内規定によっては罰則が課せられるほか、復職は見込めない可能性が高いでしょう。また円満退職できずに良くないうわさが流れると、同じ業界ではたらきづらくなることも考えられます。
応募先に休職中であることを隠していたことがバレると、印象が悪くなり、選考に通らなくなるかもしれません。選考後に判明した場合、虚偽の申告をしたとして内定取り消しになったり、職場で肩身の狭い思いをしたりすることもあるでしょう。
休職中であることが必ずしもマイナスになるわけではありませんが、上記の事情を踏まえると、基本的には復職もしくは退職してからの転職活動が推奨されます。どうしても休職中に転職活動を始めなければならないときは、トラブルを未然に防ぐためにも、履歴書や面接時に自己申告しておくことをおすすめします。
もし休職中に転職エージェントに登録している場合は、まずはキャリアアドバイザーに事前相談してください。現在の状況や事情に合わせ、適宜アドバイスしてもらえるはずです。休職中であることを転職エージェントが現職または応募先に伝えることは絶対にありませんので、包み隠さずに打ち明けておくほうがよいでしょう。
休職中の転職活動であることを申告したほうがよいケース
前述の通り休職中に転職活動を始めること自体は可能ですが、次のようなケースに該当する場合は申告しておくほうがベターです。
- 尋ねられたとき
- 長期休職のとき
- リファレンスチェックが行われるとき
- 合理的配慮を要するとき
尋ねられたとき
転職活動中の面接やアンケートなどで現在の就業状況や休職の有無を尋ねられたときは、正直に申告するほうがよいといえます。休職中であることを隠したままだと、就職後に矛盾が生じた場合の対処が難しく、信用問題に関わりかねません。
長期休職のとき
休職期間が長期化するほど給料や納税額も少なくなることから、隠していても応募先にバレる可能性があります。聞かれてから答えるのと事前申告では後者のほうが印象がよいため、あらかじめ伝えておくほうが無難です。特に、休職期間が3〜4ヶ月以上だとバレやすくなるので注意してください。
リファレンスチェックが行われるとき
もし転職活動でリファレンスチェックが行われると、多くの場合、休職していることが勤務先・応募先の双方にバレます。「リファレンスチェック」とは、履歴書や職務経歴書の内容を応募先の企業が照会する制度です。リファレンスチェックは任意であり、拒否することもできますが、正当な理由なく断ると不信感を与えるきっかけになります。あらかじめリファレンスチェックが実施されると分かっているのなら、休職中であることをオープンにしたうえで応募することがリスク回避の最善策です。
合理的配慮を要するとき
休職の理由が病気やけが、障害の場合、就業上の配慮を要するケースも多いでしょう。その際、休職中であることを隠して就活・就業すると、合理的配慮に関して説明できず、結局長続きしないかもしれません。せっかく見つけた新たな仕事を定着・長続きさせるためにも、応募の際は休職中であることとその理由をきちんと伝え、必要な配慮を説明しておくことをおすすめします。
【例文つき】休職中の転職活動の伝え方
ここからは、転職活動の際、休職中であることの適切な伝え方を具体的な例文と併せて説明します。
ただ前提として、休職中の転職活動であることを自身だけで先方に伝えるのは容易ではなく、あらぬ誤解を受けることもあります。うまく伝える自信がないときは、、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントに登録していれば、キャリアアドバイザーに相談したうえで、企業に合った伝え方をアドバイスしてもらえます。また障害者雇用枠に応募する場合は、専門の転職・就職エージェントがあるのでチェックしてみてください。
履歴書・職務経歴書の場合
履歴書では「学歴・職歴」もしくは「特記事項」の欄へ休職中であることを明記します。職務経歴書の場合、時系列に沿って記載してください。いずれも休職中の旨とその理由を記載したのち、現在の状態および就業に問題ないことを注記するとよいでしょう。
例文
◯◯◯◯年(令和◯年)◯月◯日より 病気療養のため休職中
※就労については主治医の許可を得ております
面接の場合
面接で休職について尋ねられたときは、その経緯と現在の状況を簡潔に伝えます。併せて、休職中の過ごし方や、今後の方針などを添えるとより好印象です。なお面接時のイメージアップにつながる休職中の過ごし方は、以下を参考にしてください。
- 休職中でも食生活や睡眠に大きな課題がなく規則正しい生活を送れている
- PCスキルが落ちないように毎日一定時間は操作練習している
- 通勤に備えて1時間以上の運動をしている
自己PRと休職中の過ごし方を組み合わせることで、安心感やポジティブなイメージが与えられるはずです。
例文
事故による後遺症で右腕に障害を患い、主治医の勧めもあり療養のため休職しておりました。現在は回復し、医師の診断でも問題なく就業できる状態です。
休職中はリハビリテーションや訓練を受け、支援ツールを使えば基本的なデスクワークやPC操作などは問題なくできるようになりました。ただ片腕しか動かせないため、メモを取りながらの電話対応や重い物の運搬など両手を使った業務はできません。
貴社にはバリアフリー設備があるとのことですので、それらを活用しながら自分でできる工夫を凝らして貢献できるよう努力する所存です。また担当業務や配置にご配慮いただければ、さらに効率よくはたらけます。
