障害者雇用における事務職とは?仕事の選択肢と求められるスキル
バックオフィス業務を主体とした事務職は、障害者雇用の求人に多い職種です。一方で、なぜ障害者雇用で事務職の人気が高いのか、事務職に就くために具体的に必要なスキルなど、分からないこともあるでしょう。そこで本記事では、障害者雇用における事務職の業務内容や、事務職に転職する際に活用できる支援機関・サービスについて解説します。
目次
事務職とは
事務職の仕事内容は、基本的には一般雇用枠も障害者雇用枠も大きな差はありません。仕事内容や働き方について簡単に紹介します。
事務職の仕事内容や働き方
事務職はデスクワークを中心にバックオフィス業務を行う職種であり、次のようにさまざまな種類があります。
一般事務 | 書類作成・データ入力・電話対応など多岐にわたる業務を担う |
営業事務 | 営業部門に特化し、見積書・請求書の作成や顧客対応など行う |
経理事務 | 企業の出入金管理や経費精算などを行って財務健全性を保つ |
総務事務 | 社内環境の整備や人事業務など、企業運営に関わる業務を担う |
法務事務 | 契約書の管理や法律関連の対応など、企業の法的業務をサポートする |
貿易事務 | 通関手続きや貿易関連書類の作成など、輸出入に関する手続きを担う |
医療事務 | 患者受付や診療報酬請求業務など、医療現場の運営をサポートする |
また、事務職の働き方はフルタイム勤務の正社員はもちろん、企業の勤務形態や合理的配慮などにより、次のようにさまざまな働き方ができる場合があります。
- 時短勤務
- フレックスタイム制
- 在宅勤務
障害者雇用で事務職としてはたらく人は多い!
障害者向けの転職エージェント「dodaチャレンジ」では、2025年9月時点で掲載している求人の7割以上が事務職です。障害者雇用において事務職としてはたらく人は多く、人気の職種であるといえます。
障害者雇用で事務職の人気が高い理由
前述したように、障害者雇用において事務職としてはたらく人は多いですが、その背景として次のような理由が考えられます。
- 未経験でもはたらきやすい
- 身体的・精神的な負担が少ない
- コミュニケーションの負担が少ない
- 合理的配慮が受けやすい
未経験でもはたらきやすい
事務職の求人は未経験者も応募できるケースが多いため、経験・スキル面で不安がある場合でもチャレンジしやすい職種です。ワードやエクセルなどの一般的なパソコンスキルがあれば、障害者雇用で事務職としてはたらける可能性があります。経理事務や法務事務などでは専門知識が求められることもありますが、アシスタント業務などで未経験からステップアップしていきやすい職種でもあります。
身体的・精神的な負担が少ない
事務職の仕事内容は、デスクに座って行う業務が多く身体動作が少ない傾向があるため、身体面で不安がある障害者の方もはたらきやすいです。また、自分のペースで作業しやすく、企業によっては働き方の選択肢も多いため、精神的な負担も軽減できます。
コミュニケーションの負担が少ない
事務職は営業職・接客業などの職種と比べて、対人コミュニケーションが求められる機会が少ない傾向があります。コミュニケーションが不要なわけではありませんが、対人関係のストレスを軽減しやすいことは大きな魅力です。
合理的配慮が受けやすい
事務職はパソコンを用いた業務がメインなので、職場の合理的配慮が受けやすい職種でもあります。例えば、時短勤務や在宅勤務などのフレキシブルな働き方や、支援ツールによる読み上げ・音声入力の活用などです。業務のマニュアル化もしやすく、個々の障害特性に応じた環境を整えやすいため、事務職は障害者にとって「はたらきやすい仕事」だといえます。
障害者雇用で事務職に就くために必要なスキル
障害者雇用で事務職としてはたらくためには、次のようなスキルを身に付けておくことが大切です。
- 基本的なパソコンスキル
- コミュニケーションスキル
- 臨機応変な対応力
- その他の専門スキルや資格
基本的なパソコンスキル
前述したように、事務職の種類はさまざまですが、いずれの場合でもパソコンの操作が求められます。そのため、ワードやエクセルのようなOffice系ソフトのスキルは必須といっても過言ではありません。「MOS(Microsoft Office Specialist)」のような資格を取得しておくと、転職活動時にアピールしやすくなるでしょう。
コミュニケーションスキル
事務職は比較的コミュニケーション機会の少ない仕事ですが、ほかの職種と同様にひとりで完結するものではありません。ほかの従業員との情報交換やサポートのための会話や、職種によっては顧客との橋渡し役を担うこともあります。そのため、社会人として求められるコミュニケーション能力を身に付けておくことが大切です。
臨機応変な対応力
事務職は基本的に決まったルーチンワークが多いですが、突発的な依頼や変更などが生じることがあります。例えば、突然来訪した顧客の対応や、パソコンのシステム更新やアップデート、トラブルの対応などです。その際にパニックにならず、冷静に対応できる対応力が求められます。
その他の専門スキルや資格
