精神疾患のある方がアルバイトするときは?向いている仕事と退職意思の伝え方

アルバイトの女性のイメージ

精神疾患のある方が「はたらいてみよう」と思ったとき、自分のペースに合わせてはたらける働き方の一つがアルバイトです。社会とのつながりを保ち、やりたい仕事を見つけるステップにもなりますが、アルバイトを始める際にはいくつかの注意点があります。

今回は、精神疾患になった方がアルバイトを始める際のポイントを解説します。

精神疾患のある方がアルバイトを始める前にやるべき3つのこと

精神疾患のある方がアルバイトを始めるにあたって、まずは次の3つのポイントを押さえましょう。

  • 治療の継続
  • 自身の体調と特性の把握
  • 専門的な支援の確保

治療の継続

精神疾患になった方がはたらく前提となるのが、治療の継続です。自分ではできると思っていても、専門家からみるとそうではないことも少なくありません。アルバイトについて医師に相談し、治療と両立することで、安心してはたらけるはずです。

自身の体調と特性の把握

自身の現在の体調や疾患の特性の把握は、就業のファーストステップです。実際に、自身の障害や疾患、体調などへの理解が深いほど、就業に対する満足度が高いという調査結果が出ています。まずは自分自身を正しく知り、はたらく準備を整えましょう。

専門的な支援の確保

アルバイトは店頭やインターネットなどでも探せますが、実態が分かりづらく、いざはたらきはじめると想像と大きく異なるということも少なくありません。専門の支援機関に相談し、特性に合わせた就活・就労サポートを得ることで、無理なくはたらける仕事が見つけやすくなります。

精神疾患のある方がアルバイトをしながら就活する6つのメリット

アルバイト中の様子のイメージ

今後の長期的なキャリア形成という視点から、アルバイトをしながらフルタイムではたらく道を模索するのもよいでしょう。ここでは、アルバイトと就活を同時進行するメリットを説明します。

気軽に始められる

アルバイトは、正社員のように責任のある仕事を任されることが少なく、業務量も限定的です。多くの場合、勤務日・時間もシフトで調整できるため、自分の意思で働き方が決められる余地が大きいでしょう。また、単日や期間限定など短期的な就労を前提としたアルバイトも多いため、気軽にチャレンジしやすいといえます。

経済的な余裕が生まれる

アルバイトではたらいていれば、収入がゼロになるのを避けられます。疾患の程度や就労状況などにもよりますが、障害年金を受給しながらアルバイトすることも可能なので、経済的な余裕が生まれるでしょう。

キャリアが途切れない

アルバイトは正式な経歴にはならないこともありますが、まったく仕事しないケースと比べると、キャリアが完全に途切れてしまうことを防げます。就活の際にも、アルバイト経験を通して、はたらく意思やスキル、継続力がアピールできます

自分に向いている仕事が見つかる

アルバイトではたらきながら、自身と仕事とのマッチングが測れます。気になる仕事があるものの、自身に合うかどうか不安という場合は、まずアルバイトから始めてみるのも一つの方法です。

問題なくはたらけることの根拠になる

精神疾患になって離職中の方が、社会復帰の第一歩としてアルバイトをすることで、転職活動の際に問題なくはたらけることがアピールできます。体調・体力面のほか、朝きちんと起床し、決められた時間に出勤できるといった職業準備性を備えていることの証になるからです。職業準備性は面接で重視されるポイントなので、高めておくに越したことはありません。

就活支援サービスの利用で仕事探しのノウハウが身に付く

就活支援サービスを利用することで、プロのサポートを得ながら、自分に合う仕事の探し方や面接時の受け答えのコツが学べます。身につけたノウハウは、仕事探しにも活かせるので一石二鳥です。

精神疾患になった方に適したアルバイトの特徴

精神疾患のある方がアルバイトを始める場合、症状の悪化を防ぎ、治療を妨げないためにも、無理なくはたらけることが条件となります。以下では、精神疾患のある方に適したアルバイトに共通する3つの特徴をみていきましょう。

自分のペースや体調に合わせて柔軟にはたらける

精神疾患がある方には、柔軟性の高いワークスタイルのアルバイトがおすすめです。忙しすぎて気が休まる暇もない、休みが取りにくいといった仕事だと、通院の妨げや病状の悪化につながりかねません。勤務日・時間や仕事内容、業務量などが適宜調整できるアルバイトなら、無理なくはたらきやすいでしょう。