転職が決まったあとに伝える場合
休職中であることを伝えずに内定が出た場合も、まず休職している旨とその理由を述べます。続けて、休職していることを事前に伝えなかった理由も添えてください。
例文
◯年◯月◯日からうつ病により休職しております。内定後のご連絡となり、誠に申し訳ございません。休職が短期間のため、事前にお伝えしませんでした。
現在は回復しており、医師からも問題なく就労できると診断されています。
休職中の転職活動が不利にならないようにする5つのポイント
転職活動において、休職中であることは不利にはたらくこともあります。そのため基本的に休職中の転職活動はおすすめできませんが、やむを得ない理由があるときは、次のポイントを押さえて取り組んでみてください。
- 現職の就業規則を確認しておく
- 嘘はつかない
- 転職の理由を明確に説明する
- 問題なく就業できることをアピールする
- 事前に転職・就職のプロに相談する
現職の就業規則を確認しておく
休職中に転職活動を始めるときは、まず現在の勤め先の就業規則を確認し、転職活動に関する規定がないかどうかチェックすることが重要です。もし禁止規定がある場合は、トラブル防止につながります。転職に関するルールが特になければ、隠れて活動する必要がないため、安心して転職活動に取り組めるでしょう。
嘘はつかない
前提として、就職面接で嘘をつくのはNGです。曖昧に答えたり、ごまかしたりするのも不信感を与えかねないので避けましょう。もし先方から尋ねられたときは、休職の理由および期間、転職活動を始めたきっかけを正直に申告し、誠実な対応を心がけてください。
転職の理由を明確に説明する
面接を受ける前に、現在の仕事にそのまま復職しない理由や、なぜ転職が必要なのかを明確に説明できるようにまとめておくとよいでしょう。応募先の企業が納得できる理由が提示できれば、休職が不利になることはありません。
また転職の理由は、ポジティブに変換することが成功のコツです。ネガティブな発言はマイナスの印象を与えかねないため、前向きな内容に言い換えるよう工夫してみてください。
問題なく就業できることをアピールする
履歴書や面接では、休職するに至った原因が解消し、勤務開始後に十分に活躍できることをアピールすることが大切です。例えば病気による休職なら、医師の診断書や意見書があると説得力が生まれます。併せて、再発防止のための対策・工夫なども添えると安心感が与えられるでしょう。
事前に転職・就職のプロに相談する
休職中の転職は通常とは異なる点も多く、悩むこともあるでしょう。実際に動き始める前に、就活のプロである転職・就職エージェントに相談しておけば、安心して転職活動が進められるはずです。
転職・就職エージェントでは、活動を始めるタイミングや方法などを、客観的かつ専門的な視点からアドバイスしてもらえます。転職活動を始める前から就職後の定着まで一貫してサポートしてもらえるので、ぜひ活用してみてください。
休職中は本格的な転職活動の前に「dodaチャレンジ」へ相談を!
休職中に転職活動を始めること自体は法的に問題ありませんが、面接時の質問や些細なきっかけで現職や応募先にバレる可能性があります。またビジネスマナーの観点からも、あまりお勧めできる行為ではありません。やむを得ず休職中に転職活動を始める場合は、現職・転職先の双方に誠実な対応を心がけるとともに、転職・就職エージェントを活用することをおすすめします。プロの視点から転職に関する適切なアドバイスを受けることで、休職中であっても納得の結果が得られるはずです。
現在、障害者手帳を取得もしくは申請中で、休職中の転職を検討している方は「dodaチャレンジ」にご相談ください。一人ひとりに専任のキャリアドアイザーが付き、ご自身にとって何が最善なのかを一緒に考えます。もちろん、相談中にお預かりした情報は秘密厳守を徹底。どのような年齢・障害のある方でも無料で相談できますので、ぜひお気軽にご登録ください。
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転職について不安なことも
障害者雇用の知りたいことも
キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2024/11/27
- 監修者:木田 正輝(きだ まさき)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 キャリア支援事業部 担当総責任者
- 旧インテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社後、特例子会社・旧インテリジェンス・ベネフィクス(現パーソルダイバース)に出向。採用・定着支援・労務・職域開拓などに従事しながら、心理カウンセラーとしても社員の就労を支援。その後、dodaチャレンジに異動し、キャリアアドバイザー・臨床心理カウンセラーとして個人のお客様の就職・転職支援に従事。キャリアアドバイザー個人としても、200名以上の精神障害者の就職転職支援の実績を有し、精神障害者の採用や雇用をテーマにした講演・研修・大学講義など多数。
- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■日本臨床心理カウンセリング協会認定臨床心理カウンセラー/臨床心理療法士