経理事務・法務事務・貿易事務などの場合は、一般事務とは異なる専門知識が求められることがあります。職種に応じて簿記やIT関連の資格、英検やTOEICなどを取得しておくと、転職時のアピールポイントになるでしょう。
障害者雇用で事務職に転職するコツ
障害者雇用で事務職への転職を目指す際は、次のようなポイントを意識しましょう。
- 事務職に必要な資格やスキルを習得する
- 自身の「障害特性」や「配慮事項」を明確化する
- 障害者向けの転職支援サービスを活用する
事務職に必要な資格やスキルを習得する
冒頭で解説したように、事務職は障害者雇用のなかで人気が高いので、ほかの求職者との競争が生じます。また、一定のスキルが求められるため、応募条件を確認して必要なスキルを習得しておくことも大切です。これまでのキャリアでどのような実績があるかをまとめておくことも、履歴書や面接でのアピールに役立ちます。
自身の「障害特性」や「配慮事項」を言語化する
障害者が転職するにあたり、課題となるのが「適切な合理的配慮が得られるか」どうかです。「何ができないか」「どんな配慮が必要か」を明確にしなければ、企業が適切な配慮を提供できません。後述する転職支援サービスやキャリアアドバイザーと相談することで、これまで見えなかった自身の特性・適性を把握できるでしょう。
障害者向けの転職支援サービスを活用する
障害者雇用において自分ひとりで理想的な事務職の職場を探すのは難しく、結果的に仕事内容や合理的配慮などのミスマッチが生じ、早期離職につながってしまうことがあります。後述する障害者向けの転職支援サービスを活用することで、自身に合った職場が見つかりやすくなります。
障害者雇用で利用できる転職支援機関・サービス
障害者雇用で事務職としてはたらくためには、次のような支援機関やサービスを利用するのが効果的です。
- ハローワークの障害者関連窓口
- 就労移行支援事業所
- 障害者向けの転職エージェント
ハローワークの障害者関連窓口
全国のハローワークには、障害がある人のための「障害者関連窓口」が設けられており、障害のある方が就労に関するさまざまな相談ができます。専門知識がある担当者の対応が受けられるため、ご自身の障害特性や適性に合った事務職の求人が見つかりやすいです。履歴書作成や面接対策など、転職活動に必要なサポートも受けられるので、安心して転職活動に臨めるでしょう。
就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、はたらくための知識・スキルの習得に加えて、転職活動のサポートを提供している機関です。さらに転職後も定着支援として、困りごとや悩みの相談ができるので安定してはたらきやすくなります。
パーソルダイバースの「ミラトレ」は、障害のある方の就労をかなえるための就労移行支援事業所です。はたらき続けるために必要な力を身につけるために、さまざまな支援を行っておりますので、まずはお気軽に見学・ご相談ください。
障害者向けの転職エージェント
自分に合う障害者雇用の事務職の求人を見つけるには、「障害者向けの転職エージェント」がおすすめです。豊富なサポート実績があるキャリアアドバイザーに相談することで、どのような仕事・職場ではたらくのが向いているか把握できます。さらに、ご自身の障害特性や症状への理解を深めることができるため、合理的配慮の明確化にも役立ちます。
障害者雇用で事務職を探すなら「dodaチャレンジ」で!
身体的・精神的な負担が少なく、合理的配慮が受けやすいなどの理由から、障害者雇用で事務職は人気の職種です。事務職ではたらくためには、パソコンスキルやコミュニケーションスキルなどを磨いておく必要があります。これから事務職での就労を目指す障害者の方は、障害者向けの転職エージェントの活用を検討してみてください。
dodaチャレンジでは、支援実績が豊富なキャリアアドバイザーのサポートにより、ご自身の障害特性や適性に合った事務職の求人を探すことができます。さまざまな業界の幅広い事務職求人が、非公開求人も含めて多数あるため、あなたに合った転職先が見つかるでしょう。dodaチャレンジのご利用者の約8割が「転職は期待どおり・期待以上」、約85%が「今後もその職場ではたらき続けたい」と答えるなど、多くの人が理想の転職に成功しています。
dodaチャレンジの利用は無料なので、転職をお考えの方はこの機会にぜひご相談ください。
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キャリアドバイザーが親身にお話をうかがいます
公開日:2025/9/26
- 監修者:戸田 幸裕(とだ ゆきひろ)
- パーソルダイバース株式会社 人材ソリューション本部 事業戦略部 ゼネラルマネジャー
- 上智大学総合人間科学部社会学科卒業後、損害保険会社にて法人営業、官公庁向け営業に従事。2012年、インテリジェンス(現パーソルキャリア)へ入社し、障害者専門のキャリアアドバイザーとして求職者の転職・就職支援に携わったのち、パーソルチャレンジ(現パーソルダイバース)へ。2017年より法人営業部門のマネジャーとして約500社の採用支援に従事。その後インサイドセールス、障害のある新卒学生向けの就職支援の責任者を経て、2024年より現職。
【保有資格】- ■国家資格キャリアコンサルタント
- ■障害者職業生活相談員