精神疾患への理解がある

精神疾患になった方がより良くはたらくには、周囲の理解が不可欠です。理解のない職場だと、特性によってできない仕事を任せられたり、人間関係にトラブルが生じたりしやすくなることがあります。精神疾患に対する理解を示し、適切な配慮が得られる職場ではたらけるアルバイトを選ぶことが望ましいといえます。

突発的な対応が少ない

急な指示が多く、業務内容や対応が流動的な仕事は、精神疾患になった方にとって負担が大きい働き方です。また就業時間が不規則だったり、早朝・深夜勤務が多かったりすると、生活リズムの崩れにつながり、心身や病状に悪影響を及ぼしかねません。業務や勤務時間が一定していて、臨機応変な対応が少ないアルバイトをおすすめします。

精神疾患になった方が無理なくはたらきやすいアルバイト5選

ここでは、精神疾患のある方が無理なくはたらきやすい5種類のアルバイトを紹介します。

データ入力・集計

データ入力や集計作業は、複雑な作業や人とのコミュニケーション、業務上での外出がほとんどないため、一人でコツコツ取り組みたい方に向いています。リモートでの在宅勤務が可能なアルバイトが多いことも、はたらきやすい理由の一つです。

またデスクワークの仕事は、安定した就労が可能になった際に事務職での就業を考えているなら、スキルアップという意味でもよい経験になります。就職面接でスキルと実績をアピールすれば、即戦力になれると評価される可能性が高まるでしょう。

工場・倉庫内作業

工場のライン作業は、仕事内容に変化が少ないことに加え、ほとんど人と話さずに済みます。また倉庫内作業も、商品の入庫・保管や検品、梱包などマイペースで黙々と取り組めるルーチンワークが中心です。複雑な作業が難しく、コミュニケーションに不安を抱えている方でもはたらきやすいといえます。

小売業のバックヤード・品出し・陳列作業

スーパーや量販店における加工や袋詰め、各売り場担当へのピッキングなど小売業におけるバックヤードは、変則的な作業や、人との関わりが少ない仕事です。また、店舗内の商品陳列や補充、シール貼りなどの作業も、自分のペースではたらきやすいといえます。

ポスティング

ポスティングとは、主に個人宅のポストに、チラシ・広告を入れて回る仕事です。アルバイト中に人と関わることが少ないほか、あらかじめ指定された区域内を回るので、自分で考えてする作業がほとんどありません。時給制ではなく出来高制を採用している場合は、自分の裁量ではたらける可能性が高いでしょう。

清掃

清掃は、基本的に人がいないときにマイペースで進める作業が中心です。清掃場所が変わっても、やることは大きく変わらないため、慣れた業務に集中できます。

精神疾患のある方がアルバイトを辞めるときの注意点

アルバイトとしてはたらいている際、精神疾患が悪化し、辞めざるを得なくなることもあるかもしれません。また就活の結果、内定が出て就職が決まったら、アルバイトを辞めることになります。

アルバイトを辞めるときは、できる限り早期に職場に連絡することが大切です。退職理由を伝えたくないときは「一身上の都合」でも構いませんが、理由をごまかさず、事実を率直に述べることで、真摯な姿勢が伝わりやすくなります。

加えて、アルバイトを辞めることが決まったら、未消化の有給休暇を確認することをおすすめします。有給休暇と組み合わせれば、事実上、退職日より早く辞められることがあるからです。併せて、次回給与の振り込み日と、貸与品の返却に関することを確認しておくと、退職後のトラブルが減らせます。

アルバイトは精神疾患になった方が安定就労を目指す方法のひとつ

就活で1歩踏み出す様子のイメージ

精神疾患のある方が社会復帰を検討する際、いきなりフルタイムではたらくことが不安な場合は、まずはアルバイトから始めてみてはいかがでしょうか。短時間の勤務が多いため、労働時間を調整しやすいほか、自分に合う仕事を探す手段にもなります。

アルバイトの経験から、一般雇用枠での就業が難しいと感じたときは、障害者手帳の取得を検討するのも一つの方法です。精神障害者保健福祉手帳を取得することで、障害者雇用枠への応募が可能になります。精神疾患のある方で、障害者雇用枠での就業を考えている場合は「dodaチャレンジ」にご相談ください。障害者雇用のプロであるキャリアアドバイザーがあなたの専任となり、より良い仕事探しを二人三脚でサポートします。

公開日:2025/8/27

監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】
  • ■国家資格キャリアコンサルタント
  • ■障害者職業生活相談員
  • dodaチャレンジで、専任のキャリア
    アドバイザーに転職・就職活動を相談する

    会員登録(無料)

    まずは就労準備トレーニング。実際の
    仕事と同程度の実習で「はたらく力」を。

    就労移行支援
    「ミラトレ」について